土地,売却,仲介
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土地売却の仲介とは? メリット・デメリットや業者選びのポイントを解説

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。

ざっくり要約!

  • 仲介とは不動産会社のあっせんを通じて、最終消費者に土地や不動産を市場価格で売る方法
  • 仲介は市場価格で売れるため、買取よりも売却価格が高い点がメリット

土地の売却方法としては、仲介を選択することが一般的です。
仲介は市場価格で高く売れるメリットがありますが、売却までに時間がかかる点がデメリットとなります。

仲介で土地を焦って安く売らないようにするためには、売却スケジュールに余裕を持つことがポイントです。
この記事では、「土地売却の仲介」について解説します。

土地売却における仲介の基本知識

土地売却における仲介の基本知識

不動産の売却方法には、仲介と買取の2種類があります。
仲介とは、不動産会社のあっせんを通じて、最終消費者に土地や不動産を市場価格で売る方法のことです。
買取とは、再販を目的とした不動産会社に下取り価格で売る方法のことを指します。

土地や建物の売却の仲介とは

仲介とは、売主と買主の間を仲立ちすることであり、売買契約の成立に向けて尽力する行為を指します。
仲介は一般用語であり、法律用語としては媒介と表現されます。

仲介には、売主と買主の両方を仲介する「両手仲介」と、売主または買主のいずれか一方を仲介する「片手仲介」の2種類があります。

例えば、売主が依頼した不動産会社が買主も見つけてくれば、両手仲介です。
それに対して、売主が依頼した不動産会社以外の会社が買主を見つけてきた場合は、片手仲介となります。

日本の仲介では、両手仲介も片手仲介も認められている点が特徴です。
片手仲介の場合、不動産会社は売主または買主だけの利益を追求できる立場となれるため、不動産会社は代理人的な役割を果たすことができます。

一方で、両手仲介の場合、不動産会社は売主と買主の双方の利益を重んじなければいけないことから、不動産会社は調整役的な役割を果たすことになります。

買取との違い

買取とは、再販を目的とした不動産会社に下取り価格で売る方法のことです。
買取では、不動産会社の立場は仲立ちではなく、買主となります。

買取と仲介の主な違いは、価格と売却までの期間です。

買取は下取り価格での売却であるため、仲介の価格よりも安くなります。
買取の価格相場は、仲介の価格の7~9割程度です。

また、買取は不動産会社が直接買主となることから、買主を探す時間が不要となります。
そのため、買取は売却までの期間が短いです。
買取の売却期間はトータルで1週間~1カ月程度ですが、仲介は4~6カ月程度の時間がかかります。

その他としては、買取は仲介手数料が不要ですが、仲介は仲介手数料が必要となる点も違いです。

買取は不動産会社が転売時に利益を得ることができますので、売主から手数料等の報酬をもらう必要はありません。

仲介で土地を売却する売主のメリット・デメリット

仲介で土地を売却する売主のメリット・デメリット

仲介による土地売却には、さまざまなメリットとデメリットがあります。
それぞれ解説いたします。

メリット

まずは仲介のメリットを紹介します。

買取よりも売却価格が高い

仲介は市場価格で売れるため、買取よりも売却価格が高い点がメリットです。
不動産は元々の金額が高いため、2~3割の差でも大きな金額の違いとなります。
買取と仲介では、数百万円から数千万円の差がつくこともあります。

また、仲介は売却価格が高いことから、住宅ローンが残っている物件でも売却しやすいです。
住宅ローンが残っている物件は、売却金額を使って残債を一括返済する必要がありますが、買取では一括返済しきれないこともあります。

残債を一括返済できない場合は、任意売却となることが多いです。
任意売却とは、債権者(銀行のこと)の合意を得て行う借金返済のための売却方法となります。

任意売却を選択すると、ブラックリストに名前が載ります。
ブラックリストとは、信用情報機関の事故情報名簿のことです。

ブラックリストに名前が記載されると、今後5~7年間は新たなローンを組めなくなりますので、実質的に新しい物件に買い替えることができなくなります。

適正価格を把握しやすい

仲介は、適正価格を把握しやすい点もメリットです。
例えば、インターネットの物件広告サイトに掲出されている売り出し価格は仲介を前提とした価格であるため、物件広告サイトを見れば相場をある程度把握することができます。

また、相場は国土交通省が運営している不動産情報ライブラリでも調べることが可能です。
不動産情報ライブラリで調べることができる相場も、仲介による価格になります。

一方で、買取は相場を直接把握できるサイトは存在しません。
買取の相場は、仲介の相場から推し測ることが通常です。

買取の価格は不動産会社の言い値で決まることが多く、ブラックボックスとなっているため、適正価格は把握しにくいといえます。

第三者の立場で売買契約書を作成してくれる

仲介のメリットは、不動産会社が売主と買主の間に立ち、双方の利益を重んじて適切な売買契約書を作成してくれる点が挙げられます。

仲介を入れずに不動産を売買する場合、最も困るのが売買契約書の作成です。
例えば、土地を隣地所有者との間で取引するケースにおいて、不動産会社の仲介を入れずに取引を行うことがあります。

仲介を入れないと不動産のプロが介在しないため、適切な売買契約書が作成できないことが多いです。
不適切な売買契約を作成すると、トラブルが発生したときに後から契約を解除されてしまう等の思わぬ損害を受けてしまう可能性があります。

