更新日:  

いつまでもらえる?こどもみらい住宅支援事業の補助金額や申請方法を解説

執筆者プロフィール

海老原政子
ファイナンシャル・プランナー/住宅ローンアドバイザー

国内の生命保険会社にて生命保険募集人業務に携わるなかでライフプランの重要性に目覚め、生活者視点を活かしたFP業務を開始。千葉で、家計相談や執筆業務、個人・企業向けマネープランセミナーをおこなう。生命保険見直しや住宅ローンの借り換え、貯蓄ができない家計の体質改善アドバイスなど、わかりやすい情報提供が好評。

住宅購入やリフォーム工事にはまとまった資金が必要です。使えるものであれば、補助金や税優遇制度をフルに活用したいですよね。そこで、今回は「こどもみらい住宅支援事業」を取り上げます。「こどもみらい」という名称から子育て世代が対象と思われるかもしれませんが、リフォームにかんしてはそうではありません。補助金の範囲や対象となる条件などをまとめていますので、ぜひご覧ください。

「こどもみらい住宅支援事業」って何?

こどもみらい住宅支援事業とは、新築住宅購入者やリフォーム工事者が国から補助金を受け取れる制度のことです。

こどもみらい住宅支援事業には2つの目的があります。一つは子育て世帯を支援すること。そしてもう一つは、ZEH住宅など省エネ性能を有する住宅を建てる方、住宅の省エネ性能を高めるリフォーム工事をする方の経済的な負担を軽減し、日本に省エネ住宅を増やす目的です。

対象世帯は制限される?申請期限は?

制度の利用に際し、注文住宅新築や分譲住宅購入にかんしては対象となる世帯の制限(子育て世帯または若者夫婦世帯)があります。しかしリフォームについては世帯の制限はありません。
補助対象となる住宅やリフォーム工事にはそれぞれ要件があり(後述)、交付申請の期限は2023年3月末までとなっています。

新築住宅(注文住宅・分譲住宅・マンション)を購入するケース

住宅を購入する際の対象者、補助金額、条件などを詳しくみていきましょう。

対象世帯

新築住宅の場合、こどもみらい住宅支援事業の補助対象となる方は、子育て世帯(2003年4月2日以降に出生した子を有する世帯)、または若者夫婦世帯(夫婦のいずれかが1981年4月2日以降に生まれた世帯)です。

補助金の交付申請をするときに、住民票(世帯票)の写しを提出し、ご夫婦またはお子様の誕生日をもとに対象かどうか判断されます。また上記要件を満たす世帯と同居するための新築住宅も申請可能です。

補助される金額

新築住宅の性能に応じて60万円~100万円補助されます。

ZEH住宅:100万円
高い省エネ性能等を有する住宅:80万円
一定の省エネ性能を有する住宅(※):60万円

※2022年6月30日までに工事請負契約を締結したものに限ります。

補助金は住宅事業者に振り込まれるため、契約代金の一部に充当する形で還元されることがほとんどです。契約代金を精算済みの場合に限り、現金で還元されます。

対象となる住宅の条件

住宅は下記6つの条件をすべて満たす必要があります。

  1. 所有者自らが居住する
    完了報告時に住民票の写しで居住を証明します。
  2. 土砂災害防止法に基づく、土砂災害特別警戒区域外に立地する
    本事業用「工事出来高確認書」を提出します。
  3. 未完成または完成から1年以内であり、人の居住の用に供したことのないもの
    完成日については、「完了検査済証」の発出日で確認します。
    ※分譲住宅やマンションの場合、「不動産売買契約締結時点において」未完成または完成から1年以内となります。
  4. 住居の床面積が50㎡以上である
    吹き抜け、バルコニー、メーターボックスは除きますが、階段下のトイレや収納などの面積は含まれます。戸建住宅であれば「検査済証」、集合住宅であれば建物の「登記事項証明書」で確認されます。
  5. ZEH住宅、高い省エネ性能などを有する住宅、一定の省エネ性能を有する住宅のいずれかに該当する
    それぞれ証明書類が異なります。
    ZEH住宅であれば「BELS評価書」「設計住宅性能評価書」「建設住宅性能評価書」など。
    高い省エネ性能などを有する住宅であれば、「長期優良住宅建築等計画認定通知書」「低炭素建築物新築等計画認定通知書」「性能向上計画認定通知書」などが必要です。
    「一定の省エネ性能を有する住宅」は、2022年6月30日までに工事請負契約を締結したものに限るためここでは割愛します。
  6. 交付申請時、基礎工事(杭基礎の場合は杭工事)の完了、または、一定以上の出来高の工事完了【建築工事の契約金額(税込)×出来高(%)≧住戸あたりの補助額×総戸数を満たしていること】が確認できる
    どちらも建築士による証明書が必要です。

詳細は、こどもみらい住宅支援事業の注文住宅の新築ページでご確認ください。

申請の手続き期間

まず予約して、着工後に交付申請、所定の期間内に完了報告をおこないます。

交付申請の予約】
2022年3月28日~(遅くとも)2023年2月28日

【交付申請期間】
2022年3月28日~(遅くとも)2023年3月31日

【完了報告期間】
交付決定以降、補助対象の建物に応じて下記のとおり、報告期日が設けられています。

戸建住宅:交付決定~2023年10月31日
共同住宅(階数が10以下の建物):~2024年7月15日
共同住宅(階数が11以上):~2025年5月31日

リフォームをするケース

こどもみらい住宅支援事業の補助対象となるリフォーム工事には、3つの必須工事と自由に追加できる工事があります。対象となるリフォーム工事内容と補助額は次のとおりです。
※【】内の金額が補助額

