不動産売却,流れ
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不動産売却の流れとは?事前準備からよくある疑問まで解説

執筆者プロフィール

桜木 理恵
資格情報: Webライター、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者

大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。その他信託銀行にて不動産事務として勤務経験あり。現在は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事を多数執筆。「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」「管理業務主任者」所持。

ざっくり要約!

  • 不動産の売却を不動産会社に相談する前に、まず必要書類が手元にあるのか確認する
  • まずは匿名査定やAI査定を利用して、不動産の相場価格を知ることから始めるのがおすすめ

不動産を売却するまでには、いくつかのステップを踏む必要があります。売主として準備すべきことも多いため、スムーズに進めるためにおおまかな流れは把握しておきたいところです。

今回は不動産売却の流れと、事前に準備しておくべき必要書類について解説します。媒介契約の選び方や、翌年の確定申告についても触れますので、不動産売却を検討している方はぜひ参考にしてください。

不動産売却のおおまかな流れ

不動産売却のおおまかな流れ

不動産売却のおおまかな流れは以下のとおりです。6つのステップに分けて紹介していきます。

  1. 不動産会社に査定を依頼
  2. 不動産会社と媒介契約を結ぶ
  3. 不動産の売買活動を開始
  4. 飼い主と売買契約を締結
  5. 物件の引き渡し・決済
  6. 確定申告

不動産売却の前に準備しておきたいこと

不動産売却の前に準備

不動産の売却を不動産会社に相談する前に、まず必要書類が手元にあるのか確認しておきましょう。

すべての書類が揃っていなくても売却査定は依頼できますが、準備しておくことで査定をスムーズに進めることができます。

また、不動産売却や物件の引渡し時にも必要になります。不足している書類がある場合は、なるべく早めに担当者に相談しておきましょう。

必要書類

査定依頼時に必要になる書類と、不動産売買契約や物件の引き渡しに際して必要になる書類は多少異なりますが、早期に成約・引き渡しになることもあります。慌てることがないように、早めに確認しておくとよいでしょう。

ちなみに、リフォームやインスペクション(建物状況調査)、耐震診断などを実施している場合は、契約書や報告書を用意しておきましょう。
不動産の状態を正しく伝えることができ、査定額にプラスに反映されることがあります。また内容によっては、買主にとって安心材料になるでしょう。

また不動産の種類や条件、不動産会社によって必要書類が変わることがあります。実際に必要になる書類は、担当者に確認することをおすすめします。

・売却に備えて準備しておくべき書類

登記識別情報通知書 もしくは登記済権利証相続登記が終わっていない、もしくは紛失している場合は、それぞれ手続きが必要。早めに担当者に相談しましょう
建築確認済証・検査済証一戸建ての場合必要
土地の測量図・境界確認書売主は買主に境界を明示する必要がある。境界標がない場合は、境界確定測量が必要になることが多い
建物(部屋)の平面図・間取図建物の平面図や設計図書。マンションの場合は図面集や分譲当時のパンフレット
固定資産税・都市計画税の納税通知書不動産会社が現所有者や固定資産税評価額を確認するため
本人確認書類運転免許証やパスポートなど
印鑑証明書・住民票不動産売買契約時や決済時に必要
抵当権抹消書類住宅ローンの残高がある場合は、決済までに抵当権を抹消する必要がある

・手元にあれば用意しておくとよい書類(ない可能性もある書類)

