ざっくり要約!
- 住宅ローン返済中の場合は原則として賃貸に出すことができない
- 立地条件や築年数、持ち主の状況などによって賃貸・売却どちらが向いているか変わる
所有しているけど住まなくなったマンションを、中古マンションとして売却すべきか賃貸に出すべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では「マンションの売却と賃貸」について解説します。
記事サマリー
マンション売却と賃貸どっちがお得?

原則として住宅ローンを完済している方であれば、マンションを賃貸に出すことが可能です。一方で住宅ローンを返済中の方も、例外的に転勤等のやむを得ない事情があれば貸すことができます。賃貸に出せる状態の場合、「売却と賃貸どちらの方が得か?」という疑問を持つ人も多いのではないでしょうか?
ここでは、マンションを売却あるいは賃貸に出したときのメリットとデメリット、売却の流れ、賃貸の流れ、売却か賃貸か選ぶポイントについてもご説明します。
マンションを売却するメリット
所有するマンションを中古マンションとして売却するメリットについて解説します。
資産価値が比較的高い間に売れる
一般的に中古マンションは築年数が浅いうちの方が高く売れます。
仮に賃貸に出せば、貸している間は築年数が経過してしまいますので、将来、価格が下落するリスクが生まれます。
そのため、賃貸に出さずに今すぐ売るということは、資産価値が比較的高い間に売れるということです。
ただし、住宅ローンが残っている物件は、売買代金の入金と同時に住宅ローンを一括返済することが通常です。
マンションを売却するデメリット
所有するマンションを中古マンションとして売却するデメリットについて解説します。
売却がスムーズにできないこともある
ただし、住宅ローンを完済しているマンションは築年数が古いことも多く、既に価格が下がりきっている場合があります。価格が下がりきっている場合には、賃貸に出して数年後に売却しても、今と同じ金額で売れる可能性は残っています。
売却時に税制優遇を受けられる
一定の要件を満たすマイホームの売却では、節税ができる税制優遇措置があります。
そのため、マイホームのマンションであれば、税制優遇を受けられる点がメリットです。
ただし、マイホームであっても自分が住まなくなった日から3年後の12月31日までに売れば、その間、賃貸に供していたとしてもマイホームの売却特例は利用できます。
よって、少しだけ賃貸に出してすぐに売る場合には、税制優遇を受けられます。
一方で、例えば親から相続で引き継いだマンションはマイホームではないため、マイホームの税制優遇は利用できません。
貸せるマンションは住宅ローンが完済していることが原則的な条件であるため、親から相続した物件であることも多いと考えられます。
相続したマンションは、一定の要件を満たす人が相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却した場合には、「取得費加算の特例」と呼ばれる節税特例を利用できます。
要件の1つに「その財産を取得した人に相続税が課税されていること」があります。
相続税が発生している人であれば利用できますが、相続税が発生していない人は利用できない特例です。
ローン完済期間を短縮できる
住宅ローンが残っている人が売却すれば、ローンを一括返済できるため、完済期間を短縮できるという点がメリットです。
そもそも住宅ローンが残っている人には原則として選択肢が売却しかありませ売却はいざ売りに出してもスムーズに売れない点がデメリットです。特に住宅ローンが完済している物件であれば、築年数が古いことが多いため、売却に苦戦してしまうこともよくあります。
マンションの場合、売れないまでの間、固定資産税や火災保険だけでなく、管理費や修繕積立金も発生するため、経済的な負担は重いです。長期間売れないようであれば、価格を引き下げる等の見直しも必要となります。
資産を手放すことになる
立地が良くすぐに貸せるような物件であれば、売却によって資産を手放すことは惜しい気がします。
良い場所の物件であれば、将来、子どもや孫たちが自分で住みたいと思う可能性もあります。
子どもたちが利用するまで賃貸に出しておけば、資産を有効活用することができます。
マンションを賃貸にするメリット
マンションを賃貸に出す メリットについて解説します。
家賃収入を得ることができる
マンションを賃貸に出せば、家賃収入を得ることができます。
家賃収入は、毎月固定された金額が不労所得で入ってくるありがたいお金です。
長期間安定的に入る収入となるため、家賃収入は見通しや計画が立てやすいという特徴があります。
