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40年住宅ローンのメリット・デメリット、組むときのポイントを紹介!

執筆者プロフィール

海老原政子
ファイナンシャル・プランナー/住宅ローンアドバイザー

国内の生命保険会社にて生命保険募集人業務に携わるなかでライフプランの重要性に目覚め、生活者視点を活かしたFP業務を開始。千葉で、家計相談や執筆業務、個人・企業向けマネープランセミナーをおこなう。生命保険見直しや住宅ローンの借り換え、貯蓄ができない家計の体質改善アドバイスなど、わかりやすい情報提供が好評。

住宅ローンを組んで家を買う場合、返済期間は何年間をイメージしますか?

多くの人が、最長の「35年ローン」を想像したのではないでしょうか。しかし、超長寿社会の日本においては住宅ローンの返済期間も伸びてきており、2021年の京葉銀行を皮切りに、多くの金融機関でより長い「40年ローン」や「50年ローン」という商品が誕生しています。今回は「40年住宅ローン」に的を絞り、その内容を解説していきます。

35年以上の住宅ローンは組める?

時世にあわせて最近誕生したように感じられる35年以上の住宅ローンですが、実はこれまでにも、全期間固定金利商品の代表選手である【フラット35】の兄弟分とも言える【フラット50】という最長50年の住宅ローンがありました。

ただ、こちらは長期優良住宅を建てたり、買ったりするときにのみ利用できる商品で、購入希望の物件が要件に合わなければ使えません。

しかし最近、多くの金融機関が提供する変動金利住宅ローンについても、最長返済期間35年を延長して「40年住宅ローン」「50年住宅ローン」が組めるようになってきました。

40年住宅ローンの取扱金融機関

まずは、40年住宅ローンの取り扱いがある金融機関をいくつか紹介します。融資金額および返済期間以外の利用条件には細かな部分もありますので、直接、自身で確かめてみましょう。

京葉銀行

融資金額:100万円以上〜1億円以内(10万円単位)
返済期間:1年以上〜40年以内
※全期間固定金利型を選んだ場合や中古物件の購入、増改築で利用する場合などは35年以内

北洋銀行

融資金額:100万円以上〜1億円以内(10万円単位)
返済期間:2年以上〜40年以内(1年単位)
※35年超40年以内の取り扱いは固定金利特約型に限定/全期間固定金利型は2年以上35年以内

熊本銀行

融資金額:50万円以上〜1億円以下
※融資手数料型は融資金額500万円より
返済期間:変動金利型は1年以上〜40年以内(1年単位)、固定金利型は各固定金利期間以上40年以内(1年単位)、全期間固定金利型は20年・25年・35年の3種類かつおのおのの期間以内

スルガ銀行

融資金額:4億円以内
返済期間:一戸建ては40年以内、マンションは50年以内

東海労働金庫

融資金額:1万円以上〜1億円以内(1万円単位)
返済期間:1年以上〜40年以内

※借り換えの場合はおおむね残存返済期間内
※金融機関により適用金利や利用条件が異なります
※2022年10月末現在/金融機関WEBサイトより一部抜粋して掲載(筆者調べ)

40年住宅ローンを組むメリット

多くの人にとって長い付き合いとなる住宅ローン。返済期間が40年ともなれば、メリット・デメリットを知り慎重に検討する必要があります。まず40年住宅ローンを組むメリットについて考えてみましょう。

毎月のローン返済額が軽減される

借入額と金利が同じであれば、返済期間35年で組んだローンより40年ローンのほうが毎月の返済額は下がり、その分、家計にゆとりが生まれます。

逆に「毎月の家計負担が上がってもいいので、住居のグレードを高くしたい」といった人も、総年間返済額が下がる40年ローンにすることで借り入れられる金額が上がるため、検討の余地があります。

子育て中は住居費を低めに抑えて学費を優先したい人や、当初借入額を増やしたい人、先のことはわからないので返済期間を最長で契約し、住宅ローン控除期間が終わったあとに都合のいいタイミングで繰り上げ返済したい人などは、住宅購入時の選択肢となりえるでしょう。