登記事項証明書・公図不動産会社が法務局で入手できるため、かならずしも必要ではない
建設工事請負契約書一戸建ての場合
購入時の不動産売買契約書確定申告の際に必要。購入時の価格がわからないときは、売却価格の5%を取得費として計算する
管理規約・使用細則マンションの場合。管理会社で購入できることもある
総会議案書・議事録(直近のもの)マンションの場合。管理会社で取得できることもある
住宅性能評価書住宅性能評価書(設計住宅性能評価書・建設住宅性能評価書)がある場合
リフォームの履歴がわかる書類リフォームをしている場合は、リフォーム工事の契約書(注文書)や領収書など
インスペクション(建物状況調査)の結果報告書インスペクションを実施した場合は、その結果報告書
住宅瑕疵担保責任保険の付保証明書購入時に新築物件だった場合。ただし転売特約がついていない場合は、買主に継承出来ない
耐震診断報告書耐震診断を実施した場合
設備の取扱説明書や保証書物件の引き渡し時に買主に渡して引き継ぎます

出典:取得費が分からないとき|国税庁

そのほかに準備しておいた方がいいものは?

査定額に影響しそうなポイントは、査定を依頼するときに伝えておきましょう。

たとえば「晴れた日は窓から富士山が見える」「定期的にハウスクリーニングを実施している」などです。

査定額に大きな影響はないとしても、物件のアピールポイントになります。いくつかメリットがある場合は、リストアップしておくとよいでしょう。

不動産売却の流れ①不動産会社に査定を依頼

不動産会社に査定を依頼

はじめに、不動産会社へ売却査定を依頼します。不動産の査定額をおおまかに知りたいときは匿名査定や机上査定を活用し、売却の意思が決まったら訪問査定を依頼します。状況によって使い分けましょう。

まずは匿名査定または机上査定

まずは匿名査定やAI査定を利用して、不動産の相場価格を知ることから始めましょう。
匿名査定は、返信用のメールアドレスと不動産の簡単な情報を入力するだけで、査定額を算出できるWebサービスです。

所用時間は1分程度です。気軽に査定を依頼できるので、まだ売却するか迷っている方や、住宅ローンの残債を売却代金で完済できるのか確認したい方におすすめです。

不動産会社によっては、過去の取引価格のデータもとに、AIを使って自動で査定額を算出する「AI査定」を用意していますが、対象物件がマンションのことが多く、一戸建てや土地の査定には対応していないこともあります。

匿名査定やAI査定よりも、精度が高い査定額を知りたいときは、机上査定を依頼します。

不動産の条件や取引実績、市場動向などをもとに、不動産会社の担当者が査定する方法です。査定額が即日わかることもあれば、5日程度かかることもあります。現地調査はしないため、簡易査定と呼ばれることもあります。

本格的に売却が決まったら訪問査定を依頼

不動産を売却する意思が決まったら、不動産会社へ訪問査定を依頼します。訪問査定は実際に不動産を現地調査し、隣接する土地との境界や付帯設備の劣化や不具合の有無、周辺環境、立地条件も含めて詳細に調べます。

訪問日の日程調整に、時間がかかることもあります。早めに専用フォームや電話、メールを使って訪問査定を依頼しましょう。

訪問査定で提示された査定額は、売却想定価格です。
かならずしもその価格で売り出す必要はありませんが、高すぎると売却に時間がかかり、かえって値下げしなくてはならなくなることがあります。

担当者に査定額を算出した根拠を説明してもらうようにし、納得したうえで売却価格を設定しましょう。

不動産売却の流れ②不動産会社と媒介契約を結ぶ

不動産会社と媒介契約を結ぶ

不動産会社へ売却を依頼するときは、媒介契約を結びます。
媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。

それぞれにメリット・デメリットがあるため、希望や条件に合わせて選択しましょう。

一般媒介契約

複数の不動産会社へ依頼したいときは、一般媒介契約を選びます。依頼先の数に上限はなく、何社とでも媒介契約を結べます。

自己発見取引も認められており、3つの媒介契約の中で最も自由度が高い媒介形態といえます。

窓口が複数になるので、内覧スケジュールを自分で管理する必要があります。週末に内覧が集中する傾向があるため、内覧が重ならないように注意しましょう。

専任媒介契約

専任媒介契約を結べるのは、1社のみです。成約となれば不動産会社は仲介手数料を得ることができるため、担当者の積極的な販売活動を期待できます。

また、複数の担当者とやり取りする必要がなく、なるべく手間をかけずにスムーズに売却したい方におすすめです。

ただし専任媒介契約は、囲い込みされるケースがあるので注意が必要です。囲い込みとは、社内で両手成約すること(売主と買主から仲介手数料を得ること)を目指して、他の不動産会社へ物件を紹介しないことをいいます。

