ざっくり要約!
- マンションを売却した後、譲渡所得が発生した場合、確定申告が必要
- 税理士に確定申告を依頼する際の費用は、譲渡所得の金額に応じて決められることが多い
マンションを売却した場合、多くの場合は確定申告が必要です。しかし、マンション売却に伴う譲渡所得の計算や特例・控除の適用には専門知識が必要で、自分で手続きを行うのは負担が大きく、税理士に依頼する人も少なくありません。
本記事では、税理士に依頼した場合の費用の相場や、費用を抑える方法、さらに依頼する際のメリット・デメリットなどを詳しく解説します。
記事サマリー
マンション売却後の確定申告を税理士に依頼したときの相場

マンションを売却した後、譲渡所得が発生した場合、確定申告が必要になります。
確定申告は自身で行うことも可能ですが、特にマンションの売却など臨時で発生する所得については計算が複雑です。
そのため、確定申告自体は自分でできる人でもマンションの売却があった場合は税理士に依頼する人も少なくありません。
ここでは、税理士に依頼した場合の費用の相場や注意点について解説します。
費用は譲渡所得に応じて変わる
税理士に確定申告を依頼する際の費用は、税理士の設定料金や譲渡所得額によって異なります。
多くの税理士は譲渡所得の金額に応じて報酬を決めています。
譲渡所得の金額に応じて報酬を決める場合の一般的な相場は以下の通りです。
- 1000万円未満の譲渡所得:3万円~6万円
- 3000万円以下の譲渡所得:6万円~12万円
- 5000万円以下の譲渡所得:12万円~15万円
費用には確定申告用の資料作成費、通信費、面談時の交通費、申告書提出費用などが含まれることもあれば、実費は別途請求のケースもあります。
なお、申告期日間近の依頼は割高になったり、そもそも忙しくて依頼を受けてもらえない場合もあるので注意が必要です。
譲渡所得の確定申告についてはその年限りであり、コミュニケーションのしやすさというよりは費用で税理士を選んでもよいかもしれません。
内容によっては追加費用がかかる
各種の特例や控除を適用する場合や複雑な計算が必要な場合には、追加費用がかかることがあります。
追加費用の目安は1万円~10万円程度で、適用する特例に応じて決まっています。
マンション売却後の確定申告の税理士費用を抑える方法3選

マンションを売却したら所得税や住民税などの税金も大きくなりがちです。
専門家に依頼する場合は多少の費用が掛かることはやむを得ませんが、できる限り税理士費用を抑えるためにはどのようにすればよいかを説明します。
1.複数の税理士に見積もりを依頼する
税理士ごとに料金が異なるため、特に依頼したい税理士が決まっていない場合には、複数の税理士に見積もりを依頼するのが基本です。
ただし、個別に連絡するのは大変ですし断るのも気を使います。こういった場合には一括見積サイトなどを活用するのもよいでしょう。
特に、6~11月は税理士の繁忙期ではないため、この時期に相談すると見積もり依頼に対応してくれる税理士も多くなるかもしれません。
また、売却が終わったタイミングなど早めの時期に余裕を持って依頼する税理士を決めておけば、確定申告もスムーズに進めることができるでしょう。
また、マンション売却の譲渡所得は、所得額や特例の適用の有無で見積もりが変動します。
そのため、見積もり時には費用の内訳を明示してもらうとよいでしょう。
2.できる範囲は自分でおこなう
内容によっては税理士の手間を減らすことで、費用を抑えられる場合があります。
たとえば、譲渡所得とは直接関係はありませんが、不動産所得や事業所得を合わせて依頼する場合に会計ソフトへのデータ入力を行うことなどです。
ただし、最終的には税理士が内容をチェックする必要があり、自分で入力したからと言って税理士の手間が減るとは限らず、結果的に報酬に影響しないこともあります。
自分でできることを行うことで費用を減らすことができるのかについては、事前に相談しておいて齟齬がないようにしましょう。
3.対面ではなくメールや電話で相談する
対面での相談で自宅まで来てもらうなどのケースでは交通費や日当が発生し、これが費用に含まれる場合があります。
そのため、相談はメールや電話で完結させたり、自ら事務所に訪問したりすれば余計な出費を抑えることができます。
マンション売却後の確定申告を税理士に依頼するメリット・デメリット

確定申告を税理士に依頼することには、多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
そのため、メリット・デメリットを十分に理解したうえで、自分にとって最適な選択をすることが重要です。
以下では税理士に確定申告を依頼するメリット、デメリットについて説明します。
メリット
税理士にマンション売却の確定申告を依頼するメリットとしては、以下のようなものがあります。
申告漏れや計算ミスのリスクが低い
複雑な譲渡所得の計算や控除の適用漏れを防ぐことができます。
手間を軽減
税務署に行く必要や書類作成の負担がなくなります。
専門的な控除の活用
適用可能な特別控除を見落とさず活用することで、税額を可能な限り抑えることができます。
マンション売却の確定申告で適用できる特別控除としては、主に以下のようなものがあります。
- 3,000万円の特別控除
居住用財産を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。 - 軽減税率の特例
所有期間が10年以上の居住用財産を売却した場合、長期譲渡所得の税率が軽減されます。 - 買い換え特例
居住用財産を売却し新たな居住用財産を購入した場合、譲渡益への課税を繰り延べられます。 - 特定事業用資産の買換え特例
事業用資産を売却し、他の事業用資産を購入した場合、譲渡益への課税を繰り延べられます。 - 居住用財産の譲渡損失特例
住宅ローンが残っている居住用不動産の売却で損失が出た場合、損失を給与所得などと相殺できます。
デメリット
税理士にマンション売却の確定申告を依頼するデメリットとしては、以下のようなものがあります。
費用がかかる
税理士への報酬が発生する点はデメリットといえるかもしれません。
ただし、専門家に依頼して税金の計算を間違いなくやってもらうことの対価なので、税理士に依頼して報酬がかかることは当然ともいえます。
税理士の選定が必要
譲渡所得に詳しい税理士を選ぶ必要があるため、知り合いにそういった税理士がいないと税理士の選定に時間がかかる可能性があります。
マンション売却後の確定申告を税理士に依頼する基本の流れ