経費計上で節税効果を得られる
インターネット上には賃貸に出すと節税効果が得られると主張する人がいるようです。
この主張は間違いではありませんが、少し無理矢理な方便でもあるため、どう伝えるべきか困る内容です。
簡単にいうと、賃貸経営で赤字になるとその赤字を他の所得から減額でき、節税ができるという仕組みになります。
これは損益通算と呼ばれる制度です。
「賃貸経営が赤字になれば・・・」という条件付きであるため、赤字にならなければ生じないメリットとなります。
そもそも毎年赤字になるようであれば貸すメリットもありませんので、損益通算を目的に賃貸に出すことを選択するのは止めたほうが良いと思います。
ただし、たまたま何らかの理由で赤字になってしまった年があれば、損益通算をすることによって節税が可能です。
あくまでも副次的なメリットですので、赤字になったときに「そういえば節税できるという話があったな」と思い出して頂ければと思います。
転勤時は資産として運用できる
住宅ローンが残っている人は、転勤時に賃貸に出すことができます。
資産として運用もできますが、借主に自然と管理も担ってもらえる点がメリットです。
住宅は、結露やカビを生じさせないためにも定期的な換気が必要です。
また、排水管にある封水を蒸発させないためにも、定期的な排水が必要となります。
封水とは、S字型の排水管の中に溜まっている水であり、下水から上がってくる臭いを通さないための水です。
封水が蒸発してしまうと、家の中に下水臭がこもります。
借主が生活していれば、換気や排水が自然と行われ、住宅の価値が維持できます。
お金をもらいながら資産価値も落とさずに済む点がメリットです。
将来的にまた利用することができる
マンションを売却しなかった場合、その資産を保有し続けることになるため、将来的に再びマンションに住むことができます。もし将来的に再度住むことが決まっている場合には、「定期借家契約」で賃貸契約を結ぶことをおすすめします。この契約は更新がないため、契約期間が終了すれば確実に住まいに戻ることが可能です。
マンションを賃貸に出すデメリット
マンションを賃貸に出すデメリットについて解説します。
リフォームなどランニング費用発生
住宅ローンが完済している物件は古い物件であり、貸すためにリフォームを要することがあります。
売却であれば、買主が購入後にリフォームできるため、古い物件でも必ずしもリフォームは必要ではないことが多いです。
しかしながら、賃貸の場合、借主は所有者ではないため、入居後に自由にリフォームすることはできません。
リフォームできるのは所有者の貸主であるため、必要があれば貸主がリフォームしなければならなくなります。
また、貸主は所有者ですので、引き続き固定資産税や火災保険料、管理費、修繕積立金のランニング費用が発生します。
さらに、賃貸物件では貸主に修繕義務が課されます。
自然に壊れてしまった設備等に関しては、貸主の費用負担で直すことが必要です。
家賃収入自体の不安定さ
立地にもよりますが、借主が決まりにくい物件は家賃収入が不安定となってしまいます。
そもそも賃貸経営が難しい立地の物件は、売却に適しているといえます。
税制優遇が受けられない場合がある
賃貸に出した後、自分が住まなくなった日から3年後の12月31日までに売却しなければマイホームの扱いとはならなくなるため、税制優遇が受けられなくなる点がデメリットです。
税制優遇に関しては、細かい要件があるため、しっかり確認することをおすすめします。
マンション売却と賃貸のメリット・デメリットを踏まえた上での選択

マンションを売却するのが適しているケース
以下のようなマンションが、中古マンションとしての売却に適しています。
- 住宅ローンを返済中の物件(ただし、転勤の場合を除く)
- 立地の悪い物件(例えば、駅から徒歩10分超等)
- 利用予定のない物件
- 管理組合が機能しておらず、管理の状態が劣る物件
- 築年数の著しく古い物件
マンションを賃貸するのが適しているケース
以下のようなマンションが賃貸に出すことが適しています。
- 住宅ローンを完済した物件
- 立地の良い物件(例えば、駅から徒歩10分以内等)
- 転勤中に貸せる物件
- 将来自分たちで利用する可能性のある物件
- 築年数の浅い物件
マンションを売却する際の流れ
1・現在の状況を把握して希望条件などを整理
