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平屋の間取り例や価格は?メリット・デメリットも紹介

この記事の監修

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。

家を建てるなら「憧れの平屋にしたい」と考えている人もいらっしゃると思います。
平屋は家の中に階段がないため暮らしやすい一方で、敷地に十分な余裕がないと満足度の高い家を建てるのが難しいという特徴もあり、贅沢な家の建て方とも言われています。

この記事では「平屋」の特徴や相場、メリットやデメリットについて解説します。

平屋の特徴とは?

平屋とは「1階建ての戸建て住宅」のことです。登記簿謄本では「平家」と表記し、「屋」ではなく「家」という漢字を用いますが、意味は平屋と同じです。

平家は2階建ての戸建てと比較すると延床面積(各階面積の合計)が少ないことから、建築費の総額を抑えられます。そのため、平家を検討している人の中には、建築費を抑えることを主目的としている方もいるようです。

しかしながら、同じ床面積の建物を建てる場合は、2階建てよりも平屋の方が広い土地面積を要します。十分な広さの平屋を建てるには、それに見合う広さの土地が必要です。そのため、昔から広い土地を持っている人が建てるケースが比較的多く、広大な土地を所有している資産家の方が平屋を建てる例も多いです。

ゆえに、コストを抑えたい人が建てるよりは、むしろ裕福な人が住みやすさを追求して建てていることも多いといえます。戸建てのワンランク上の形が平屋であり、平屋に住むことは1つのステータスでもあるのです。

平面的に部屋を配置する間取り

平屋は平面的にすべての部屋を配置します。イメージとしては、マンションの間取りに近いです。

マンションは両脇に部屋があるため、各部屋に窓を自由に設置できませんが、平屋は四方に開放されていることから窓を各部屋に自由に設けることができ、風通しの良い家を建てることができます。

また、リビングと庭が連続するようなウッドデッキを設けたり、家をロの字型にして中庭を作ったりできることも特徴です。

平屋の間取り例

家族の人数別・平屋の間取り例を紹介します。

2人家族の場合

平屋で2人家族の場合、1LDKや2LDKにするケースが多いです。リモートワークをする方は、仕事部屋が確保できる2LDKが便利です。
床面積としては1LDKであれば50平米前後、2LDKであれば60平米前後あるとゆとりが出てきます。

4人家族の場合

平屋で4人家族の場合、3LDK以上が望ましいです。リモートワークをする方は、もう一部屋欲しいところですが、難しければリビングに小さなDEN(書斎)を作るといったことも考えられます。
床面積としては3LDKなら70~80平米程度あれば窮屈だと感じることなく住めるでしょう。

平屋の価格相場

平屋の相場は、当然ながら広さや間取りによってかなり変わってきます。

間取りや広さによって500〜2,000万円前後

平屋は主に広さによって価格が異なります。ローコストのハウスメーカーに依頼し、小さな面積で抑えれば500万円程度で建てられるケースもあるようです。

広さを求めて80平米程度の平屋にすると2,000万円超となることもあります。平屋は2階建てと比べると建築費単価が割高になる傾向があるため、2階建てと同じ面積を追及すると建築費が高くなってしまいがちです。

平屋のメリット

平屋には以下のようなメリットがあります。

バリアフリーにすることができ暮らしやすい

平屋は家の中に階段がないため、フルフラットな構造にすることができます。室内をバリアフリー構造にできることから、暮らしやすいといえるでしょう。

現在、2階建ての戸建て住宅に住んでいる場合はあまり意識することがないかもしれませんが、一度階段のない暮らしに慣れてしまうと、階段がとても億劫に感じることもよくあります。

家の中に階段のない住宅といえば、平屋以外にマンションがありますが、長年マンションに住んでいた人が2階建ての戸建てに引っ越すと、住み始めたばかりの時期に階段の昇り降りに抵抗を感じてしまうことも多いです。また、階段があることで「やっぱりマンションの方が住みやすかった」と感じる人も。平屋は家の中に階段がないため、マンションと同じく部屋間の移動がスムーズです。

階段がないことは、特に足腰が弱りやすい高齢者の方にはメリットが大きいです。2階建ての住宅に住んでいる高齢者の中には、階段がつらくて2階にはほとんど上がらなくなってしまったという人も珍しくありません。階段の昇り降りが不要な平屋は、将来的に高齢になっても暮らしやすい点がメリットです。

天井高を高くすることができる

平屋は天井高を高くすることができる点もメリットです。天井高とは、床から天井までの高さのことを指します。

人間の一般的な感覚として、例えば体育館のような天井が高い空間にいったとき、実際の広さ以上に広々としていると感じやすい傾向があります。平屋は天井を高くする設計もでき、2階建ての戸建て住宅では味わえない開放的な空間を得られます。

また、平屋では屋根の形をそのまま生かして傾斜をつけた勾配天井にすることもできます。シーリングファン(天井に設置する空気を循環させるためのファン)を付けることで、まるで海外住宅のようなおしゃれな雰囲気を出せる点も魅力です。

明るい家にすることができる

平屋はトップライトを設けることで、自然光をふんだんに取り入れた明るい家にすることが可能です。トップライトとは天窓(屋根や壁の高い部分に取り付けられたガラス窓)を指します。

平屋は居住空間のすぐ上が屋根であるため、さまざまな箇所にトップライトを設置しやすいです。天井を高くしてトップライトを設けると、より開放的で明るい空間にすることができます。