マンション売却の確定申告を税理士に依頼する基本的な流れは以下の通りです。
ただし、顧問税理士がいる、知り合いに税理士がいるなどの場合は、あえて税理士を新たに探さずにその税理士に依頼する形でもよいでしょう。
くれぐれも税理士への質問は見積もりの内容や業務のスケジュールなどにとどめましょう。手続きは自力で行うため、計算方法だけを税理士に質問するといったことはNGです。そうした方については税務署の無料確定申告相談会を利用するなどしましょう。
1.複数に見積もりを依頼・選定する
売却後に確定申告が必要とわかった時点で、税理士に見積もりを依頼するとよいでしょう。
一括見積サイトなどを活用しつつ複数の税理士に相談し、費用や信頼性を比較して決定するのがおすすめです。
2.資料を送付し確定申告書を作成してもらう
必要書類(登記簿謄本、売買契約書、不動産購入時や売却時の領収書、通帳の写し、源泉徴収票など)を準備し、税理士に提出します。
必要な書類については税理士から案内があるので、それに従って準備すれば問題ありませんが、一般的には以下のような書類が必要となります。
・売買契約書の写し
不動産を売却した際の売買契約内容を証明する書類です。
売却金額、契約日、取引の相手方の情報が記載されています。
・登記事項証明書(登記簿謄本)
不動産の権利情報(所有者、抵当権など)を記載した書類です。
不動産の所有者を証明する際に使用するほか、確定申告では土地の面積等を確認するためにも使用します。
・取得費や譲渡費用が分かる書類
不動産購入時の取得費用や売却時の譲渡費用を証明する領収書や明細書です。
マンション購入時の売買契約書や購入時や売却時の仲介手数料の領収書などが該当します。
譲渡所得の計算時に所得から引くことができる費用を計算するために使用します。
3.内容を確認し報酬を支払う
税理士に提出した書類に基づいて税理士が申告書を作成してくれます。その後、申告書が完成して税理士から提出前の確認があります。
申告書の内容を確認し、問題がなければ税理士から申告書を税務署に提出して、控えを受け取り、請求書に基づいて税理士に報酬を支払います。
申告書の提出は税理士に任せる場合が通常ですが、急ぎで控えが必要などの事情がある方は希望すれば自分で行うことも可能です。
マンション売却後の確定申告は税理士に依頼したほうがいい?

確定申告書の提出は自分で行うことが可能です。それでも税理士に依頼したほうが良いケースと、そうでないケースについて詳しく解説します。
したほうがいい人
日常的に忙しく、確定申告書の作成や税務署とのやり取りに割く時間が取れない人は、税理士に依頼することをおすすめします。
特に、不動産売却に伴う確定申告は、譲渡所得の計算や必要書類の準備などが複雑になりがちです。こうした作業を専門家に任せることで、ミスを防ぐことができます。
さらに、マンションなど不動産の売却は計算や特別控除などの適用関係が複雑です。税務のプロである税理士に依頼することで心理的な負担を軽減できます。
しなくてもいい人
一方で、時間に余裕があり、自分で確定申告を行う自信がある人は、税理士に依頼せずに済む場合があります。
確定申告に必要な知識があり、譲渡所得の計算や書類作成に負担を感じない場合は、手続きを自力で完了することもできます。
また、特別控除を受けることで納税額がゼロになる場合も、税理士に依頼する必要性は低いと言えるでしょう。
この記事のポイント
- マンション売却後の確定申告の税理士費用を抑える方法は?
税理士ごとに料金が異なるため、特に依頼したい税理士が決まっていない場合には、複数の税理士に見積もりを依頼するのが基本です。
詳しくは「マンション売却後の確定申告の税理士費用を抑える方法3選」をご覧ください。
- マンション売却後の確定申告は税理士に依頼したほうがいい?
日常的に忙しく、確定申告書の作成や税務署とのやり取りに割く時間が取れない人は、税理士に依頼することをおすすめします。
特に、不動産売却に伴う確定申告は、譲渡所得の計算や必要書類の準備などが複雑になりがちです。こうした作業を専門家に任せることで、ミスを防ぐことができます。詳しくは「マンション売却後の確定申告は税理士に依頼したほうがいい?」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
マンションなどの不動産売却は、不動産会社や不動産転売を行っている人でもない限りそう頻繁に起こることではなく、確定申告自体には慣れている人でもマンション売却の譲渡所得の計算は勝手が違います。
税理士に依頼するかどうかは自由ですが、確定申告の心理的負担を減らしたい場合は依頼するのがおすすめです。自力で行う場合は税務署の確定申告相談会などを活用しつつ進めましょう。

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