マンションの売却を決めたら、まずは自分のスケジュールや状況を整理することが大切です。たとえば、次に住む場所の確保や引越しのタイミング、また仕事や家族の都合などを踏まえて、売却の希望条件を明確にしておくとよいでしょう。また、住宅ローンの残債がある場合には、その金額を正確に把握することも重要です。売却時には残債を一括返済する必要があり、これが売却計画に大きな影響を及ぼすためです。希望の売却価格や引き渡し時期など、自分の条件を整理しておくことで、売却の計画がスムーズに進みます。
2・査定を依頼して信頼できそうな不動産会社を見極める
売却条件を整理できたら、次に不動産会社に査定を依頼します。
査定には「簡易査定(机上査定)」と「訪問査定」の2種類があります。簡易査定は、現地確認をせず、公開されているデータや物件の立地情報などをもとに査定を行う方法です。これに対して訪問査定は、不動産会社の担当者が実際に物件を訪れ、部屋の状態や周辺環境を詳しく確認しながら査定する方法です。まずは複数の不動産会社に簡易査定を依頼して、大まかな売却価格を把握しましょう。その後、簡易査定の結果を比較して信頼できそうな数社に訪問査定を依頼し、最終的にどの不動産会社に仲介を依頼するかを決めるとよいでしょう。複数社の査定を比較することで、物件の適正価格や会社の対応などが見えてきます。
3・不動産会社と媒介契約を締結する
信頼できそうな不動産会社が見つかったら、媒介契約を結びます。媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3つのタイプがあり、それぞれに特徴があります。一般媒介契約は、複数の不動産会社と契約できる自由度の高い契約形態です。
一方、専任媒介契約や専属専任媒介契約は、1社の不動産会社とだけ契約を結び、売却活動を任せるものです。ただし、専属専任媒介契約の場合は、自己で見つけた買主に売却することができません。自分の状況や希望に合った契約を選びましょう。
4・売却活動を行って購入希望者を募る
媒介契約を締結したら、いよいよ不動産会社が中心となって売却活動を行います。不動産会社と相談して適切な売り出し価格を決定し、広告を出して購入希望者を募ります。
購入希望者が現れたら「内覧」を実施し、実際に物件を見てもらいます。内覧時には物件を好印象に見せるため、事前にマンションの清掃を徹底して行い、整理整頓を心がけましょう。売却活動の進捗は不動産会社に任せきりにせず、定期的に進捗状況を確認することも大切です。不動産会社とのコミュニケーションを密にし、購入希望者に対しても積極的に対応していくことで、スムーズな売却が期待できます。
5・購入希望者から買い手を決めて売買契約を締結する
購入希望者が見つかり、売却条件に合意できたら、いよいよ売買契約を締結します。売買契約を結ぶ前には、買主が不動産会社から「重要事項説明」を受け、契約内容について最終確認を行います。
重要事項説明では、物件の状態や取引の条件について詳しく説明されるため、契約内容を双方でしっかりと確認し合うことが重要です。契約が成立すると、手付金を受け取ることになり、売却手続きが本格的に進行します。
6・物件の引き渡しを完了する
最終的には、売買契約が成立した後、物件の引き渡しを行います。この際、売主と買主に加え、不動産会社や司法書士などが立ち会い、正式な手続きが進められます。売主は、マンションの鍵や管理規約、設備の説明書などを買主に引き渡し、物件の所有権が移転されます。また、このタイミングで売却代金の残金を受け取り、住宅ローンが残っている場合にはその返済も同時に行われます。引き渡しが完了すれば、マンションの売却は無事に完了となります。
マンションを売却する場合の必要書類
賃貸借契約書
賃貸中のマンションを売却する際には、現在の入居者との賃貸借契約書を必ず準備しておきましょう。賃貸借契約書には、入居者の家賃や敷金など、賃貸に関する重要な情報が詳細に記載されています。これらの情報は、マンションを購入する新たなオーナーに正確に引き継ぐ必要があります。
例えば、前オーナーである売主と入居者の間で家賃滞納やトラブルがあった場合、その情報が買主に伝わらないと、引き渡し後に新たなオーナーが不利な立場に置かれる可能性があります。このようなリスクを回避するためにも、賃貸借契約書は重要な書類です。
売主と買主の間で発生する可能性のあるトラブルを未然に防ぐためにも、賃貸借契約書をしっかりと確認し、適切に引き継ぐことが必要です。
管理委託契約書
マンションの管理を管理会社に委託している場合、売却に際しては管理委託契約書も用意しましょう。管理委託契約書には、マンションの管理内容や管理委託料、解約の条件などが詳しく記載されています。購入希望者は、これらの内容を知ることで物件の管理状況や費用負担の見通しを把握できるため、購入判断に役立ちます。
