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家の売却でかかる仲介手数料の相場はいくら?計算方法や注意点を解説

執筆者プロフィール

桜木 理恵
資格情報: Webライター、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者

大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。その他信託銀行にて不動産事務として勤務経験あり。現在は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事を多数執筆。「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」「管理業務主任者」所持。

ざっくり要約!

  • 不動産会社と媒介契約を結び、売買契約が成立したら、不動産会社に成功報酬として仲介手数料を支払う
  • 支払いのタイミングとしては売買契約締結時に仲介手数料の半額を払い、物件引渡し時に残りの半額を払うのが一般的

不動産会社に仲介を依頼して家を売却したら、仲介手数料が発生します。仲介手数料がかかることは知っていても「どこまでの費用が含まれるの?」「なるべく安く抑えたい」と考えている方は多いかもしれません。

今回は仲介手数料について詳しく解説し、支払うタイミングや仲介手数料の計算方法を紹介します。

仲介手数料について注意すべきポイントにも触れますので、これを機会に仲介手数料について理解を深めておきましょう。

家の売却で発生する仲介手数料とは?

家の売却で発生する仲介手数料とは

家を売るときは、不動産会社へ仲介を依頼するのが一般的です。

不動産会社と媒介契約を結び、売買契約が成約したら、不動産会社へ成功報酬として仲介手数料を支払うことになります。

家を売るためには広告活動や内覧対応、契約業務など、不動産会社がやるべきことは多岐に渡ります。仲介手数料にはどのような費用が含まれ、いつ支払ったらよいのでしょうか。

まず仲介手数料の概要と、支払うタイミングについて解説します。

仲介手数料の概要

家の売却では、不動産会社へ仲介を依頼するのが一般的です。
不動産会社と媒介契約を結び、売買契約が成立したら、不動産会社へ成功報酬として仲介手数料を支払います。

仲介手数料には、物件調査や査定、広告活動(物件サイトやチラシへの掲載を含む)、内覧希望者の対応、契約業務などに対する報酬が含まれています。

つまり売主が特別な業務を依頼しない限り、手数料が別途発生することはありません。

ちなみに不動産会社を通さず、自分で買主を見つけて売却する場合や、不動産会社に直接買取してもらう場合は、仲介手数料はかかりません。

仲介手数料の発生・支払いのタイミング

仲介手数料は成功報酬のため、買主と売買契約を締結するまで支払う必要はありません。

たとえば媒介契約の期間満了後に更新せず、他の不動産会社で成約に至った場合は、その成約に導いた不動産会社へ仲介手数料を払うことになります。

初めに媒介契約を締結した不動産会社が広告費をかけて売却活動をしていたとしても、仲介手数料はもちろん、広告費を請求されることはありません(売主から特別な依頼をした場合を除く)。

支払いのタイミングとしては、売買契約締結時に仲介手数料の半額を払い、物件引渡し時に残りの半額を払うのが一般的です。

ただし不動産会社によって、支払い方法が異なることがあります。媒介契約を結ぶ際に、確認しておきましょう。

家の売却で仲介手数料はいくらかかる?

家の売却で仲介手数料はいくらかかる?

不動産会社へ家の売却を依頼した場合、仲介手数料はいくらかかるのでしょうか。仲介手数料は売買価格に応じて変わるため、売買価格が確定するまで仲介手数料も決まりません。

この章では、仲介手数料(上限額)を求める計算方法を紹介します。

仲介手数料の計算方法

仲介手数料は法律によって上限額が定められており、売買価格によって仲介手数料を求める計算式が異なります。

上限額までであれば不動産会社は自由に設定できますが、「上限額=仲介手数料」とするのが一般的です。

仲介手数料の上限額を求める計算式
売買価格仲介手数料の上限額を求める計算式
400万円超物件価格×3%+消費税
200万円超400万円以下物件価格×4%+消費税
200万円以下物件価格×5%+消費税

