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タワーマンションの定義や相場は?メリット・デメリットも解説

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。

その高さから大いに目立つタワーマンションは富の象徴のようなイメージもあり、何かと話題になっています。ドラマなどでもお金持ちが住む家として登場することから、タワーマンションに住むことはいまや一つのステータスといえるでしょう。
この記事ではタワーマンションの定義や相場、メリット・デメリットについて解説します。

タワーマンションとは?

タワーマンションとは、一般的には四角柱またはほぼ円柱の形状で高くそびえ立つ超高層マンションを指します。

タワーマンションは法律用語ではなく一般用語であるため、正確な定義は存在しません。そのため、なんとなく多くの人が「あれはタワーマンション」と認識しているようなマンションはタワーマンションといっていいでしょう。

高さが60メートル超または階数が20階以上の建物

タワーマンションは明確な定義がないものの、よく「高さ60m超のマンション」として扱われることがあります。
建築基準法では、高さ60m超の超高層建築物は「時刻歴応答解析」と呼ばれる特殊な構造計算が必要となり、設計の扱いが明確に異なることから、高さ60m超のマンションをタワーマンションと呼ぶ人もいるのです。

また、住宅の階高は一般的に3mが標準的な高さとなっており、20階以上になると3m×20階で高さがちょうど60mとなります。そのため、階数が20階以上の建物は高さが60m超になることも多く、20階以上のマンションであればタワーマンションと呼ばれることもよくあります。

しかしながら、20階建てはタワーマンションとしては低い部類といえ、板状(ばんじょう)マンションにも同じような高さのものがみられます。板状マンションとは、住戸が一面に並び、壁のようにそびえ立っている従来型のマンションのことで、板状の片側(南側もしくは東側)がすべてバルコニーで、その反対側がすべて外廊下となっているのが特徴です。

ただし、同じ20階建てでも板状マンションをタワーマンションと呼ぶ人はほとんどいないため、タワーマンションとして認識されるには高さのみならず形状も重要な要素といえます。

一般的にタワーマンションとされる物件は、形状が四角柱またはほぼ円柱で直立にそびえ立っていることが多いです。その形状から東西南北に住戸が配置されており、バルコニーが北向きや西向きなど、一般的にあまり好まれない向きの部屋も多く存在するのが板状マンションとの違いといえます。もちろん、南向きや東向きといった条件の良い部屋もありますが、条件の劣る部屋が半分近く生じてしまうのです。

出典:建築関係法の概要|国土交通省

タワーマンションの相場

タワーマンションの相場は立地や築年数、面積によっても異なります。賃貸と分譲の場合をそれぞれみていきましょう。

賃貸の場合

2022年1月に竣工した東京都港区の「虎ノ門ヒルズレジデンシャルタワー」の賃料の幅は「52〜220万円」です。広さは「56.56㎡ 〜 170.32㎡」となっています。低層階と高層階で賃料が異なり、高層階のほうが高くなります。

分譲の場合

2022年12月に竣工した東京都港区の「白金ザスカイ」の価格の幅は「4,580~2億9,500万円」です。広さは「約23㎡〜約92㎡」となっています。賃貸と同じく低層階と高層階で価格が異なり、高層階のほうが高くなります。

タワーマンションのメリット

タワーマンションのメリットについて解説します。

立地の良い物件が多い

タワーマンションは比較的立地の良い物件が多いといえます。タワーマンションを建築するには土地に高い容積率が指定されている必要があるからです。

容積率とは、敷地面積に対する建物の延床面積の割合のことを指します。容積率が高く指定されていると延床面積を増やすことができるため、高い建物を建てることができます。

容積率の指定はエリアによって決まっており、主にオフィスビルが建っているような中心市街地は容積率が高く指定されています。郊外や地方では駅直結型のタワーマンションがよくみられますが、駅周辺の容積率が高いことが理由です。

タワーマンションの立地の良さには、タワーマンションを建てるには高い容積率が必要であることと、高い容積率が指定されている場所に駅前などの便利なエリアが多いことが関係しています。

よく「タワーマンションは資産価値が高い」という人がいますが、すべてのタワーマンションの資産価値が高いのではなく「立地の良い物件は資産価値が高い」というほうが適切でしょう。

共用部の施設が充実している

タワーマンションは共用部の施設が充実しているという特徴があります。近年は、タワーマンションに限らず新しいマンションは共用部の施設が充実している傾向にありますが、タワーマンションそのものに新しい物件が多いため、総じて共用部の施設も豪華です。

タワーマンションにはパーティールームやキッズルームなどがあり、物件によってはスポーツジムやカラオケルーム、保育園、コインランドリーなどもあります。また、管理人以外に、コンシェルジュやドアマンなどを駐在させているタワーマンションも存在します。

