不動産買取,仲介,手数料
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不動産買取で仲介手数料はかかる? 必要な費用の種類を解説

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。

ざっくり要約!

  • 自社買取を利用した場合は仲介手数料が不要となるが、買取の仲介を利用した場合には必要となる
  • 不動産の買取を利用するにあたっては仲介の相場を把握しておくことが望ましい

不動産の買取では、原則として仲介手数料は発生しません。
ただし、例外として不動産会社が別の買取会社を仲介した場合には、仲介手数料が発生します。

仲介手数料が発生しない原則的な買取とは、いわゆる「自社買取」と呼ばれる買取であり、依頼した不動産会社が直接買い取るタイプになります。
不動産買取で仲介手数料を発生させたくない場合には、自社買取であるか否かを事前にしっかりと確認することが必要です。
この記事では、「不動産買取の仲介手数料」をテーマに解説します。

不動産買取のしくみとは? 仲介手数料は不要?

不動産買取のしくみとは

不動産の売却方法は仲介が一般的ですが、買取と呼ばれる売却方法も存在します。
この章では、不動産買取の仕組みについて解説します。

不動産買取の概要

買取とは、再販を目的とした不動産会社(買取会社)に対して不動産を直接売る方法のことです。
いわゆる中古車や中古ピアノの下取りと同じ仕組みであり、買取会社に対して下取り価格で安く売ることが該当します。

買取は、不動産会社が直接購入する自社買取のことを指すことが一般的です。
自社買取は不動産会社が買主となるため、仲介ではなく売買となります。
単純に売主と不動産会社が売買契約をするだけであり、買主をあっせんする仲介の行為が存在しないことから、仲介手数料も発生しません。

買取の最大のメリットは、早く売れるという点です。
通常、仲介では査定から引渡まで4~6カ月程度の時間がかかりますが、買取であれば1週間~1カ月程度の期間で売却できます。

その他のメリットとしては、「仲介手数料が発生しない」や「秘匿性が高い」、「問題を抱えている物件でも買い取ってもらえることが多い」等が挙げられます。

一方で、買取の最大のデメリットは、売却価格が安くなるという点です。
買取の売却価格は、仲介による売却価格の7~9割程度となります。

買取では再販時の転売益を確保するため、不動産会社は市場価格(仲介による売却価格)よりも安く買い取る必要があるのです。

買取の仲介とは

一部の不動産会社の中には、買取会社をあっせんするサービスを買取と称している会社も存在します。

買取会社をあっせんする買取の場合には、買主を仲介していることになるため、仲介手数料が発生します。

仲介手数料は発生しますが、買主は買取会社であるため、売却価格は自社買取と同様に安いです。
つまり、仲介でありながらも安く売っているのが買取の仲介ということになります。

買取の仲介を行っている会社は、例えば複数の買取会社に買取価格の相見積を取り、1番高い買取価格を提示した会社に仲介するサービスを提供していることが多いです。

複数の買取会社の価格を比較することで、価格の透明性は確保できるというメリットはあります。
また、売主が自分で複数の買取会社の相見積を取る必要がないため、手間も省ける点がメリットです。

ただし、近年は買取の一括査定サイトも存在し、一般の人でも簡単に複数の買取会社に無料で相見積を取れるようになってきました。
そのため、買取の仲介を利用するメリットは薄れてきているといえます。

不動産買取でかかる手数料や税金

不動産買取でかかる手数料や税金

不動産買取を利用する際は、さまざまな手数料や税金が発生するため、どのような費用がかかるか知っておくことが大切です。
ここでは、買取で生じる費用の種類と内容について解説します。

仲介手数料が必要なケース・不要なケース

仲介手数料は、自社買取を利用した場合には不要です。
一方で、買取の仲介を利用した場合には必要となります。

仲介手数料は、取引額(売買金額)に応じて不動産会社が受領できる上限額が決まっています。

取引額と仲介手数料の関係は、下表の通りです。

取引額仲介手数料(別途消費税)
200万円以下取引額 × 5%
200万円超から400万円以下取引額 × 4% + 2万円
400万円超取引額 × 3% + 6万円

仲介手数料には、別途消費税が発生します。

印紙税

買取で不動産会社との間で締結する売買契約書には、印紙を貼ることが必要です。
印紙税は売買契約書に記載される売買金額によって、下表のように決まります。

売買契約書に記載する売買代金本則軽減税率※
1万円未満200円非課税
1万円以上10万円以下200円200円
10万円超50万円以下400円200円
50万円超100万円以下1,000円500円
100万円超500万円以下2,000円1,000円
500万円超1,000万円以下10,000円5,000円
1,000万円超5,000万円以下20,000円10,000円
5,000万円超1億円以下60,000円30,000円
1億円超5億円以下100,000円60,000円
5億円超10億円以下200,000円160,000円
10億円超50億円以下400,000円320,000円
50億円超600,000円480,000円
金額の記載のないもの200円200円
※2027年3月31日までの軽減税率

譲渡所得税

譲渡所得税とは、不動産の売却時に発生する所得税および住民税、復興特別所得税をまとめた総称のことです。
譲渡所得税は、売却益(譲渡所得)が生じたときに発生します。

譲渡所得の計算式は、以下の通りです。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用

譲渡価額は、主に売却価額のことです。
取得費は、土地は購入額、建物は購入額から減価償却費を控除したものとなります。
譲渡費用は、仲介手数料(発生した場合)や印紙税です。

税金は、譲渡所得に税率を乗じて求めます。

税金 = 譲渡所得 × 税率

税率は下表の通りです。

所得の種類所有期間所得税率住民税率
短期譲渡所得5年以下30%9%
長期譲渡所得5年超15%5%
復興特別所得税の税率は、所得税に対して2.1%を乗じます。
  • 短期譲渡所得:売却する年の1月1日時点において所有期間が5年以下のときの税率
  • 長期譲渡所得:売却する年の1月1日時点において所有期間が5年超のときの税率

