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軽費老人ホームと有料老人ホームの違いは?選び方のポイントを説明

この記事の監修

渡口将生
介護支援相談員・ライター

介護福祉士として10年以上介護現場を経験。その後、介護資格取得のスクール講師・ケアマネジャー・管理者などを経験。介護の悩み相談ブログ運営中。NHKの介護番組に出演経験あり。現在は、介護相談を本業としながら、ライター活動をおこなっており、記事の執筆や本の出版をしている。また、マーケティング事業として起業サポートやコンサル業も行う。ライターネーム:ゆづる

老人ホームにはさまざまな種類があり、選び方に迷ってしまう方も多いでしょう。施設ごとに目的や役割が異なるため、特徴を理解した上での選ぶことが大切です。

今回は、数ある施設の中から軽費老人ホームと有料老人ホームの種類や特徴を紹介します。それぞれのサービス内容や入居条件、月々にかかる費用の目安を比較していますので、施設選びの参考にしてみてください。

軽費老人ホームとは?

軽費老人ホームは一人で生活することに不安があり、家族からのサポートを受けられない方向けの施設です。身の回りのことは自身ででき、共同生活に問題がない60歳以上の高齢者を対象としています。

軽費老人ホームは主に5つの種類があり、サービス内容・入居条件・費用などが異なります。

主な軽費老人ホームの種類は以下のとおりです。

【軽費老人ホーム5種類】

  • A型
  • B型
  • C型(自立型)
  • C型(介護型)
  • 都市型

近年、A型とB型は新設されておらず、C型が主流です。C型は「ケアハウス」と呼ばれ「自立型」と「介護型」の2種類があります。

その他、主に都市部を対象とした「都市型」も増えてきました。地価や物価の高い都市部に住む高齢者が低料金で利用できるため人気が高い施設です。

いずれのタイプも順番待ち・待機期間が長い傾向にあり、利用したいと思ってもすぐに入居できないケースがあるため注意しましょう。利用検討の際は早めに下調べや申し込みをしておくことが大切です。

介護レベルが軽い人に対して生活のサポートをしてくれる

軽費老人ホームは、ある程度身の回りのことができる高齢者向けの施設です。そのため、介護が必要になった場合は退去しなければいけません。

施設によっては夫婦で入居できる夫婦部屋があり、夫婦のどちらかが60歳以上で自立していれば入居可能です。

軽費老人ホームは種類ごとに特徴やサービス内容が異なるため、確認してみましょう。

月々の費用目安

それぞれの特徴や入居条件、月々の料金目安は以下のとおりです。

タイプ特徴・毎月の料金目安
A型60歳以上の方を対象としており、食事提供や日常生活のサポートを受けられます。月額利用料の目安は6~17万円です。
B型60歳以上で自炊ができる方を対象としています。基本的に食事は提供されません。月額利用料の目安は3~4万円です。
C型(自立型)自立型ケアハウスとも呼ばれ、60歳以上の介護が不要な方が食事・掃除・洗濯・見守りなどのサービスを受けられます。月額利用料の目安は7〜20万円です。
C型(介護型)介護型ケアハウスとも呼ばれ、65歳以上の要介護認定を受けた方が対象です。日常生活上の支援やサポートのほか、施設スタッフによる介護サービスが受けられます。月額利用料の目安は7~20万円です。
都市型既定の都市部に在住の60歳以上の高齢者を対象としています。地価が高い地域でも比較的安く利用できるため、人気が高い施設です。

【補足事項】
A型・B型には所得制限があり、月収34万円程度(自治体によって変動)までの方が対象です。C型(ケアハウス)はいずれも所得制限はなく、所得に応じて費用の減額を受けられる場合があります。

ほとんどの軽費老人ホームが、60歳以上の自立した生活ができる方で、単身の生活に不安がある人向けの施設です。介護の必要性が高くなった場合には、退去が必要になるケースがあるため、事前確認が大切です。介護サポートが必要な場合には、訪問介護や通所サービスなど外部の介護サービスを利用します。

施設によって入居条件が異なるため、希望の施設がある場合は問い合わせて確認してみましょう。

有料老人ホームとは?