トップライトは採光の効果が大きく、日中は室内の電気を付けずに過ごせるほど明るい部屋を作ることもできます。

実際、平屋ではトップライトを取り入れている事例が多く、「高い天井高」と「トップライト」は平屋の醍醐味といえるでしょう。

2階建ての場合、1階にリビングを設けると、リビングの天井が2階の床となってしまい、トップライトを設けることができませんが、平屋であれば家族が集まるリビングをトップライトで明るくすることができるのです。

庭との一体感が味わえる

平屋は常に1階で生活することから、庭との一体感が味わえる点がメリットです。ガーデニングが趣味であれば、いつでも庭を眺めて楽しむことができますし、ウッドデッキを設けて休日にバーベキューを楽しむ人もいます。

平屋は常に地面に近い位置で暮らしていることから、庭との距離感が近いです。海や山の近くであれば庭から続く大自然を一望でき、リゾート気分を味わうこともできます。

家族とのコミュニケーションが取りやすい

平屋は家族とのコミュニケーションが取りやすいというメリットもあります。2階建ての戸建てで1階にリビング、2階に子ども部屋がある場合、2階にいる子どもの様子がわかりにくくなります。トイレも2階にある場合は、2階から子どもがなかなか降りてこず、長時間子どもと顔を合わせないといったことも起こりえます。

一方で、平屋は家族同士が顔を合わせる機会が多いです。必然的にトイレも1階のみとなるため、親子で長時間顔を合わせないといったことも少なくなります。

1階のみという構造上、家族同士で顔を合わせる機会が多くなることから、家族との自然なコミュニケーションが取りやすいといえるでしょう。

平屋のデメリット

メリットが多い平屋ですが、一方でデメリットもあります。

基本的に広い土地を必要とする

同じ延床面積の建物を建てる場合、2階建てよりも平屋の方が広い土地を必要とします。理由としては、土地には建ぺい率と容積率と呼ばれる規制があるためです。

建ぺい率は敷地面積に対する建築面積(建物を上から見たときの面積)の割合を指し、容積率は敷地面積に対する延床面積(各階の床面積を合計した面積)の割合を指します。この建ぺい率と容積率によって、建築可能な延べ床面積は必然的に決まってしまいます。

例えば建ぺい率が50%、容積率が100%で、敷地面積が100平米の場合、建ぺい率が50%であるため、平屋を建てようとすると50平米(=100平米×50%)までしか建てることができません。一方、2階建てであれば、1階を50平米、2階も50平米とすることで延床面積が100平米の家を建てることができます。

仮に平屋で100平米の家を建てようとすると、建ぺい率が50%の場合は敷地面積が200平米必要となります。

ある意味で平屋は非効率な土地の使い方という見方もでき、土地が広くないと十分な規模が建てられない住宅といえるのです。

建築単価が割高となる

平屋は、2階建てに比べると面積当たりの建築単価が割高になります。

平屋でも2階建てでも屋根と基礎はそれぞれ1つで、例えば「50平米の平屋」と「100平米の2階建て(1階と2階はそれぞれ50平米)」では、屋根と基礎の工事費がほぼ同じです。ただし、建築費単価を算出する場合、2階建てであれば屋根と基礎の工事費を100平米で割ることができるため、50平米でしか割れない平屋よりも単価が安くなります。

平屋は単価を算出する際、分母の面積が小さくなることから、建築費が割高となってしまうのです。

収納量が少ない

平屋は2階建てよりも収納量が少なくなる傾向があります。2階建てであれば、階段下に倉庫が設けられますが、平屋には階段がありません。階段には昇り降りが発生するというデメリットがあるものの、階段下を収納に使えるというメリットもあるのです。

また、2階建ては平屋よりも延床面積を広くできることから、全体的な広さに余裕があることがほとんどです。さらに1階と2階にそれぞれクローゼットを設けることができ、収納スペースを確保しやすいといえます。

洗濯物を干しにくい

平屋は洗濯物を干しにくい点もデメリットです。2階建てであればバルコニーを設けられるため、バルコニーに洗濯物を干すことができますが、平屋には基本的にバルコニーがなく、洗濯物をどこに干すか悩むことが多いです。

注文住宅で平屋を設計する際は、洗濯物をどこに干すかも考えながら計画する必要があります。

防犯性やプライベート性が低い

平屋は防犯性やプライベート性が低いともいわれています。部屋がすべて1階にあるため、どの部屋も空き巣に狙われる可能性があり、さらに生活空間が歩行者から見える高さなのでプライベート性が低くなることもあります。

平屋を建てる場合はホームセキュリティを導入し、また植栽などで歩行者からの視線をさえぎる工夫も必要になってきます。

この記事のポイント

平屋にはどんな特徴があるの?

平屋とは「1階建ての戸建て住宅」のことで、2階建ての戸建てと比較すると延床面積(各階面積の合計)が少ないことから、建築費の総額を抑えられるという特徴があります。ただし、同じ床面積の建物を建てる場合は、2階建てよりも平屋の方が広い土地面積が必要です。

詳しくは「平屋の特徴とは?」をご確認ください。

平屋のメリットとは?

階段がなく生活しやすい、天井高を高くすることができるなど、さまざまなメリットがあります。

詳しくは「平屋のメリット」をご確認ください。

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