対象となるリフォーム工事と補助金額

【必須工事(申請にあたりいずれか1つ以上の工事が必須)】

  1. 開口部の断熱改修(ガラス交換/内窓設置/外窓交換/ドア交換)【2,000円~32,000円/箇所 ※ガラスは1枚当たり】
  2. 外壁、屋根・天井または床の断熱改修【18,000円~102,000円/戸】
  3. エコ住宅設備の設置

 3-1太陽熱利用システム【24,000円/戸】

 3-2節水型トイレ【17,000円~19,000円/台】

 3-3高断熱浴槽【24,000円/戸】

 3-4高効率給湯機【24,000円/戸】

 3-5節湯水栓【5,000円/台】

【追加できる工事(必須工事とあわせておこなう必要あり)】

  1. 子育て対応改修【2,000円/箇所~86,000円/戸】
  2. 耐震改修【150,000円/戸】
  3. バリアフリー改修【5,000円~15,000円/戸】
  4. 空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置【19,000円~24,000円/台】
  5. リフォーム瑕疵保険などへの加入【7,000円/契約】

工事の詳細や対象となる商品は、こどもみらい住宅支援事業のリフォームページでご確認ください。

対象者

リフォーム工事の場合は対象となる世帯の制限はありません。ただし子育て世帯などに該当する場合、補助上限が引き上げされます。

こどもみらい住宅事業者と、上記に該当するリフォーム工事の請負契約を結ぶ発注者(住宅の所有者やその家族、貸借人、管理組合など)であれば誰でも申請可能です。

補助金額の制限と申請可能回数

新築住宅にはない条件として「補助額の合計が5万円以上であること」が挙げられます。補助の上限は、原則として1戸あたり30万円です。

ただし、以下に当てはまる場合は補助上限が30万円~60万円まで引き上げられます。

  • 子育て世帯または若者夫婦世帯が、自ら居住する住宅に行うリフォーム工事
  • 工事発注者が、自ら居住するために購入した既存住宅に行うリフォーム工事

詳細はこどもみらい住宅支援事業のリフォームページでご確認ください。

同じ住宅においてリフォーム工事を何回かに分けておこなう場合、補助上限額の範囲内なら複数回、申請をおこなえます。ただ申請ごとにすべての要件を満たす必要がありますのでご注意ください。

なお、新築住宅でこの補助金の交付を受けた場合、同じ住宅のリフォーム工事において再度申請することはできません。

申請の手続き期間

こちらもまず予約して、着工後に交付申請をおこないます。

【交付申請の予約】
工事着工後~工事完了まで(遅くとも)2023年2月28日まで

【交付申請期間】
工事完了後~(遅くとも)2023年3月31日まで

こどもみらい住宅支援事業の申し込みはどうすればいい?

こどもみらい住宅支援事業の補助金の申請は、販売・工事をおこなう住宅事業者が代表して手続きします。
ただし、住宅業者は誰でもよいわけではありません。事業登録が済んだ住宅事業者(こどもみらい住宅事業者)と契約を結ぶ必要があります。

消費者(建築主・買主・発注者)側が直接おこなうことができませんので、登録事業者と協力して進めていきましょう。

こどもみらい住宅支援事業のHPでこどもみらい住宅事業者の検索ができますので、まずは情報収集からはじめましょう。

支援事業の期限はいつまで?

新築住宅・リフォームいずれの場合も、交付申請の期限は2023年3月31日まで延長されました。

こどもみらい住宅支援事業について注意すべきポイント

こどもみらい住宅支援事業について注意すべき2つのポイントを解説します。

予算に達し次第、締切られる可能性もある

予算の執行状況によっては受付が早く終了する場合も考えられます。補助を受けたい場合は早めに予約手続きおこないましょう。執行状況についてはホームページなどで発信される予定です。

別の補助金との併用が難しいケースもある

併用できる制度もありますが、国のほかの補助制度との併用は基本的にできません。

【併用できる制度の例】

  • 住まい給付金
  • 住宅ローン減税等の税制優遇
  • 被災者生活再建支援制度
  • 解体工事への補助など

【併用不可の例】

  • 地域型住宅グリーン化事業
  • ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業
  • ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化による住宅における低炭素化促進事業(※)
  • 市街地再開発事業への補助など

※リフォームの場合、工事請負契約が別のときは併用可

財産処分などの制限がある

こどもみらい住宅事業者に補助金が振り込まれた後、建築主(買主・発注者)は10年間、国または事務局の承認なく交付目的に反した使用や譲渡、交換、貸付、担保に供することはできなくなります。

海外赴任などで長期間、家を空ける可能性がある方は慎重に検討すべきかもしれません。

まとめ

家計をやりくりして住宅資金を貯めるのは大変です。補助制度を使い少しでも必要資金を下げられるとよいですね。また、シニア世帯もこの制度を上手に利用したいもの。終の棲家に向けてのリフォームで必須工事を取り入れられないか、検討してみてはいかがでしょうか。

この記事のポイント

住宅支援事業はいつまでに申請すればいい?

住宅購入・リフォームともに申請期限は2023年3月31日までです。
詳細については、住宅購入は「新築住宅(注文住宅・分譲住宅・マンション)を購入するケース」、リフォームは「リフォームをするケース」をご確認ください。

補助金額はいくら?

新築住宅の場合は60万円~100万円、リフォームの場合は原則5万円~30万円です。
詳細については、住宅購入は「補助される金額」、リフォームは「補助金額の制限と申請可能回数」をご確認ください。

査定は手間がかかりそう。そんな人にはAI査定!

ご所有不動産(マンション・一戸建て・土地)を登録するだけでAIが査定価格を瞬時に算出いたします

スピードAI査定をしてみる