譲渡所得が生じない場合には、譲渡所得税は発生しません。
買取は売却価格が安いため、譲渡所得が発生しないケースも比較的多いです。

抵当権抹消費用・司法書士報酬

住宅ローンが残っている不動産を売却する場合には、抵当権抹消費用も発生します。
抵当権とは、債権者(銀行のこと)がその担保物件から優先的に弁済を受けることができる権利のことです。

抵当権抹消の登録免許税は、不動産1個につき1,000円(土地1筆・建物1つなら2000円)となります。
司法書士手数料は、1.5~3.0万円程度が相場です。

住宅ローン返済手数料

住宅ローンが残っている状態で売却する場合は、ローンの一括返済手数料も発生します。
繰上返済手数料は、都市銀行で窓口申し込みを行う場合には3万円程度です。

その他の費用

一般的な仲介による売却では、ハウスクリーニング費用や測量費が発生するケースがあります。

ハウスクリーニングとは清掃会社による家の掃除、測量費は境界が確定していない場合に生じる測量費用のことです。

買取では、一般的に家が汚かったり、境界が確定していなかったりしてもそのまま買い取ってくれるため、ハウスクリーニング費用や測量費は発生しないことも多いです。

不動産買取を成功させるコツ

不動産買取を成功させるコツ

買取であっても、売るなら少しでも高い額で売却したいものです。
この章では、不動産買取を成功させるコツを紹介します。

売却価格の相場を把握する

不動産の買取を利用するにあたっては、まず仲介の相場を把握しておくことが望ましいです。

買取の相場は、仲介の価格の7~9割程度であるため、仲介の相場を把握しておくことで買取の適正価格を知ることができます。

仲介の相場の調べ方は、物件広告サイトで類似の物件の売り出し価格をチェックすることが一つの方法です。

同じ地域の中にある物件において、駅からの距離や築年数、面積等ができるだけ似た物件をピックアップして価格をチェックすると、ある程度の相場を知ることができます。

複数に査定を依頼する

買取で最も重要なのは、複数の不動産会社に買取金額の査定を依頼することです。
買取の査定額はそのまま売却金額になりますので、複数の不動産会社に査定を依頼することで高く買い取ってくれる会社を見つけることができます。

また、複数社に買取を打診することは、売主が交渉を有利に進める上での重要なテクニックです。

査定を依頼するときは、他社にも査定を依頼していることを伝え、競争を意識してもらうことで高い査定額を勝ち取りやすくなります。

不動産買取業者を選ぶポイント3つ

不動産買取業者を選ぶポイント

買取を利用する際は、依頼する不動産会社選びが大切です。
ここでは、不動産会社を選ぶポイントを紹介します。

1.物件買取の実績が豊富である

まずは、買取の実績が豊富である点がポイントです。
買取の実績が豊富であれば、安心して取引を進めることができます。

実績豊富な会社は、ホームページに買い取り実績をしっかりアピールしていることが多いため、事前にホームページをチェックすることが望ましいです。

2.査定の金額が高い

買取の場合、不動産会社は査定の金額が高い会社を選ぶべきといえます。
仲介の査定額は売却予想価格ですが、買取の査定額は売却価格そのものです。

買取は価格が安くなることがデメリットになります。このデメリットを最小化するためにも、最も高い査定金額を提示してきた会社を選ぶことをおすすめします。

3.担当者の対応やサービスが良い

担当者の対応やサービスが良いことも、不動産会社選びのポイントです。
買取を利用する人の中には、すぐにお金が欲しいものの、スピーディーに引っ越すことが難しい人も多くいます。

不動産の売却では、引っ越しは引渡の前に行うことが原則です。
ただし、一部の不動産会社の中には、引渡後に引っ越しすることを認めてくれる会社もあります。

すぐに引っ越せない人は、査定の依頼の際、引っ越しの時期を調整可能かどうか確認すべきです。
調整可能であれば、その会社を選ぶ大きな理由となります。

その他として、買取を利用する人は現金化までの時間が重要となることも多いです。
たとえば1週間以内に現金化したい人であれば、その期日内に現金化できる不動産会社を選ぶ必要があります。

・「不動産売却の仲介と買取の違い」に関する記事はこちら
不動産売却の仲介と買取の違いは?物件ごとの向き・不向きも解説

この記事のポイント

不動産買取でかかる手数料や税金は?

不動産買取を利用する際はさまざまな手数料や税金が発生しますが、仲介手数料に関しては自社買取を利用した場合には不要です。
一方で、買取の仲介を利用した場合には必要となります。

詳しくは「不動産買取でかかる手数料や税金」をご覧ください。

不動産買取業者を選ぶポイントは?

不動産買取業者を選ぶ際には、まず買取の実績が豊富であるかどうかを確認しましょう。買取の実績が豊富であれば、安心して取引を進めることができます。
実績豊富な会社は、ホームページに買い取り実績をしっかりアピールしていることが多いため、事前にホームページをチェックすることが望ましいです。

詳しくは「不動産買取業者を選ぶポイント3つ」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

買取は、感覚的に買取会社の9割程度は自社買取を買取と称していますが、1割程度は買取の仲介のことを買取と称してサービス提供をしています。いずれも買取と称しているため、よく確認しないと自社買取なのか買取の仲介なのかが判別できません。仲介手数料を発生させたくない場合には、自社買取であることをしっかりと確認し、また査定の依頼時にも念のため仲介手数料が発生しないことを確認することが適切です。

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