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売れない土地はどうすればいい?売れない理由と対処法を紹介

執筆者プロフィール

桜木 理恵
資格情報: Webライター、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者

大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。その他信託銀行にて不動産事務として勤務経験あり。現在は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事を多数執筆。「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」「管理業務主任者」所持。

ざっくり要約!

  • 売れない土地をそのまま放置すると維持管理に手間やコストがかかるだけでなく、トラブルに発展した場合は損害賠償を請求される恐れもある
  • 土地が売れない場合は周辺エリアで売却実績が豊富な不動産会社に相談するのがおすすめ

所有する土地を早く売りたいのに、なかなか買い手が見つからないと悩んでいる方のために土地が売れない5つの理由と、売却するための8つの対処法を解説します。

時間をかけて土地を売却しても、高く売却できるとは限りません。そればかりか手間やコストが余分にかかるため、注意が必要です。

なるべく早期に売却するためにも、土地が売れない理由を把握し、対処法を実践しましょう。

売れない土地にはどのような理由がある?

土地が売れないときは、何かしら要因があるはずです。土地が売れない理由を5つ紹介しますので、早期に売却するためにも、まずは理由を突き止めましょう。

土地の需要が少ない

土地が売れない場合、土地の需要が少ないエリアの可能性があります。

不動産の売れ行きは、需要と供給が大きく影響します。つまり購入希望者の数に対して売り物件の数が多ければ、好条件の土地から売れていき、かならず売れ残りが生じます。

土地の条件に応じた適正価格を把握し、土地の需要を加味して売り出し価格を設定しましょう。

土地の境界が確定できない

法律上、売主は土地の境界を買主に明示する義務はありません。つまり境界標がなくても土地の売買は可能ですが、境界標がないことで隣地所有者とトラブルになることが多く、土地の売買に際して境界の明示を条件にしていることがほとんどです。

境界が確定できない土地はリスクがあるため、購入希望者を見つけるのは難しく、売却に苦労するでしょう。

境界標がない場合は、引渡しまでに売主の費用負担で確定測量を行いましょう。確定測量とは、すべての隣地所有者の立ち会いのもと土地を測量し、境界を確定することをいいます。

境界の位置について、隣地所有者と折り合いが付くまで境界を確定できません。確定測量を行うのには時間がかかるため、まずは境界標があるのか確認しておいてください。

また、境界標があったとしても、境界確認書等の取り交わしがない場合は、隣地所有者から境界の位置に対して異議を申し立てられることもあります。境界標があるからと安心せず、その場所で間違いがないのか、しっかり確認することが大切です。

土地の形状や環境などの条件が悪い

土地が売れないのは、土地の形状や環境が影響している可能性があります。土地の資産価値は立地条件や日当たりだけでなく、土地の形状や周辺環境も影響します。

たとえば、正方形や長方形の土地は利用価値が高く、人気があります。

一方で旗竿地や不整形地、道路と高低差があるような土地は家を建てるのに難があり、相場価格で売却するのは難しいでしょう。

また土地の近くにゴミ焼却施設や工場、お墓など、いわゆる嫌悪施設がある場合も、売りにくくなることがあります。もし故意に隠して売却した場合、契約不適合責任を問われる恐れがあります。きちんと理解してもらったうえで、購入してもらいましょう。

地質に問題がある

土地の購入を検討するために、買い手側が契約前にボーリング調査(穴を掘って地盤の状況や地層境界の深度などを調べること)を希望することがありますが、軟弱地盤など地質に問題があると土地は売却しにくくなります。

地盤が軟弱の場合は、地盤補強(地盤改良)を行う必要があり、その分建築コストも高くなります。土地自体は気に入っていたとしても、購入を断念せざるをえない状況もあるでしょう。

ほかにも以下のような土地は、売れにくくなることがあります。

  • 化学工場の跡地など、土壌汚染により土壌改良が必要な土地
  • 液状化や水害の履歴がある土地
  • 土砂災害の危険性がある土地

出典:土壌汚染対策法|e-Gov法令検索

相場よりも売り出し価格が高い

土地が売れないのは、相場よりも高い価格を設定しているからかもしれません。スムーズに売却するためにも、適正な価格で売り出すようにしましょう。

不動産会社によって査定額が異なることがありますが、高い査定額を提示した不動産会社が、高く売却できるわけではありません。

周辺地域で売却実績が豊富な不動産会社に相談するようにし、反響が少ないと感じる場合は、価格を見直してみましょう。

売れない土地を放置しているとどうなる?

売れない土地をそのまま放置してしまうと、維持管理に手間やコストがかかります。またトラブルに発展した場合、損害賠償を請求される恐れもあるため注意が必要です。

維持管理に手間と費用がかかる

土地を利用していない場合でも、所有者は土地を管理しなければなりません。庭木や雑草が伸びすぎないように定期的に手入れをする必要があり、専門業者へ依頼する場合は費用もかかります。

固定資産税がかかる

土地を所有している間は、固定資産税を払い続けなければなりません。
自宅のほかに土地を所有している場合は、二重に納めることになります。

住宅用地は固定資産税の特例措置があり、住宅一戸に対して200㎡までは1/6に軽減されます。しかし周辺環境に著しく衛生上有害の恐れがある状態だとして自治体から「特定空き家」に指定された場合、住宅用地の特例措置が適用されなくなる可能性があります。

庭木や雑草は放置せず手入れするようにし、古家がある場合は倒壊させないように注意しましょう。

出典:固定資産税・都市計画税(土地・家屋)|東京都主税局
「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針 (ガイドライン)|国土交通省

