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屋上のある家とは?メリット・デメリット、緑化の効果も解説

執筆者プロフィール

桜木 理恵
資格情報: Webライター、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者

大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。その他信託銀行にて不動産事務として勤務経験あり。現在は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事を多数執筆。「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」「管理業務主任者」所持。

ざっくり要約!

  • 屋上には屋根の一部が屋上になっているもの、屋外階段から上がるもの、屋上テラスなどの種類がある
  • 屋上ではアウトドアや洗濯物干し、家庭菜園などが楽しめる

地上にある庭とはまた違った魅力がある屋上。自宅に屋上があれば眺望を楽しんだり、開放的な気分でアウトドア気分を味わったりできるので、憧れを抱いている人は少なくないのではないでしょうか。

一方で、屋上付きの住宅はそう簡単に建てられないものとして、諦めている人も多いのも現実です。この記事では屋上付きの住宅にはどんな事例があるのか、また代表的なメリットやデメリットについて解説していきます。

屋上を作る場合の相場や、屋上を緑化するメリットなども紹介しますので、参考にしてください。

屋上のある家の事例4つ

一口に屋上がある家といっても、実はさまざまなパターンがあります。ここではよくある屋上の事例を4つ紹介します。

屋根全面が屋上

屋上がある家というと、屋根全面が屋上というタイプをイメージする人が多いかもしれません。このタイプは屋上が建物の屋根であり、屋上の床にもなっています。下の階からのアクセスは、ペントハウス(塔屋)と呼ばれる小屋のような階段室に設けられた階段、もしくはエレベーターです。

ホテルやマンションの最上階の部屋をペントハウスと呼びますが、ここでいう屋上へ通じる階段室もペントハウスといいます。

ペントハウスは、用途が階段やエレベーターなどを設置するためのものであり、建築面積の1/8、高さが5m以内であれば高さ・階数には原則含まれません。

つまり建物の高さ制限がある地域でも、条件を満たせば屋上のある住宅を建てることができます。ただし、手すりの高さやペントハウスの位置によっては高さ制限に抵触する場合もありますので、詳しくはハウスメーカーや建設会社に問い合わせてください。

屋根一部が屋上

屋根の一部が屋上で、残りが屋根というタイプもあります。すべてを屋上にしない理由はいくつかあり、例えば都市計画法で定められた用途地域や高さ制限によって一部を屋上にできない場合が挙げられます。隣地への太陽の光を遮らないようにするための配慮です。

また、建物は外観に変化を持たせた方が、画一的な建物にならず個性も出せるため、デザイン性を重視して一部を屋根にすることもあります。

そのほか、そこまで広さが必要ないと考えて一部のみ屋上にしている例や、コスト面を考慮して一部屋上にしている例もあります。

屋外階段付き

前述した下の階から内部階段を使って屋上に出るタイプの屋上のほか、屋外階段を使って屋上へ上がるタイプの屋上もあります。この場合、一度外へ出てから屋上に出ることになります。

メリットは屋上にペントハウスを設ける必要がなく、すべてを屋上にすることが可能な点です。屋上に十分な広さが取れない場合に有効と言えます。

一方、デメリットは階下に屋外階段へ出るドアを設置する必要があり、間取りによっては設置場所に制限が出てきます。また、屋外階段は雨風にさらされる環境にあるため、サビ止めや塗装など定期的なメンテナンスが必要で、建築コストも内部階段より高くなる傾向にあります。

屋上テラス

屋上テラスとは、最上階の居室からアクセスできる屋上です。ルーフバルコニーと呼ばれることもあります。

隣り合う居室とつながっているので、居室から広がりを感じることができます。また居室からアクセスできるため、屋上テラスへ出るときに使う階段を設ける必要がなく、比較的コストがかからないという特徴もあります。

注意点は排水溝にゴミが溜まったまま放置すると、テラス部分の排水ができずに雨水がプールのように溜まってしまい、居室へ浸水する可能性があることです。定期的に清掃して排水溝をふさがないように気をつけましょう。

屋上のある家のメリット・デメリット

ここからは屋上がある家の代表的なメリットとデメリットを紹介します。

メリット

まずメリットから紹介していきましょう。

  • 展望が楽しめる
  • アウトドアが楽しめる
  • 物干し場として活用できる
  • 家庭菜園が楽しめる

展望が楽しめる

立地や隣接する建物との関係にもよりますが、晴れた日に展望を楽しむことができるのは屋上のある家ならではの特権ともいえます。屋上からの展望を楽しむ開放感は、窓などを開けたときとは圧倒的に異なるため、屋上を設けてよかったと感じる瞬間ではないでしょうか。

また、エリアや条件によっては、花火大会当日に屋上が特等席になる場合もあります。屋上を作ることを予定していて、土地から選定する場合は眺望を重視するとよいでしょう。

アウトドアを満喫できる

近年キャンプやアウトドアが人気ですが、屋上があれば自宅で簡単にキャンプ気分を味わうことができます。例えばテントを張ったり、BBQをしたりとさまざまな楽しみ方ができますし、望遠鏡での星の観察もおすすめです。

夏は子ども用プールを用意すれば、人目を気にせず水遊びも楽しむことができるでしょう。ペットがいる場合はドッグランとしても活用できます。

物干し場として活用できる

庭やバルコニーでも洗濯物は干せますが、屋上であればシーツや毛布など大きなものを気持ちよく干すことができます。広い屋上で洗濯物同士の間隔を広げて干すことができれば、その分早く乾きます。

バルコニーに干してしまうと、部屋に太陽の陽射しが入らなくなったり、リビングの窓の景色が悪くなったりしますが、屋上であれば洗濯物を干している光景が目に入ってくることがありません。道路や隣家から見えにくい位置なら、他人の視線を気にせず洗濯物を干せるというメリットもあります。