不動産会社に仲介に入ってもらえば、取引は安全に進められ、売買契約書に関するトラブルが発生しにくくなります。

デメリット

続いて仲介のデメリットを紹介します。

売却までに時間がかかる

仲介は、売却までに時間がかかる点がデメリットです。
査定から引渡までのトータルの期間は、4~6カ月程度となります。

ただし確実に売れるとは限らず、状況によっては半年以上もかかるケースも存在します。

仲介手数料の支払いが必要になる

仲介は、仲介手数料の支払いが必要になる点もデメリットです。

仲介手数料は、取引額(売買金額)に応じて不動産会社が受領できる上限額が決まっています。
取引額と仲介手数料の関係は、下表の通りです。

取引額仲介手数料(別途消費税)
200万円以下取引額 × 5%
200万円超から400万円以下取引額 × 4% + 2万円
400万円超取引額 × 3% + 6万円

仲介手数料の相場は、上限額がそのまま相場となるケースが多いです。

例えば、5,000万円で売却した場合、仲介手数料は「156万円(=5,000万円×3%+6万円)+消費税」となります。

契約不適合責任を負う

仲介による売却では、原則として売主は契約不適合責任を負います。

契約不適合責任とは、契約の目的とは異なるものを売ったときに、売却後、売主が買主から修繕や契約解除、損害賠償等を追及される可能性のある売主責任のことです。

例えば、地下にコンクリートガラのような地中障害物がある土地を売った場合、売却後に買主からコンクリートガラの撤去を求められる可能性があります。

契約不適合責任を回避するには、原則的には不具合を解消したうえで売ることが必要です。
不具合が残る場合には、買主に告知をし、売買契約書にも不具合の存在を明記して、売主の契約不適合責任を免責するという特約を記載することが求められます。

不動産会社が仲介に入っている場合には、契約不適合責任に配慮した売買契約書が作成されることが一般的です。

土地売却で仲介が向いている人

土地売却で仲介が向いている人

土地売却で仲介が向いている人は、以下のような人たちです。

【仲介が向いている人】

  • 少しでも高く売りたい人
  • 時間的に余裕のある人
  • 立地が良い等の条件が良く、早く高く売れる物件を持っている人

条件の良い物件を持っている人は早く売れますので、仲介の売却に時間がかかるというデメリットが薄まります。
また、条件の良い物件は高く売れますので、仲介の高く売れるというメリットがいっそう強まります。
そのため、良い物件を持っている人ほど仲介がおすすめです。

・「不動産売却の仲介と買取の違い」に関する記事はこちら
不動産売却の仲介と買取の違いは?物件ごとの向き・不向きも解説

土地売却で信頼できる仲介業者を選ぶ5つのポイント

土地売却で信頼できる仲介業者を選ぶポイント

仲介は信頼できる業者に頼むことが大切です。
ここでは、不動産会社選びのポイントについて解説します。

1.土地売却の仲介実績が豊富にある

土地を売るのであれば、土地売却の仲介実績が豊富にある会社が望ましいです。
土地は広さによっては、デベロッパー等の法人が購入した方が高くなるケースがあります。
実績豊富な会社は、法人とのコネクションも十分にあるため、高値の売却を追求しやすいです。

2.物件があるエリアの情報に詳しい

物件があるエリアの情報に詳しい不動産会社は、相場に精通していることから、適正価格での売却が期待できます。

例えば、営業エリアを絞っている会社は、地域の相場に精通している可能性が高いです。
査定を依頼する前に、営業エリアを絞り込んでいるかを確認することをおすすめします。

3.担当者の対応がよい

担当者の対応がよいことも、不動産会社を選ぶポイントです。
こちらの質問に対してしっかり回答してくれるといった誠実な担当者は、買主からの信頼も得やすいため、物件をスムーズに売却しやすくなります。

4.インターネット広告をたくさん出している

インターネット広告に対して熱心な会社を選ぶこともポイントです。
物件広告サイトの中には、不動産会社名を入力するとその不動産会社が扱っている物件を見ることができるサイトもあります。

会社名で物件広告を絞り込むと、その会社がどのような広告を行っているかがわかります。
写真の枚数が多い、動画を載せている等の会社であれば、広告に熱心な会社である可能性が高いです。

5.査定額に根拠がある

査定価格に合理的な根拠がある点も、不動産会社選びのポイントです。
仲介の査定価格は売却を保証する価格ではないため、高い査定価格を提示してきた会社を選ぶ必要性は低いといえます。

査定価格の高さよりも根拠を重視することで、確実に売却できる会社を選ぶことができます。

この記事のポイント

土地や建物を売却する際の仲介とは?

仲介とは、売主と買主の間を仲立ちすることであり、売買契約の成立に向けて尽力する行為を指します。
仲介には、売主と買主の両方を仲介する「両手仲介」と、売主または買主のいずれか一方を仲介する「片手仲介」の2種類があります。

詳しくは「土地売却における仲介の基本知識」をご覧ください。

仲介で土地を売却する売主のメリットは?

仲介は市場価格で売れるため、買取よりも売却価格が高い点がメリットです。
不動産は元々の金額が高いため、2~3割の差でも大きな金額の違いとなります。買取と仲介では、数百万円から数千万円の差がつくこともあります。

詳しくは「仲介で土地を売却する売主のメリット・デメリット」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

更地は用途の多様性があり、誰が買うかによっても価格が異なる点が特徴です。例えば広い土地であれば、個人に売るよりもマンションデベロッパーに売った方が高く売れることがよくあります。
土地の買主候補は、個人だけでなく法人も対象となることも多いです。さまざまな買主候補に打診をするためにも、まずは複数の不動産会社の意見を聞くことをおすすめします。

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