また、売却を予定していることを管理会社にあらかじめ伝えておくと、引き継ぎ手続きがスムーズに進むでしょう。管理会社への事前の連絡は、売主としても安心感を得られるだけでなく、買主に対しても誠実な対応を示すことにつながります。
リフォーム・修繕履歴及び図面
賃貸中のマンションを売却する場合には、マンションの図面やリフォーム・修繕の履歴が分かる書類も重要です。特に、賃貸中の物件では入居者の都合により内覧が難しいケースもあるため、書類によってマンションの状態を確認できるようにしておくことが有益です。リフォームや修繕が行われた履歴があれば、購入希望者はマンションのメンテナンス状況を把握することができ、物件の購入に対する不安が軽減されます。図面や履歴書類は、マンションの構造や設備の状態を説明する際に非常に役立つ情報です。これらの書類が揃っていることで、購入希望者に信頼感を与え、物件を検討するきっかけにもなるでしょう。
マンションを高く売るなら知っておきたいコツ
複数の不動産会社に査定を依頼する
マンションを高く売るためには、まず自分で相場感を掴んだうえで、複数の不動産会社に査定を依頼することが重要です。1社だけに頼ると、その会社の提示した価格が本当に適正かどうかが判断しにくくなるため、少なくとも3〜5社に査定をお願いしてみましょう。複数の査定結果を比較することで、より正確な市場価格が見えてくるだけでなく、各社の対応や説明をもとに、信頼できる不動産会社を見極めることができるでしょう。
また、注意すべき点は、査定価格が必ずしも成約価格になるわけではないということです。不動産会社が提示する査定価格には、売れるかどうかを考えた上で調整が入ることもあります。大切なのは、その査定価格の根拠を明確に説明してくれる不動産会社を選ぶことです。査定の理由や計算方法を詳しく説明してくれる会社であれば、信頼性も高く、納得のいく売却につながりやすいでしょう。
投資用マンション売却の実績が多数ある不動産会社を選ぶ
特に賃貸中のマンションや投資用マンションを売却する場合、通常の居住用マンションとは異なる売却方法が必要になります。そのため、投資用マンションの売却に強い不動産会社を選ぶことが成功の鍵となります。投資用マンションの場合、査定方法やターゲットとなる購入者が異なり、専門的な知識と経験が求められます。
不動産会社が投資用マンションの売却実績を持っているかどうかは、その物件を高く売るための大きな要素です。実績が乏しい会社では、正しい査定ができず、市場価格より低く売り出されるリスクが高まります。投資用マンションの売却に実績のある不動産会社を探す際には、不動産ポータルサイトや口コミを活用して、比較検討することが大切です。経験豊富な会社であれば、売却までのプロセスがスムーズに進むだけでなく、より高値での売却が期待できるでしょう。
査定を依頼する前に自分でも相場を調べる
不動産会社に査定を依頼する前に、自分でもマンションの相場を確認しておくことが重要です。特に投資用マンションの場合、経験の少ない不動産会社では過度に安い査定価格が提示されることがあります。このリスクを防ぐためにも、まずは市場の価格動向を自分で把握し、査定結果に対する一定の知識を持っておくことが大切です。
マンションの価格相場は、国土交通省が公開している「土地総合情報システム」や、不動産ポータルサイトが提供するシミュレーションツールを活用することで簡単に調べられます。
これらのツールを使って、自分の物件に近い条件のマンションの過去の成約事例や現在の売り出し価格をチェックし、大まかな価格帯を把握しておきましょう。これにより、不動産会社の提示する査定価格が妥当かどうかを冷静に判断することができ、過小評価による損失を避けることができます。
マンションを高く売るためには、自分自身でも情報収集を行い、複数の不動産会社の査定を慎重に比較しながら進めることがポイントです。
マンションを賃貸する際の流れ
1・賃貸物件を扱っている不動産会社を探す
マンションを賃貸に出す際、まず最初に行うべきことは、賃貸物件を取り扱っている不動産会社を探すことです。賃貸運営を成功させるためには、入居者が途切れないようにすることが重要です。そのため、集客力が高く、広範囲での物件紹介が可能な不動産会社を選びましょう。
さらに、賃貸運営中に予期せぬトラブルが発生する可能性もあるため、問題に対して迅速かつ丁寧に対応してくれる不動産会社を見極めることも大切です。こうした点を考慮して選ぶことで、複雑な手続きをスムーズに進め、安心して賃貸を任せられるパートナーを見つけることができます。
2・賃貸契約をどの種類にするか選ぶ