囲い込みによって成約までに時間がかかるなど、売主にとっては不利益になることが多いため、信頼できる不動産会社かどうかの見極めが重要となります。

専属専任媒介契約

専属専任媒介契約は、基本的には専任媒介契約と同様、不動産会社1社のみと契約を結ぶことになります。
専任媒介契約との違いは、自己発見取引が認められていないことです。

知人と不動産会社を介さずに売買する可能性がある方は、専任媒介契約を選びましょう。

3つの中で1番制約がある媒介契約ですが、その分不動産会社の手厚いサポートを期待できます。
早期に、かつ手間をかけずに売却したい方は、専属専任媒介契約がおすすめです。

ただし、1社だけに頼ることになります。不動産会社選びは慎重に行い、販売活動を把握するようにして、担当者に任せきりにしないようにしましょう。

不動産売却の流れ③不動産の売却活動を開始

不動産の売却活動を開始

不動産会社と媒介契約を締結したら、売却活動を開始します。販売活動自体は不動産会社が行うため、売主自身が売却活動をすることはありません。

もし内覧日について相談があった場合は、スケジュールをなるべく調整し、買い手側の希望日に対応できるように心がけましょう。

内覧日が決まったら前日までになるべくきれいに清掃をし、急な内覧にも対応できるように、日頃から室内の整理整頓を心がけましょう。

契約した不動産会社以外でも買主を募集されることがある?

媒介契約した不動産会社は広告・宣伝を通して、購入希望者を募ることになります。その他にも、媒介契約を締結した不動産会社以外の顧客が内覧を希望することがあります。

それは、専任媒介契約・専属専任媒介契約で1社に依頼をしたとしても、いわゆるレインズと呼ばれる不動産流通機構に情報登録がなされるからです。
この情報登録は、専任媒介契約・専属専任媒介契約した不動産会社の義務になっているため必ず行われます。

媒介契約を締結していない不動産会社もその情報をもとに自社の顧客へ物件紹介することができるため、媒介契約した不動産会社以外の顧客から内覧を希望されることがあるということです。

なお、一般媒介契約にはこの情報登録の義務がありませんが、情報登録されれば専任媒介契約等と同様に別の不動産会社の顧客から内覧希望されることがあります。

不動産売却の流れ④買主と売買契約を締結

買主と売買契約を締結

購入希望者と売買価格や引き渡しの時期について折り合いがついたら、売買契約を締結します。

不動産売買契約書や重要事項説明書は不動産会社が準備をしますが、売主が準備するべき書類もあります。

事前に必要書類について説明がありますが、ここでは一般的に必要になる書類を紹介します。

売買契約の際の必要書類

不動産売買契約時に必要になるものは、以下のとおりです。なお不動産会社や不動産の条件によって異なることもあります。実際に必要な書類は、担当者に確認してください。

  • 登記識別情報通知書(登記済権利証)
  • 身分証明書
  • 実印・認印
  • 印鑑証明書
  • 収入印紙(印紙代)
  • 付帯設備表(設備の有無や不具合を記載する書面)
  • 物件状況等報告書(雨漏りやシロアリ被害の有無などを記載する書面)
  • 仲介手数料(売買契約時に半額払うことが多い)

不動産売却の流れ⑤物件の引き渡し・決済

物件の引き渡し・決済

不動産売買契約書で定めた日に、物件の引き渡しと残代金決済を行います。
不動産売買契約後1ヵ月~1ヵ月半後に設定していることが多く、それまでに引っ越しを済ませ、当日買主へ引き渡せるように準備をしておきます。

