ざっくり要約!
- マンションを売るか貸すか迷ったときは、住宅ローンが残っているかどうかなどで判断ポイントが変わる
- マンションを売るか貸すか迷ったら、リロケーションや期間サブリースの活用を検討する、しばらく空き家にしておくという方法もある
住まなくなったマンションを売るか貸すか迷っている方もいらっしゃると思います。「売る」または「貸す」ことによって収益を得ることができますが、それぞれの方法には異なるメリットや注意点があり、自分の状況によってどちらが合っているか判断する必要があります。
売却してまとまったお金を得るのか、賃貸に出して継続的な家賃収入を得るのかは悩ましい選択なのではないでしょうか?
この記事では「マンションを売るか貸すか」をテーマに解説し、マンションを売る流れや貸す流れについても紹介します。
記事サマリー
マンションを売るか貸すか迷った時の判断ポイント

マンションを売るか貸すか迷った時の判断ポイントについて解説します。
住宅ローンの残高があれば金融機関へ
まず、住宅ローンが残っているマンションは、原則として他人に貸すことができません。
理由としては、住宅ローンの資金使途はマイホームの購入であり、投資物件(収益物件)の購入ではないからです。住宅ローンで購入したマンションを他人に貸した場合、外形上は収益物件を購入しているのと同じになります。
住宅ローンは不動産投資ローンよりも金利が安いため、借主にとって有利なローンです。そのため、住宅ローンを不正に利用して収益物件を購入するという詐欺犯罪が存在します。ゆえに、うかつに住宅ローンが残っている状態で他人に貸してしまうと、住宅ローンの不正利用とみなされる可能性があるのです。
そこで、住宅ローンが残っている場合は、銀行に相談に行き、不動産投資ローンに借り換えて貸すことができないかを確認することが必要です。銀行によっては、不動産投資ローンへの借り換えを認めてくれることがあります。
すべての銀行が借り換えを認めるわけではありませんが、どうしても貸し出したい場合には、まずは銀行に相談してみてください。
再び住む予定があれば「賃貸」を検討
将来的にまた今のマンションに戻ってきたいと考えているなら、「賃貸」を検討しましょう。マンションを貸せば、継続して家賃収入を得ることができます。マンションを貸す契約方法は、「定期借家契約」と「普通借家契約」の2種類があります。定期借家契約では、更新がないため、契約期間満了時に確実に借主を退去させることができます。一方で、普通借家契約を結ぶと、更新があるため、借主が住み続けたいと希望すれば賃貸借期間が更新され続け、貸主の都合で更新拒絶はできません。そのため、マンションに戻ってきたいと考えているなら、貸し出す期間を限定できる定期借家契約を結ぶほうが安全といえるでしょう。
再び住む予定がなければ「売却」を検討
将来的にマンションに戻る可能性がないなら、「売却」を検討します。マンションを空き家のまま所有していると、固定資産税や管理費の支払いが必要となり、継続的に支出が発生します。売却してしまえば、このような維持費の支払いの必要がなくなるというメリットがあります。また、売却によるまとまった額の収入が一度に得られる点も魅力の1つです。
・「マンション売却 転勤」に関する記事はこちら
転勤時にマンションを売却する手順とは?損しないためのポイント解説
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マンションを売るメリット・デメリットとは

マンションを売るメリットとデメリットについて解説します。
マンションを売るメリット
マンションを売るメリットには、以下の点が挙げられます。
- まとまった資金が手に入る
- 維持費の負担がなくなる
- 基本的にリフォームは不要
マンションを売る1つ目のメリットは、決済日にまとまった資金が手に入ることです。最近では中古マンションの価格が上昇しており、売却することで得た資金を次の住まいの購入資金に充てたり、事業資金として活用したりすることができます。
特に、資金が必要なタイミングが決まっている場合や、新たなライフステージに向けて住み替えを検討している場合には、売却を考えると良いでしょう。
2つ目のメリットは「維持費の負担がなくなる」という点です。マンションは、固定資産税や都市計画税、管理費、修繕積立金の維持費が生じます。貸してもこれらの費用は所有者負担であり、空室が発生すれば家賃収入での補填ができない状態となります。売ってしまえば、維持費で頭を悩ますことはなくなります。
・「マンション 維持費」に関する記事はこちら
マンションの維持費は高い?一戸建てとの違いやシミュレーションを紹介
3つ目のメリットは「基本的にリフォームは不要」という点です。リフォームは、売却と賃貸で考え方が明確に異なります。所有権が移転できる売却では、買主が購入後に自分でリフォームできるため、売主はリフォームせずとも売ることができます。
・「マンション売却 リフォーム」に関する記事はこちら
マンション売却時にリフォームは必要?判断基準や費用を解説
一方で、所有権が移転しない賃貸では、借主が入居後にリフォームすることはできません。そのため、賃貸では貸すためにまずリフォームが必要となることが多いです。
マンションを売るデメリット
マンションを売るデメリットには、以下の点が挙げられます。
- 家賃収入を得られない
- 将来利用できなくなる
- 資産家の場合は相続税が上がる
1つ目のデメリットは「家賃収入を得られない」という点です。条件の良い物件であれば手放すのは惜しいため、貸して家賃収入を稼いだ方が良いといえます。
2つ目のデメリットは「将来利用できなくなる」という点です。売却してしまえば、例えば将来子どもが住むといったこともできなくなります。自分が戻るケース以外に、自分の子どもや親族が利用する可能性についても検討してみましょう。
3つ目のデメリットは「資産家の場合は相続税が上がる」という点です。基本的に相続税は一部の資産家のみに課される税金になります。
資産家の方は、マンションは売らずにそのまま貸した方が相続税対策となります。理由としては、相続税評価額は現金よりも収益物件の方が一般的に低いからです。マンションを売却して現金に換えてしまうと相続税が増える結果になりますので、売却せずにそのまま貸すことをおすすめします。
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マンションを貸すメリット・デメリットとは