不動産会社を選定したら、次にマンションの賃貸契約の種類を決定します。賃貸契約には主に3つのタイプがあり、それぞれの契約形態に応じて特徴がありますので、自分のニーズに合った契約を選びましょう。
普通借家契約
普通賃貸契約は、最も一般的に用いられる契約形式です。通常、この契約では賃貸期間が2年ごとに設定されており、期間満了後に更新を行います。貸主側には、正当な理由がない限り、借主からの更新を拒否することはできません。そのため、長期間にわたって安定した賃貸運営を希望する場合には、普通賃貸契約が適しています。
定期借家契約
定期借家契約は、契約期間が満了すると自動的に契約が終了するため、更新がありません。貸主が期間を限定して賃貸したい場合にはこの契約を利用します。たとえば、将来的に自分が住む予定がある場合や、期間限定で賃貸物件を運営したい場合に有効です。ただし、契約期間が短い場合、借主を見つけるのが難しくなることもあるため、その点を考慮して選ぶ必要があります。
サブリース契約
サブリース契約は、物件を不動産会社に貸し出し、そこから不動産会社が借主へ物件を再度貸し出す仕組みです。オーナーは不動産会社に家賃の約10%を支払うことで、物件の管理業務や賃料の回収といった手間を不動産会社に任せることができます。この契約は、賃貸運営にあまり時間をかけられないオーナーにとって利便性の高い選択肢です。
3・入居者を募集する不動産会社と契約を結ぶ
賃貸契約の種類が決まったら、入居者募集を行う不動産会社と契約を結びます。このとき、媒介契約と代理契約の2種類の契約方法から選ぶことができます。
媒介契約では、入居者の選定など最終的な判断をオーナーが行います。一方、代理契約では、不動産会社が入居者の決定権を持つため、オーナーが細かい判断をする必要がなくなります。どちらの契約が自分に合っているかを考え、不動産会社と話し合いながら決めましょう。
4・入居者の募集を開始する
契約内容が整ったら、いよいよ入居者の募集を開始します。賃貸に出すマンションの賃料や入居条件を具体的に決め、不動産会社と協力して募集を行います。賃料は周辺相場や物件の状態に基づいて適切な金額を設定することが大切です。また、入居者の条件(ペット可、敷金・礼金の設定など)も、この段階で明確にしておきましょう。不動産会社と連携し、魅力的な募集条件を設定することで、スムーズな入居者確保が期待できます。
5・入居者の内覧後に契約を締結する
入居希望者が現れたら、物件の内覧を行います。通常、内覧には不動産会社の担当者が立ち会いますが、物件の清掃や整備を事前に済ませておくことが重要です。内覧の印象は、入居希望者の契約決定に大きく影響するため、マンションの魅力を最大限に引き出せるように準備を整えておきましょう。
内覧後、借主がマンションを気に入って契約を希望した場合は、正式に賃貸契約を締結します。この際、借主とのトラブルを防ぐために、契約内容を十分に確認し、双方が納得のうえで契約を行うことが大切です。
マンションの売却か賃貸かを選ぶポイント
物件の状態から判断する
マンションを売却するか賃貸に出すか迷った場合、物件の状態によっても判断材料が得られます。ここでは、物件の特徴に応じた選択肢について詳しく説明します。
中古マンションとして売却したほうが良い場合
売却が向いているマンションは、専有面積が広い場合です。賃貸需要は単身者や少人数世帯に多く、広めのマンションは家賃が高くなりがちで、借主が見つかりにくくなる可能性があります。
また、築年数の古いマンションも売却に適しているかもしれません。古いマンションは、売却時に設備や内装をリフォームしなくても売れるケースが多いです。しかし、賃貸に出す場合は、設備の交換やリフォームを行わないと、入居者を探すのが難しくなります。
賃貸マンションとして賃貸したほうが良い場合
賃貸向きのマンションは、駅から近く、築年数が浅く、間取りがコンパクトな物件です。駅近で設備が新しいと、入居者が見つかりやすい傾向があります。また、部屋数が少ないコンパクトな間取りのマンションは、家賃を抑えることができるため、賃貸需要が高く、入居者をすぐに見つけやすくなります。
賃貸に出した場合の利回りを計算して判断する
売却か賃貸かを決める際には、賃貸に出した場合の利回りを計算して判断するのも有効です。利回りには、物件の収益力を示す「表面利回り」と、実際の利益を表す「実質利回り」があります。新築物件の理想的な実質利回りは3%前後、中古物件では4%〜6%が目安です。
もし、マンションを賃貸に出した場合に3%〜6%の利回りが見込めるのであれば、賃貸運営も検討してみる価値があります。
一時的に離れてまた住む可能性がある場合は定期借家契約を検討する