団体信用生命保険を40年で設定可能

住宅ローンを借り入れる際、通常、団体信用生命保険への加入が必須です。返済期間を40年にすることで、同時に長期の遺族保障も手に入れることになります。

仮に30歳~70歳で借り入れをしたとすれば、その間は最小限の掛け捨てタイプの生命保険への加入で済むため、長い目で保険料の節約につながります。

40年住宅ローンを組むデメリット

続いて40年ローンのデメリットを考えてみましょう。

融資金利が高くなりがち

【フラット35】において、返済期間20年を境に融資金利が異なることをご存じでしょうか。返済期間が延びるほど、借りる側と貸す側、双方にとって不確実性が高まります。そのため、一般的に金利を固定する期間が長くなるほど融資金利はアップしていきます。

金利が上がれば、それだけ多くの利息を支払わなければなりません。変動金利プランであれば、契約当初の金利が低くても将来的に金利が高くなる可能性があるため、なおさら注意が必要です。変動金利プランを検討する場合は特に、金利を変えたさまざまなシミュレーションを行うことをおすすめします。
例えば、フラット35の2022年11月金利は 1.54%。一方フラット50の場合は2.36%とこれだけ差があります(いずれも融資率9割以下の最頻金利)。

総返済額(支払利息)が増える

前項で金利のことをお伝えしましたが、同じ金利でも借入期間を長く設定するほど支払利息は増えていきます。もちろん、返済期間40年だと、35年で組む場合よりも総支払利息は増えます。毎月の住宅ローン返済額だけではなく、総返済額や完済までに支払う利息についても目を向けて検討を進めましょう。

定年後も長くローン返済が残る

一番のデメリットとも考えられるのが、定年後も長く続くローン返済です。なぜなら、いったん年金受給がスタートすると、その後は年金収入を増やすことができません。今後の経済情勢や年金制度の改定などによっては、さらに手取り収入が減ることも考えられます。収入を増やしにくいリタイア生活において、住居費は一番に抑えたい支出費目です。

借り入れを決める際は、繰り上げ返済もイメージしておくと40年ローンと付き合いやすくなります。長期的な繰り上げ返済スケジュールを練り、退職金を当てにせず毎月の家計から繰り上げ返済用の貯蓄が続けられるかなどを検討のポイントにしましょう。

35年・40年の住宅ローンの返済額を比較

固定金利タイプの住宅ローンを返済期間35年と40年で借り入れた場合、毎月の住宅ローン返済額や総支払額がどのように変わるか、総支払利息はどうなるかなど、例を比較しながら見ていきましょう。

<試算の前提>
借入年齢:30歳
借入額:4,000万円(ボーナス返済なし)
金利タイプ:全期間固定金利
返済方法:元利均等
金利:2.4%
※契約時の諸費用や保険料などは含まない

【35年返済のケース】
毎月返済額:140,863円
総支払額:59,162,207円
支払利息:19,162,207円
利息割合:32.4%
60歳時点残債:7,956,682円
完済年齢:65歳

【40年返済のケース】
毎月返済額:129,714円
総支払額:62,262,605円
支払利息:22,262,605円
利息割合:35.8%
60歳時点残債:13,826,411円
完済年齢:70歳

融資金利は住宅ローン申込者の属性や物件によりますが、今回は返済期間を鑑みて、変動金利ではなく全期間金利を固定して(【フラット50】の2022年11月金利と同等の金利で)シミュレーションを行いました。

2つのシミュレーションから、35年返済と40年返済において毎月のローン返済額は40年返済のほうが【▲11,149円】、一方で支払利息は40年返済のほうが【+約310万円】という結果になりました。

毎月の家計において、1万円以上の支出の差は大きいかもしれません。一方で利息の増額も数百万円にのぼります。

この記事のポイント

「40年住宅ローン」のメリットって?

借入額と金利が同じであれば、返済期間35年で組んだローンより40年ローンのほうが毎月の返済額は下がり、その分、家計にゆとりが生まれます。

また、借入可能額が上がるため、住居のグレードを上げることも可能です。さらに、団体信用生命保険の加入期間が長くなるため、期間中は掛け捨てタイプの生命保険への加入で済むというメリットもあります。

詳しくは「40年住宅ローンを組むメリット」をご覧ください。

「40年住宅ローン」では何に注意すべき?

住宅ローンを40年で組む際は、融資金額が高まる傾向があること、総返済額(支払利息)が増えること、定年後もローン返済が残ることに注意しましょう。

特にローン返済が長く続くという点では、繰り上げ返済を見越した長期的なスケジュールをあらかじめ立てておく必要があります。

詳しくは「40年住宅ローンを組むデメリット」をご覧ください。

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