たとえば売買価格が1,000万円の場合は、以下のとおり計算します。

200万円以下の部分:200万円×5%=10万円
200万円超400万円以下の部分:200万円×4%=8万円
400万円超の部分:600×3%=18万円

10万円+8万円+18万円=36万円
36万円+消費税=39.6万円

しかしこのように計算するのは少々面倒なため、速算式を用いるのが一般的です。

売買価格が400万円超の場合は「売買価格×3%+6万円+消費税」で計算できます。

速算式で計算しても、結果は上記と同じになります。

1,000万円×3%+6万円+消費税=39.6万円

家の売却でかかる仲介手数料の注意点4つ

家の売却でかかる仲介手数料の注意点4つ

家の売却を依頼して成約に至った場合、不動産会社から請求されるのは基本的に仲介手数料のみです。しかし条件によっては、仲介手数料が規定の上限を超えることがあります。

また売買契約後にキャンセルになっても、仲介手数料が発生することがあります。この章では、仲介手数料に関する注意点を4つ紹介します。

特別に依頼して発生した費用を把握する

仲介手数料には、査定や物件調査、広告活動、契約業務などに対する報酬が含まれていますが、通常業務以外に特別な依頼をした場合は別途費用が発生します。

たとえば「遠方に暮らす購入希望者との交渉のために担当者に出向いてもらう」「売主の希望でテレビCMなど高くつく広告を打つ」など、売主の希望によって発生した業務や費用は仲介手数料とは別に請求されます。

ただし不動産会社は、事前にかかる費用について、売主と合意を得る必要があります。不動産会社へ何か依頼する際は、別途費用がかかるのか、かかる場合はその費用の詳細を確認するようにしましょう。

800万円以下の物件に適用される特例の対象かどうか確認する

2024年7月1日より「低廉な空家等の売買又は交換の媒介における特例」が適用になり、800万円以下の家を売却する場合、仲介手数料が最大で33万円(消費税込)になる可能性があります。

仲介報酬の特例規定はこれまで400万円以下の物件が対象で、上限額は19.8万円(消費税込)でしたが、今回の改正により大幅に拡充されました。

これは不動産業による空き家対策推進プログラムの一環で、空き家の流通を促すことを目的としています。

低額な物件は業務の負担に対して収益が少なく、物件調査や広告にかかる経費が仲介手数料を上回る可能性もあります。不動産会社が低額な物件を仲介することに、躊躇しないようにと設けられた特例です。

ただし原則として、料率を越えて仲介手数料を請求する場合、不動産会社はあらかじめ依頼者に対してその旨を説明し、合意を得る必要があります。

売買契約成立後になって請求額を変えられることは基本的にはありませんが、800万円以下の家を売る際は十分注意するようにしましょう。

出典:空き家等に係る媒介報酬規制の見直し|国土交通省

契約がキャンセルになっても仲介手数料が発生することがある

売買契約締結後に手付解除を含む自己都合により解約をした場合は、結果的には契約は成立していませんが、仲介手数料が発生することがあります。

手付解除とは、売買契約締結後に買主は支払い済みの手付金を放棄、売主は受け取った手付金を倍にして返還し、契約を解除する方法です。

依頼社と媒介契約を結び、不動産会社の仲介により売買契約が成立した場合は、キャンセルになったとしても、不動産会社は仲介手数料を請求できるというのが一般的な見解です。

なお住宅ローン特約による解除は、売買契約が白紙になります。したがって手付金は売主から買主に返還され、仲介手数料も返金されるのが一般的です。

しかしキャンセルの理由や、売主・買主の事情によって変わる可能性があります。実際には、不動産会社と相談することになるでしょう。

不動産会社選びは慎重にする

不動産会社によっては仲介手数料を割引しているケースがあり、安い方が良心的であるように感じてしまうかもしれません。

しかし仲介手数料は、本来は売却活動をするために必要なものです。あまりに安い場合は十分な売却活動ができないばかりか、きちんとしたサポートすら受けられない可能性もあり注意が必要です。

