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先進的窓リノベ事業とは?基礎知識や必要書類、利用例を解説

執筆者プロフィール

桜木 理恵
資格情報: Webライター、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者

大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。その他信託銀行にて不動産事務として勤務経験あり。現在は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事を多数執筆。「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」「管理業務主任者」所持。

ざっくり要約!

  • 先進的窓リノベ事業で受けられる補助金は住宅一戸当たり最大200万円
  • 先進的窓リノベ事業は既存住宅の断熱改修工事を対象としており、新築住宅は対象外

先進的窓リノベ事業は、既存住宅の断熱窓改修を促進し省エネ化を進めることで、家庭からのCO2排出削減に貢献し、関連産業の競争力強化と成長を目的としています。

建物の種別や交換する窓の性能、大きさによって補助額は異なりますが、住宅一戸当たり5万円から最大200万円まで補助するものです。

今回は、先進的窓リノベ2024事業がどのような補助金制度なのか紹介し、2023年度の補助事業との違いも解説します。

また対象となる条件や必要書類、申請の流れ、注意点なども詳しく紹介します。先進的窓リノベ事業の補助金を上手に活用して、快適でエコな暮らしを手に入れましょう。

先進的窓リノベ事業とは?

先進的窓リノベ事業の正式名称は「断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業」といい、環境省が既存住宅の断熱改修を含むリフォーム工事に対して補助する事業です。

本事業は、家庭からのCO2排出削減と既存住宅の省エネ化を目的としており、エネルギー負担の軽減と関連産業の競争力や成長に貢献することを目的としています。

先進的窓リノベ事業で受けられる補助金とは

本事業で受けられる補助金は、住宅一戸当たり最大200万円です。

建物の種別や交換する窓の性能、大きさによって補助額は異なり、改修費用の1/2相当が定額補助されます。
なお、補助額5万円以上の工事が対象です。

窓の断熱改修はガラス交換や内窓の設置、外窓の交換(カバー工法・はつり広報)のほか、2024年度はドアの交換工事(カバー工法・はつり工法)も対象になります。

ガラス交換既存の窓からガラスを取り外し、複層ガラスに交換する工事
内窓の設置既存の窓の内側に断熱窓を新設する、または既存の窓を撤去して断熱窓を設置する工事
外窓の交換(カバー工法)既存の窓ガラスを取り外し、既存の窓枠の上から新たな窓枠をかぶせて複層ガラスに交換する工事
外窓の交換(はつり工法)既存の窓枠とガラスを取り外し、新しく窓枠を設置して窓ガラスを交換する工事
ドアの交換(カバー工法)既存のドアを取り外し、既存枠は利用して新しくドアを取り付ける工事
ドアの交換(はつり工法)既存ドアと枠を取り外し、新たな枠を取り付けて新しくドアを設置する工事

補助の対象となる製品が決まっており、それ以外は補助の対象となりません。対象製品は補助事業のホームページでも確認できますが、詳細についてはリフォーム会社や工事店に相談するようにしましょう。

出典:事業概要|先進的窓リノベ2024事業
先進的窓リノベ2024事業|YKK AP

2023年の先進的窓リノベ事業との違いとは

先進的窓リノベ2024事業は、2023年に実施された先進的窓リノベ事業の後継事業です。
事業の基本的な目的や大枠は変わりませんが、補助額や契約日の要件などが変更になっています。

また、2024年の事業では、2023年の事業では対象外だったドア交換工事(窓の改修と同一契約に限る)が対象となります。

2023年と2024年の事業を比べると、ガラス交換の補助額は増額、内窓の設置工事は減額されています。また外窓交換のカバー工法は増額、外窓のはつり工法は減額となっています。

実際にどの工事が向いているのかは、既存の住宅の構造や条件によって異なります。工事方法については、ぜひリフォーム会社や工事店に相談してください。

先進的窓リノベ事業の対象となる条件は?

先進的窓リノベ事業の対象となる条件について、もう少し詳しく紹介します。

窓リノベ事業者と工事請負契約を締結する

窓リノベ事業の補助金の交付を受けるためには、窓リノベ事業者と工事請負契約を締結して、窓の断熱改修工事を行う必要があります。なお、補助金の申請も窓リノベ事業者が行います。

窓リノベ事業者とは、先進的窓リノベ2024事業に登録した事業者のことです。

リフォーム会社や工事店によっては事業者登録をしていないことがあり、その場合は補助金の対象外となります。

窓の断熱改修を相談する場合は、まず事業者であるか否かを確認するようにしましょう。

窓リノベを行う住宅の所有者である

先進的窓リノベ事業の補助金を受けるためには、窓の断熱改修をする住宅の所有者であることが条件になります。

住宅の所有者に該当するのは、以下のとおりです。

  • 住宅を所有する個人、またはその家族
  • 賃貸住宅を所有するオーナー(個人または法人)
  • 住宅の賃借人
  • 集合住宅の管理組合(管理組合法人)