不法投棄や放火の恐れがある

土地を放置することで、不法投棄や放火をされるリスクが高まります。定期的に見回るようにし、必要に応じて不審者が侵入しにくいように、例えば建物が残っているのであれば門扉に鍵をかけるなどしましょう。

損害賠償を請求される恐れがある

たとえば土地を放置したことでブロック塀が倒れ、通行人がケガをした場合、被害に対して損害賠償請求をされる可能性があります。古家が建っている場合は、倒壊にも気をつけましょう。

売れない土地の対処法8選

土地が売れないときの対処法を8つ紹介します。土地が3カ月以上売れないときは、不動産会社に任せきりにせず、何かしらの対処を実践してみましょう。

地元に精通した不動産会社に相談する

土地が売れないのは、不動産会社の力不足が原因かもしれません。不動産会社の広告宣伝活動や内覧数を確認し、極端に少ない場合は不動産会社の変更を検討しましょう。

まず地元に精通し、周辺エリアで売却実績が豊富な不動産会社に相談してみましょう。ただし専任媒介契約中に解約して、その後他社で成約になった場合、最初に依頼した不動産会社から実際にかかった広告費を請求される可能性があります。

基本的には、媒介契約期間が終了するタイミングで変更することをおすすめします。

担当者に土地家屋調査士の紹介を依頼する

境界標が見つからない場合は、早めに不動産会社に相談し、確定測量を行いましょう。まず担当者から土地家屋調査士を紹介してもらい、確定測量を依頼します。

費用は隣地所有者の人数や条件によって変わりますが、隣地が民有地であれば40~50万円程度が相場です。

しかし国道や河川など、隣地が国の所有地の場合は手続きに時間がかかります。費用は高くなり、60万~80万円程度かかることもあります。

隣地所有者とスムーズに手続きが進んだ場合でも1カ月半程度かかり、長い場合は3カ月から半年程度かかることもあります。なるべく早めに行動しましょう。

土地の見栄えをよくしておく

購入希望者は、かならず現地を確認します。土地に雑草が生い茂っていたり、枯れ葉やゴミが放置されたままだったりすると、第一印象が悪くなってしまいます。

なるべく土地の見栄えをよくするためにも、定期的に現地を確認するようにします。もし住んでいる場所から遠方の場合は、不動産会社の担当者に依頼し、見栄えが悪くなっていないか確認してもらいましょう。

近隣に相談する

土地を売却する場合は、隣地所有者に購入の意思がないか相談してみましょう。土地を買い増しすることで土地の地型がよくなり、道路に面する部分も広くなります。「隣りの土地は倍出してでも買え」といわれることがありますが、隣地所有者にもメリットがあるので、購入のハードルも低くなるでしょう。

環境を熟知している隣人が購入してくれるのであれば、安心して売却できることもメリットといえます。

売り出し価格を下げてみる

土地を売り出してから3カ月経っても成約に結びつかないときは、売り出し価格が相場よりも高い可能性があります。

売り出し価格の値下げを検討しましょう。

土地の価格を下げることで、ターゲット層も増えるため、早期売却を期待できます。しかし数十万円の値下げでは、期待するほど反響を得られないかもしれません。下げ幅については、不動産会社に相談しましょう。

相続土地国庫帰属制度を利用する

相続(遺贈)によって取得した土地を手放したいときは、相続土地国庫帰属制度を利用する方法があります。

これまで相続財産を手放したいときは、すべてを放棄しなければなりませんでした。しかしこの制度を利用すれば、手放したい土地だけ国庫へ帰属させることができ、預貯金などの財産は手元に残せます。

申請時に審査手数料として1万4,000円かかるほか、宅地の場合は20万円の負担金がかかります。つまりお金を支払って、土地を手放すことになります。

土地の上に建物がないことや境界が明らかなことなど条件があり、すべての土地が国庫に帰属させることができるわけではありません。必要書類や利用する流れについて、よく確認したうえで申請するようにしましょう。

出典:相続した土地を手放したいときの「相続土地国庫帰属制度」|政府広報オンライン

自治体に売却する

土地が売れない場合は、自治体への売却を検討してみましょう。必ずしも売却できるわけではありませんが、自治体が必要としている土地の条件に合致する場合は、自治体と売買が成立する可能性があります。

自治体が土地を購入する場合、公有地の拡大の推進に関する法律に基づいて取引が行われます。自治体による買取を希望する場合は、役所の担当窓口へ相談してみてください。

出典:公有地の拡大の推進に関する法律に基づく届出と申出|府中市

買取での売却を考える

土地を売却した資金で住み替えを検討している場合は、買取による売却を考えてみましょう。買取とは不動産会社に買取してもらうことをいいます。早ければ1週間程度で契約できるので、土地をなるべく早く現金化したい方におすすめです。

買取は古家の解体や庭木の撤去が不要なことが多く、直接不動産会社と取引する場合は、仲介手数料がかからないこともメリットです。

ただし不動産会社は、通常再販を想定して買取します。仲介による売却よりも安くなるケースが多いことを想定しておきましょう。

この記事のポイント

売れない土地にはどのような理由がある?

土地が売れない場合、土地の需要が少ない、土地の境界が確定していない、土地の形状や環境などの条件が悪いといった理由があります。

詳しくは「売れない土地にはどのような理由がある?」をご覧ください。

売れない土地の対処法は?

売れない土地がある場合、地元に精通した不動産会社に相談する、担当者に土地家屋調査士の紹介を依頼する、土地の見栄えをよくしておくなどの対処法があります。

詳しくは「売れない土地の対処法8選」をご覧ください。

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