家庭菜園が楽しめる

家庭菜園は庭やバルコニーでもできますが、屋上であれば太陽の陽射しをたっぷり受けることができます。また風通しがよいので、植物にとって良い環境といえます。

家庭菜園を想定する場合は水やりをする必要があります。階下から水を運ぶのは予想以上に大変なので、外部水栓を設置するようにしましょう。

デメリット

屋上を作るデメリットについて解説します。後悔しないためにもぜひ参考にしてください。

メンテナンスや掃除が必須

屋上は雨水を防ぐ屋根の役割を持っています。一般的にはシート防水などの工法により防水していますが、10〜15年で劣化して浸水する可能性があります。ゆえに10年程度でメンテナンスが必要になり、コストがかかります。

また、排水溝や排水口に葉っぱや泥が溜まってしまうと、雨水を排水できず、プールのように水が溜まってしまうことがあります。シート防水に亀裂や破損があると雨漏りの原因になることもあるので注意が必要です。

動線を考えなければならない

屋上へのアクセスは階下の間取りに影響します。内部階段は階下の廊下に接続しているのが好ましいですが、ペントハウスの設置場所に制限がある場合は思うようにレイアウトできない可能性もあります。

プライバシーが気になることも

近隣の建物が2階建てであれば、隣人の視線はそれほど気にならないことが多いものの、高い建物に囲まれている場合は屋上の様子が丸見えになってしまい、プライバシーが気になる可能性があります。

気になる場合は高さ制限に影響しない程度の目隠しフェンスを設置するなどして対処しましょう。

屋上のある家の建築費用の相場は?

屋上を作る場合には、屋上がない家に比べてコストが余分にかかります。金額の相場を見ていきましょう。

相場は100〜300万円

建物の構造や、内部階段なのか外部階段なのかなど、タイプによって建築コストは異なりますが、10坪~20坪の屋上を作る場合、100~300万円程度に加えて建築費が必要になるでしょう。

スタイリッシュなタイル張りや、温かみのあるウッドデッキにした場合は、オプションとしてさらに費用がかかります。広さによっては追加費用が大きくなるので、予算に応じて計画しましょう。

増改築で屋上のある家は作れる?

増改築で屋上を作ることを検討する場合、まず建物の構造的に負担がないか確認しなければなりません。そのため、建築時の建築確認通知書や検査済証などを用意した上で工務店や建設会社などの専門家に相談してみましょう。

また、居住地の建物の高さや容積率などに制限がある場合、屋上の構造によっては難しいこともあります。例えば屋根を一部解体して屋上を作る場合であれば容積率は増えませんが、屋上に大きな居室やサンルームを作った場合は容積率に算入されるため、容積率オーバーにならないように気をつけなければいけません。

工事費の目安は住宅の構造や広さ、工事のしやすさなどによって異なりますが、例えば20坪の住宅の屋上を増築する場合は180~250万円が相場になります。

地域の法令によっては難しい場合も

建物を建築する場合、建築基準法や高さ制限などを守る必要があります。例えば北側の隣地の採光を確保するために高さ制限がある、そもそも2階建ての住宅が並んでいるという地域の場合、中には建物の高さが10mまたは12mまでと決まっているエリアもあります。

居住地の法令は最寄りの役所で確認することができますが、建築用語などが多く理解するのが難しい場合もあるため、工務店や建設会社などに相談することをおすすめします。

屋上のある家の緑化の効果とは?

最後に屋上を緑化することの効果や、緑化する場合の手順について紹介します。

省エネルギー効果などさまざまな効果がある

屋上を緑化することにより、見る人の心を癒す効果があるだけでなく、屋根に断熱効果が生まれます。よって夏は太陽光の熱が室内に伝わりにくくなって冷房の利きがよくなり、冬は室内の熱が逃げにくくなるため、省エネルギー効果を期待できるでしょう。加えて屋上への直射日光や、雨風に直接さらされることがなくなるため、建物の保護になり劣化を防ぐことができるのです。

屋上緑化をする建物が増えれば、ヒートアイランド現象の緩和や二酸化炭素の削減にもつながるだけでなく、都市の環境改善や動植物の保護も期待できます。

屋上緑化の手順

屋上緑化の大まかな流れは以下の通りです。

  1. 緑化するエリアから土が流出しないように土留め
  2. 防根シートや防水シートを敷設し、建物に植物の根が入り込むのを防ぐ
  3. 屋上用の軽量土壌を敷設
  4. 芝生や植物を施工
  5. 十分に水やりをする

植物が根付くまでには時間がかかります。定期的に水やりができない場合などは、自動的にタイマーに設定した時間で散水できる自動灌漑装置を設置できると安心です。

なお、屋上緑化をする費用の相場は1坪(3.3㎡)8~10万円です。給水や排水のために自動灌漑装置を設置する場合は、追加で15万円前後かかります。

この記事のポイント

屋上がある家の代表的なメリットはなんですか?

屋上がある家は「展望が楽しめる」「アウトドアが楽しめる」「物干し場として活用できる」「家庭菜園が楽しめる」などのメリットがあります。

特に、晴れた日に展望を楽しむことができるのは屋上のある家ならではの特権ともいえます。

詳しくは「屋上のある家のメリット・デメリット」をご覧ください。

増改築で屋上のある家は作れますか?

増改築で屋上を作ることを検討する場合、建物の構造的に負担がないか確認しなければなりません。まずは建築時の建築確認通知書や検査済証などを用意した上で工務店や建設会社などの専門家に相談してみましょう。

また、居住地の建物の高さや容積率などに制限がある場合、屋上の構造によっては難しいこともあります。

詳しくは「増改築で屋上のある家は作れる?」をご覧ください。

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