有料老人ホームは、主に65歳以上の要介護認定を受けた方のための施設です。施設によっては60歳以上の方や特定疾患に該当する方でも入居可能な場合があります。

重度の介護度や認知症に対応していない施設もあり、入居基準はさまざまです。介護状態になった場合に退去が必要になるケースもあるため、事前に確認しておくと良いでしょう。

有料老人ホームには大きく分けて「介護付き」「住宅型」「健康型」の3つがあります。

それぞれの特徴やサービス内容を以下で確認してみましょう。

【介護付き有料老人ホーム】

特定施設の認定を受けて運営している施設です。要支援・要介護の認定を受けた方が対象で、掃除・洗濯などの日常生活上のサポートのほか、食事や入浴・排泄介助などが受けられます。

介護付きには2つのタイプで、施設スタッフが介護をおこなう「一般型」と、外部の介護事業所のサービスを利用する「外部サービス型」があります。外部サービス型はサービスを利用した分、自己負担が増えます。

【住宅型有料老人ホーム】

自立~要介護状態(軽度)の高齢者が、食事提供や掃除・洗濯などの生活上のサポートを受けられます。介護サービスは付帯しないため、必要に応じて訪問・通所サービスなどの外部サービスを利用しましょう。

住宅型は施設数が多いため選択肢も豊富で、希望とマッチする施設を見つけやすいことがメリットです。施設ごとに入居条件やサービス内容が異なるため、さまざまな施設を比較してみると良いでしょう。

【健康型有料老人ホーム】

身の回りのことを自身でおこなえる高齢者向けの施設です。元気で充実した生活をなるべく長く維持することを目的としています。

そのため、アクティビティに力を入れている施設が多いことが特徴です。プールや温泉、ジムのほか、シアタールームなどの設備がついている場合もあります。

全国的に施設数が少なく選択肢が限られるため、希望通りの施設を見つけにくいのが現状です。

介護スタッフが24時間常駐し介助サービスが受けられる

介護付き有料老人ホームでは、常駐の介護スタッフによって24時間、身の回りのサポートを行っています。食事・入浴・排泄などの介護サービスがおこなわれます。

重介護度の方にも対応しているため、介護度の重度化に不安を抱える方でも安心して利用可能です。施設によっては看取りまで対応している場合もあります。

介護付き有料老人ホームの場合、毎月15~35万円必要です。入居一時金などの費用は施設によって異なり、0~数千万円とさまざまなため、施設に確認しておくと良いでしょう。

軽費老人ホームと有料老人ホームの違い3つ

軽費老人ホームと有料老人ホームはそれぞれ違いがあり、主に「費用」「運営元」「役割」の3つが異なります。

軽費老人ホームと有料老人ホームの違いを理解したうえで、自身や家族の状況やニーズに合う施設選びをするのがおすすめです。

費用

施設ごとの料金目安を表で比較してみましょう。それぞれの料金目安は以下のとおりです。

軽費老人ホームA型軽費老人ホームB型C型(ケアハウス)有料老人ホーム(介護付き)
月々の料金目安6~17万円3~4万円7~20万円15~35万円

軽費老人ホームは比較的安い費用で利用でき、C型(ケアハウス)では低所得者に対して収入に応じて減額される場合があります。ただし、軽費老人ホームA・B型や自立型ケアハウスでは外部の介護サービスを利用するため、利用した分だけ費用がかかるため注意しましょう。

一方、有料老人ホームは手厚い介護が受けられるため、費用が高くなりやすい傾向があります。

運営元

軽費老人ホームは主に社会福祉法人や地方自治体によって運営されています。公的な団体によって運営されているため、安い料金で利用可能です。

一方、有料老人ホームは主に民間企業によって運営されています。そのため費用が高い傾向があります。その分、施設によってさまざまなサービスが提供されており、活動のバリエーションが豊富です。さらに、運営によってさまざまな身体状態に対応しているため、希望とマッチする施設を見つけやすいのも有料老人ホームのメリットでしょう。