転勤などで一時的にマンションから離れるものの、数年後に戻って住む予定がある場合は、売却するのではなく賃貸に出すことをおすすめします。
このようなケースでは、定期借家契約を選ぶと良いでしょう。定期借家契約は、契約期間が終了したら自動的に契約が終了するため、再び住むことを予定している場合には便利です。
売却か賃貸か選びきれない場合は同時進行も検討する
売却か賃貸か決めかねる場合は、両方の選択肢を同時進行で進めることも可能です。売却活動と賃貸活動を同時に始めることで、どちらの選択肢が有利かを比較検討しやすくなります。集客状況を見ながら、売却による金額と賃貸から得られる収益を天秤にかけて判断しましょう。
ただし、気をつけたいのは不動産会社の対応です。売却時の仲介手数料は賃貸時の手数料よりも高いため、不動産会社のモチベーションが売却活動に偏る可能性があります。賃貸物件としての可能性をしっかり見極められるよう、不動産会社とよく相談し、どちらにも力を入れてもらえるよう工夫が必要です。
住宅ローン返済中にマンションを賃貸に出す際の注意点とリロケーションの活用
一概にどちらがお得なのかは言い切れませんが、住宅ローン返済中の方は賃貸に出したときに得られる利益のほうが少なくなるでしょう。
ただし、住宅ローンを返済中の人は、原則としてマンションを貸し出すことはできません。
理由としては、銀行との金銭消費貸借契約の中で資金使途に反してしまうからです。
資金使途とは、貸したお金の使い道のことを指します。
住宅ローンの資金使途はマイホームの購入であり、賃貸物件の購入ではありません。
極端な話、住宅ローンを借りて購入したマンションをすぐに他人に貸せば、不動産投資を行っているのと同じといえます。
資金使途違反は、銀行に対する詐害行為(詐欺を行っているといこと)です。
銀行を騙して金利の安い住宅ローンを借り、不動産投資を行っているものとみなされてしまいます。
そのため、住宅ローンを返済中の人は、基本的に賃貸に出す選択肢はないということです。
一方で住宅ローンの返済中の人でも、転勤等でやむを得ない場合であれば、届出をすることで銀行は賃貸に出すことを認めてくれます。
転勤中の一時的な賃貸のことを「リロケーション」と呼びます。
リロケーションでは、定期借家契約と呼ばれる契約形態を用いることが一般的です。
定期借家契約とは更新がなく、契約期間終了時に確実に契約を終了できる契約になります。
借主は更新ができず確実に退去しなければならないことから、定期借家契約は借主にとって不利な契約です。
そのため、定期借家契約の家賃は通常の相場よりも安くなっています。
住宅ローンを返済中の人は転勤等であればリロケーションで貸すことはできますが、家賃が安くなってしまうことは知っておく必要があります。なお、例外として住宅ローンを不動産投資ローンに借り換えれば、賃貸に出すことを認めてくれる銀行もあります。
一般的に不動産投資ローンは、住宅ローンよりも金利が高いです。
不動産投資ローンに借り換えて貸す場合は、金利等の諸条件を十分に確認することが望ましいといえます。
この記事のポイント
- マンションを賃貸に出さず売却するメリットは?
マンションの売却には主に下記3点のメリットがあります。
・資産価値が比較的高い間に売れる
一般的にマンションは築年数が浅いうちの方が高く売れます。
賃貸に出すと貸している間は築年数が経過してしまうため、賃貸に出さずに今すぐ売るということは資産価値が比較的高い間に売れるということです。・売却時に税制優遇を受けられる
一定の要件を満たすマイホームの売却では、節税ができる税制優遇措置があります。
そのため、マイホームのマンションであれば税制優遇を受けることができます。・ローン完済期間を短縮できる
住宅ローンが残っている人が売却すれば、ローンを一括返済できるため、完済期間を短縮できます。詳しくは「マンションを売却するメリット」をご覧ください。
- マンションは賃貸に出すのと売却するのとではどちらが得をする?
一概にどちらかが得をするとは言えませんが、前提として住宅ローンを返済中の人は基本的に賃貸の選択肢がありません。
リロケーションという形では賃貸に出すこともできますが、借主は更新ができず確実に退去しなければならないことから、定期借家契約は借主にとって不利な契約です。
そのため、定期借家契約の家賃は通常の相場よりも安くなっています。住宅ローンを返済中の人は転勤等であればリロケーションで貸すことはできますが、家賃が安くなってしまうことは知っておきましょう。
詳しくは「マンション売却と賃貸どっちがお得?」をご覧ください。

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