先進的窓リノベ事業の申請の流れ

先進的窓リノベ事業の申請の一般的な流れと、必要書類を解説します。

1. 窓リノベ事業者へ相談

まず断熱改修工事について、窓リノベ事業者登録をしているリフォーム会社や工事店に相談します。窓リノベ事業者ではない場合は、対象外となるため注意が必要です。

2. 工事請負契約を締結

窓リノベ事業者と工事請負契約を締結します。タイミングによっては予算に到達し、補助金を受けられないことがあります。契約前に予算に対する進捗状況を確認しましょう。

3. 共同事業実施規約の締結

本事業の補助金を利用するにあたって、窓リノベ事業者と共同事業実施規約について締結します。たとえば補助金の交付が受けられなかったときの負担の範囲や、補助金の受け取り方法を取り決めます。

4. 窓断熱工事着手

2023年11月2日以降に断熱改修工事に着手します。複数の窓を工事する場合は、工事にかかる日数を確認しておくとよいでしょう。

5. 交付申請の予約(任意)

工事着工のタイミングで、窓リノベ事業者が交付申請の予約をします。補助事業に対し、交付申請予定額を確保することを意味します。

6. 工事完了・引き渡し

工事が完了したら工事箇所を確認し、仕上がりに問題がないか確認します。気になるところがあれば、早めに相談するようにしましょう。

7. 補助金の交付申請

工事完了後、遅くとも2024年12月31日までに補助金の交付申請を行います。予約申請と同じく、窓リノベ事業者が申請します。

8. 実績報告・補助金額の確定・補助金交付

交付申請後に、交付決定の取り消しがなければ補助金額が確定します。補助金は窓リノベ事業者に交付されることになっており、その後事業者から工事発注者に還元されることになります。

おもな必要書類は以下のとおりです。申請自体は窓リノベ事業者が行うため、相談しながら準備を進めましょう。

  • 先進的窓リノベ事業 共同事業実施規約
  • 工事請負契約書の写し
  • 工事発注者の本人確認書類(工事発注者が法人の場合は法人謄本など)
  • 断熱窓や断熱ドアの性能証明書
  • 断熱工事前と工事後の写真
  • 既存住宅であることを証明する書類(検査済証や建物登記事項証明書など)

出典:補助金の交付申請|先進的窓リノベ2024事業

先進的窓リノベ事業の効果的な利用例

先進的窓リノベの効果的な利用例を紹介します。窓やドアのリフォームにより住宅の断熱性能を高め、光熱費にかかるコストを削減しましょう。

光熱費削減にもつながる断熱窓の設置

断熱窓に改修することでエアコンの効きがよくなるため、光熱費の削減につながり、CO2排出削減にも貢献できます。

家計にも地球環境にも、優しい暮らしを手に入れることができるでしょう。

また家の断熱性能を高めることで室温を一定に保ちやすくなり、血圧が急激に上昇することを防ぐことができます。ヒートショックによる心筋梗塞や、脳卒中のリスクを軽減できるのもメリットです。

窓枠を樹脂サッシに替える

樹脂サッシとは、塩化ビニル樹脂から成型された枠に、複層ガラスを組み合わせたサッシのことをいいます。樹脂はアルミに比べて熱伝導率が低く、複層ガラスにすることでより熱を伝えにくい構造になっています。

夏は外の熱を室内へ伝えにくくなり、冬は室内の暖かさを外へ逃がしにくくなります。また樹脂サッシは、従来の1枚ガラスのアルミサッシに比べて結露しにくいこともメリットといえます。

窓の断熱改修をする場合は、ガラス交換よりも樹脂サッシに交換する方が断熱性能は高くなります。
予算や家の構造、条件に合わせて工事方法を選択しましょう。

窓だけでなく高断熱ドアへのリフォームも可能

先進的窓リノベ2024事業は、窓の断熱改修と同時に行うドアの断熱リフォームも補助金の対象になります。

窓だけでなく玄関ドアも高断熱仕様にすることで、家全体の断熱性能が向上し、省エネ効果もアップします。窓の断熱改修をする場合は、玄関ドアの断熱改修も検討しましょう。

先進的窓リノベ事業を利用する際の注意点

最後に、先進的窓リノベ事業を利用する際の注意点を紹介します。

新築の場合は利用できない

先進的窓リノベ事業は既存住宅の断熱改修工事を対象としており、新築住宅の場合は補助金を利用できません。

既存住宅とはリフォーム工事の工事請負契約締結時において、建築(検査済証の発出日)から1年を経過した住宅か、過去に人が居住した(もしくは現在人が居住している)住宅のことをいいます。

先進的窓リノベ事業に登録してある製品のみ利用可

先進的窓リノベ事業の対象となるのは、本事業に登録されている製品のみです。

国はカーボンニュートラルに向けた取り組みや、社会システムの変革に協力するメーカー製品を補助対象としています。

断熱性能を満たす製品であっても、補助の対象にならないことがあるため、対象製品か否かの確認が重要といえるでしょう。

この記事のポイント

先進的窓リノベ事業の対象となる条件は?

先進的窓リノベ事業を利用するためには、窓リノベ事業者と工事請負契約を締結する、窓リノベを行う住宅の所有者であるといった条件があります。

詳しくは「先進的窓リノベ事業の対象となる条件は?」をご覧ください。

先進的窓リノベ事業の効果的な利用例は?

先進的窓リノベ事業を利用し、断熱窓に改修することでエアコンの効きがよくなるため、光熱費の削減につながり、CO2排出削減にも貢献できます。

家計にも地球環境にも、優しい暮らしを手に入れることができるでしょう。

詳しくは「先進的窓リノベ事業の効果的な利用例」をご覧ください。

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