役割

軽費老人ホーム(ケアハウス)は、経済事情・家庭事情・住宅事情などに不安を抱える高齢者のための施設です。一人暮らしに不安がある方、事情によって家族からのサポートを受けられない方が安心して暮らせることを目的としています。

一方で有料老人ホームはさまざまな身体状態の方が、それぞれに合った適切なサポートを受けられる施設です。常駐の介護スタッフによって手厚い介護・介助サービスが受けられます。主に介護を必要とする方、介護サービスの充実を希望する方のサポートを目的とした施設です。

老人ホームの選び方のポイント

老人ホームを選ぶ際は、利用する方のニーズや状態に合わせた施設選びが重要です。

基本的には長期間にわたって居住するため、現在の状態だけではなく今後のことも含めて検討すると良いでしょう。

施設選びではいくつか選択肢を用意したうえで、比較検討するのがおすすめです。ある程度候補が絞れたら、見学にいって実際の様子を確かめてみましょう。

老人ホームを選択する際のポイントは次の3つです。

【3つのポイント】

  • 自身の介護状態に合わせる
  • 介護サービスの内容を考慮する
  • 長い目で見たときの生活をイメージする

希望の施設が見つかった場合でも、順番待ちによってすぐに利用開始できない場合があります。急ぎで利用したい場合や、急遽のときのためにいくつか選択肢を作っておくと安心です。

介護レベルが軽い場合は軽費老人ホーム

介護が必要なく身の回りのことが自身でできる方は軽費老人ホームがおすすめです。低料金で利用でき、外部の介護サービスが不要な場合は月々の費用をより抑えられます。

原則として介護が不要な方を対象としているため、比較的元気な方が集まりやすい環境です。そのため、住居者同士のコミュニケーションが取りやすいのもメリットでしょう。

有料老人ホームのように一日のスケジュールが決められていないため、時間の使い方や過ごし方の自由度が高いのも利点です。

要介護状態の方は介護型軽費老人ホームという選択肢もありますが、入居条件が厳しいなどハードルは高めとなっています。

手厚い介護が必要な場合は有料老人ホーム

要介護状態の方や、手厚い介護サポートを受けたい方は介護付き有料老人ホームがおすすめです。

介護付きタイプでは、介護の知識や経験が豊富なスタッフが状態に合わせた生活支援・介護サービスを提供します。食事・入浴・排せつ介助などの他に、更衣・歩行・移乗介助など、さまざまな状態に合わせた対応が可能です。

今後の介護状態の重度化に不安を抱える方でも安心して入居を継続できます。

住み替えなしで入居し続けたい場合は有料老人ホーム

軽費老人ホームでは要介護状態になった場合、退去が必要になります。

介護状態の変化に影響されず、長期間にわたって居住を希望する方は有料老人ホームがおすすめです。

有料老人ホームはさまざまな企業によって運営されており、施設によっては終身契約が可能な場合もあります。

長期間の居住を前提としている方や、永続的な利用を希望する方は介護付き有料老人ホームを主軸に施設を検討すると良いでしょう。

この記事のポイント

有料老人ホームとはどんな施設ですか?

主に65歳以上の要介護認定を受けた方のための施設です。施設によっては60歳以上の方や特定疾患に該当する方でも入居可能な場合があります。

重度の介護度や認知症に対応していない施設もあり、入居基準はさまざまです。

詳しくは「有料老人ホームとは?」をご確認ください。

軽費老人ホームと有料老人ホームの違いはなんですか?

軽費老人ホームと有料老人ホームはそれぞれ違いがあり、主に「費用」「運営元」「役割」の3つが異なります。

軽費老人ホームと有料老人ホームの違いを理解したうえで、自身や家族の状況やニーズに合う施設選びをするのがおすすめです。

詳しくは「軽費老人ホームと有料老人ホームの違い3つ」をご確認ください。

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