売主にとっては、スムーズになるべく高く売却することが重要です。売却までに時間がかかりすぎてしまう、もしくは安く売却せざるを得なくなることがないように、不動産会社は慎重に選びましょう。

家の売却で仲介手数料以外に発生するおもな費用

家の売却で仲介手数料以外に発生するおもな費用

家の売却に際して、仲介手数料以外にも税金や諸費用がかかります。資金計画を立てる際は、税金や諸費用も忘れないように試算しておき、ある程度余裕を持って計画しましょう。

家の売却で仲介手数料以外にかかる可能性がある費用は、おもに以下のとおりです。

譲渡所得税家を売却して利益が発生したときにかかる税金(所得税・住民税)。家の所有期間によって税率が異なり、売却した年の1月1日に5年を超える場合は長期譲渡所得(20.315%)、5年以下は短期譲渡所得(39.63%)になります。
印紙税売買契約書は印紙税課税文書のため、契約時に収入印紙を貼付して印紙税を納付します。たとえば売買価格が1,000万円超5,000万円以下の場合、印紙税は2万円(令和9年3月31日までは軽減措置により1万円)
登記費用所有権移転登記は買主の負担とするのが一般的ですが、抵当権抹消登記や住所変更登記をする際は、登記費用(登録免許税・司法書士への報酬)がかかります。
住宅ローンの返済手数料所有権移転登記をする前に住宅ローンを完済する必要があり、その際に金融機関の事務手数料がかかります。インターネットで手続きをする場合は無料にこともありますが、かかる費用は事前に確認しておきましょう。
引越し代売却する家に住んでいる場合は、引き渡し日の前日までに引っ越しを終えておく必要があります。2~3月など、引越しシーズンは高くなる傾向があります。仮住まいに住む場合は、家賃や初期費用もかかります。
土地の測量費売主は買主に対して境界標を明示する必要があり、境界標や測量図がない場合は、引渡しまでに境界確定測量をするのが一般的です。隣地の状況や所有者によっては時間がかかることもあるので、早めに相談しましょう。
ハウスクリーニング費用家の売却にともなって、かならずしもハウスクリーニングをする必要はありませんが、プロに清掃を依頼する場合はその費用がかかります。クリーニングするか迷ったら、担当者に相談しましょう。

ライターからのワンポイントアドバイス

ライターからのワンポイントアドバイス 家,売却,仲介手数料

家の売却を不動産会社へ依頼する場合は、仲介手数料がかかります。売買価格によって異なりますが、数百万円単位の費用がかかることも多く、なるべく安く抑えたいと考える方もいるでしょう。

仲介手数料を割引する不動産会社も存在しますが、売却までに時間がかかってしまったり、希望する金額で売れなかったりすれば、結局は損をすることになります。

仲介手数料の安さで依頼先を決めるのではなく、不動産会社の実績やサポート力、サービスの充実度で決めることをおすすめします。

この記事のポイント

家の売却で仲介手数料はいくらかかる?

仲介手数料は法律によって上限額が定められており、売買価格によって仲介手数料を求める計算式が異なります。

上限額までであれば不動産会社は自由に設定できますが、「上限額=仲介手数料」とするのが一般的です。

売買価格が400万円超の場合は「売買価格×3%+6万円+消費税」で計算できます。

詳しくは「家の売却で仲介手数料はいくらかかる?」をご覧ください。

家の売却でかかる仲介手数料の注意点は?

家の売却でかかる仲介手数料の注意点は複数あります。たとえば800万円以下の物件に適用される特例の対象かどうか確認することです。

2024年7月1日より「低廉な空家等の売買又は交換の媒介における特例」が適用になり、800万円以下の家を売却する場合、仲介手数料が最大で33万円(消費税込)になる可能性があります。

詳しくは「家の売却でかかる仲介手数料の注意点4つ」をご覧ください。

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