決済日には残代金の授受や所有権移転登記の申請、鍵の受け渡しなどすることが多いので、当日すべきことを把握しておきましょう。

  • 司法書士による本人確認
  • 買主から残代金を受け取る
  • 残代金と合わせて固定資産税や、管理費及び修繕積立金(マンションの場合)の精算をする
  • 司法書士へ所有権移転登記(や抵当権抹消登記)を依頼する
  • 買主へ鍵や引き継ぐ書類を渡す
  • 不動産会社へ仲介手数料を支払う

住宅ローンが残っている場合の決済には注意が必要

住宅ローンの残高が残っているときは、決済日当日に買主から受領した売買代金で完済し、抵当権を抹消したうえで買主へ所有権移転をします。

事前に金融機関に繰り上げ返済することを連絡し、抵当権抹消書類を準備してもらいます。そして決済日には、司法書士に抵当権抹消登記を依頼することになります。

通常2週間前までには、金融機関へ繰り上げ返済について連絡する必要があり、準備が間に合わないと決済日を変更することになりかねません。スケジュールや準備に問題がないか、確認するようにしてください。

・「マンション売却から引き渡しまでの流れ」に関する記事はこちら
マンション売却から引き渡しまでの流れとは?必要な書類も紹介

不動産売却の流れ⑥確定申告

確定申告

不動産売却で利益が発生した場合、翌年の2月16日~3月15日(その年の暦によって多少前後することあり)までの間に確定申告を行い、譲渡所得税を納める必要があります。

譲渡所得額は以下の計算式で算出し、不動産の所有期間に応じた税率を乗じます。

譲渡所得金額=収入金額-( 取得費+ 譲渡費用)- 特別控除額
譲渡所得税=譲渡所得金額×税率(%)

なおマイホームを売却したときは、一定の条件を満たすことで最大3,000万円まで控除ができる特例(居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例)があります。

3,000万円の特別控除によって譲渡所得税額がゼロになる場合でも、この特例の適用を受けるためには確定申告が必要です。

確定申告は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」の利用が便利です。案内にしたがって入力を進めていくことで、申告書を比較的簡単に作成できます。また作成した申告書はe-Taxで送信でき、税務署に足を運ぶ必要もありません。

出典:譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁
長期譲渡所得の税額の計算|国税庁
短期譲渡所得の税額の計算|国税庁
マイホームを売ったときの特例|国税庁
確定申告書等作成コーナー|国税庁

・「マンション売却後の確定申告」に関する記事はこちら
マンション売却後の確定申告ってどうする?必要書類や手順など解説

ライターからのワンポイントアドバイス

不動産売却,流れ ワンポイントアドバイス

不動産売却は、まず不動産会社への査定依頼することから始めます。基本的に査定だけであれば無料で依頼できるので、少なくとも2~3社に依頼し、不動産の相場価格を把握するようにしましょう。

また複数社に売却相談することで、担当者との相性や不動産会社の仲介実績が豊富なのか判断しやすくなります。

担当者には査定額を算出した根拠を説明してもらうようにし、信頼できると感じた不動産会社に依頼することをおすすめします。

この記事のポイント

不動産売却の前に準備しておきたいことは?

まずは必要書類を準備しておきましょう。

査定依頼時に必要になる書類と、不動産売買契約や物件の引き渡しに際して必要になる書類は多少異なりますが、早期に成約・引き渡しになることもあります。慌てることがないように、早めに確認しておくとよいでしょう。

詳しくは「不動産売却の前に準備しておきたいこと」をご覧ください。

不動産の売却活動はどのように行う?

販売活動自体は不動産会社が行うため、売主自身が売却活動をすることはありません。
もし内覧日について相談があった場合は、スケジュールをなるべく調整し、買い手側の希望日に対応できるように心がけましょう。

詳しくは「不動産売却の流れ③不動産の売却活動を開始」をご覧ください。

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