開放的な敷地でグレード感が演出されている

開放的な敷地でグレード感が演出されている点もメリットです。タワーマンションに住むことにステータスを感じる人も多いようですが、高級感を感じる理由の1つに敷地の演出が豪華であることが挙げられます。

タワーマンションの敷地が立派なのは「総合設計制度」を利用しているためです。総合設計制度では、敷地に公開空地と呼ばれる空地を設けることにより、容積率が割り増しされる仕組みとなっています。

公開空地は、周辺住民に敷地が公開されていることが前提であるため、公開空地を設けているタワーマンションは敷地境界にフェンスなどはありません。周辺道路との連続性が保たれており、公園のようにきれいに整備されていることが通常です。

タワーマンションは敷地が「公園のような庭」となっていることから、住民はもちろん、訪問客も魅力的に感じることが多いでしょう。家族や友人を招いたときに誇れるような気分となるのは、足元の庭が開放的で立派に整備されていることも大きな理由といえます。

出典:総合設計に係る許可準則について|国土交通省

上層階は相続税の節税対策にもなる

2022年12月時点では、タワーマンションの上層階には相続税の節税効果があるといえます。上層階が相続税対策になる理由は、時価と相続税評価額とのギャップが大きいからです。

タワーマンションの上層階には、売却した場合は1億円前後するのにもかかわらず、相続税評価額は3,000~4,000万円程度といった物件もあります。本来1億円の価値のある資産を持っているにもかかわらず、3,000万円程度の資産を持っているものとして相続税が計算されるため、相続税の節税になります。いわゆる「タワマン節税」と呼ばれる手法です。

ただし、近年は過度な相続税対策は否認される傾向が強まっており、タワマン節税も国税庁がにらみを利かせています。専門家の中には、タワマン節税をおすすめしない節税方法とする人も少なくないので、あからさまに節税目的で上層階を購入することは避けた方が無難です。

タワーマンションのデメリット

魅力がたくさんあるタワーマンションですが、デメリットもあります。

風が強く洗濯物を外に干せない

タワーマンションの上層階は風が強く、ベランダに洗濯物を干せない物件も少なくありません。ただし、浴室乾燥機が付いている物件が多いため、浴室で洗濯物を干すことが可能です。

衣服などの日常的な洗濯物であれば、浴室乾燥でも十分といえますが、シーツやタオルケットといった大きなものは浴室では干しにくいため、ベランダで洗濯物を干せないことにストレスを感じる場合もあるでしょう。

地震の揺れを感じやすい

タワーマンションに限らず、高層建築物では地震の発生時に大きな揺れを感じやすい点がデメリットです。高層建築物で感じる地震の揺れは「長周期地震動」と呼ばれます。

建物には地震時に生じる固有の周期が存在し、高層建築物は固有周期が長いという特徴があります。震度3の地震でも、1階の人は大した揺れを感じないのに対し、50階の人は長周期地震動で大きくて長い揺れを感じやすいのです。

ただし、高層階の揺れが大きいからといってもタワーマンションの耐震性が弱いという話ではありません。タワーマンションは免震構造の物件も多く、むしろ耐震性が高い場合がほとんどです。とはいえ、長周期地震動は高層建築物には付き物であることから、上層階に住む場合は家具を固定するなどの対策が必要となります。

維持費が高い

タワーマンションは管理費や修繕積立金が高い傾向があります。共用部の施設が充実している分、どうしても管理費が高くなりやすく、また修繕の際に特殊な工法が必要になることから修繕積立金も割高になりがちです。

板状マンションでは戸数が多いほど管理費や修繕積立金が安くなる傾向がありますが、タワーマンションにはそうした傾向があまりみられません。

停電に弱い

タワーマンションは長期間の停電に弱く、特に上層階に住んでいる場合はエレベーターが停まってしまったときに自力で部屋までたどり着くことが難しくなります。また、高層階に水をポンプアップしているという仕組みから、ポンプへの供給電力がなくなると断水してしまいます。

昨今では非常用発電装置を備えている物件も多いですが、非常用発電の想定している停電日数を超えるような長期の停電が生じた場合は対応力が不十分といえます。

この記事のポイント

タワーマンションとはどんなマンション?

一般的には四角柱またはほぼ円柱の形状で高くそびえ立つ超高層マンションを指します。
ただし、タワーマンションは法律用語ではなく一般用語であるため、正確な定義は存在しません。

詳しくは「タワーマンションとは?」をご確認ください。

タワーマンションにはどんなメリットがある?

立地が良い物件が多い、共用施設が充実している、ステータスが感じられるなどのメリットがあります。

詳しくは「タワーマンションのメリット」をご確認ください。

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