マンションを貸す場合、基本的にメリットとデメリットは、売る場合のメリットとデメリットの裏返しです。以下に列挙します。
マンションを貸すメリット
マンションを所有している場合、売却だけでなく、貸し出すことで得られるメリットも多くあります。ここでは、マンションを貸すことによって得られる具体的な利点について解説します。
家賃収入を得られる
マンションを貸す最大のメリットは、家賃収入を得られることです。毎月一定の収入が入るため、安定したキャッシュフローを得られる可能性があります。たとえば、自分が住まなくなったマンションや、投資用として購入した物件を貸し出すことで、働かなくても得られる「不労所得」として家賃収入を得られるのは大きな魅力です。加えて、入居者が安定していれば長期的に安定した収入源となり、将来的な資産形成にもつながります。
将来利用できる
賃貸に出すことで、自分や家族が将来的にそのマンションを再び利用することが可能になります。たとえば、転勤や一時的な引っ越しでマンションを手放すのではなく、賃貸に出しておけば、将来的に再びその場所に戻って住むことができるのです。売却してしまうと、もうその物件に住むことはできませんが、賃貸であればこのような選択肢を残しておける点が大きなメリットです。
資産として維持ができる
マンションを貸し出すことで、物件を売却せずに資産として維持することができます。売却してしまえばその資産は手元に残りませんが、賃貸にすることで所有し続けることができ、資産価値を保つことが可能です。不動産という高額な資産を所有していれば、子どもに遺産として残すことも可能ですし、いざというときに売却したり、ローンの担保にしたりすることもできます。
資産家の場合は相続税対策になる
資産家にとって、マンションを賃貸に出すことは相続税対策にもなります。賃貸に出すことで、不動産の評価額が低くなるため、相続税を減額できる可能性があるのです。特に、複数の不動産を所有している場合や高額な不動産を所有している場合、賃貸に出すことで資産の評価が下がり、相続税が軽減されることが期待できます。賃貸物件として活用することで、家族や子供たちへの相続がスムーズになるだけでなく、資産管理の一環としても有効です。
マンションを貸すデメリット
マンションを貸し出すことで家賃収入を得るなど、多くのメリットがある一方で、貸すことに伴うデメリットも存在します。ここでは、マンションを貸す際に直面する可能性のある問題やリスクについて解説します。
維持費がかかる
マンションを所有していることで、固定資産税や都市計画税、管理費や修繕積立金などの維持費は発生し続けます。特に、修繕積立金の支出は、築年数が増えるにつれて増加する傾向にあります。
空室の場合は収入が得られない
マンションを貸す最大のリスクの一つは空室です。借り手が見つからず空室が続くと、当然ながら家賃収入は得られません。スムーズに入居者を見つけるには、ニーズに合わせた家賃設定を心掛け、賃貸の得意な仲介会社を選ぶようにしましょう。
リフォームが必要となる場合もある
室内の綺麗さや設備の新しさは、マンションの賃料に影響する重要な要素です。そのため、部屋の経年劣化の状態によっては、貸し出し前にリフォームやクリーニングを行うことが必要です。これらのリフォームや修繕には費用がかかり、家賃収入と比較して利益が少なくなることも考えられるため、事前にリフォーム費用を見込んでおくことが重要です。
・「家を貸す メリット デメリット」に関する記事はこちら
家を貸すメリットとデメリットは?手順や注意点とともに解説
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マンションを売る流れと気をつけたいポイント

マンションを売る流れと気をつけたいポイントについて解説します。
マンションを売るまでの流れ
売るまでの流れは、以下の通りです。
- 価格の査定を依頼
- 不動産会社と媒介契約を締結
- 販売活動の開始(買主が決まるまで一般的には3カ月程度)
- 買付証明書の受領
- 売買契約の締結(引渡までは一般的に1カ月程度)
- 引渡
- 必要があれば売却の翌年に確定申告
売却は時間がかかるという点が最大の特徴です。査定から引渡までのトータルの時間は、4~6カ月程度必要となります。
・「マンション売却 流れ」に関する記事はこちら
マンション売却から引き渡しまでの流れとは?必要な書類も紹介
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マンションを売る費用感
マンション売却で必要な主な費用と、それぞれの費用感は以下の通りです。
費用項目 | 費用感 |
---|---|
仲介手数料 | 売買代金が800万円超なら「売買代金✕3%+6万円+消費税」(800万円以下の場合は仲介手数料33万円(税込み)) |
印紙税 | 売買代金が1,000万円超5,000万円以下なら1万円※ |
抵当権抹消費用 | 抵当権抹消の登録免許税は不動産1個につき1,000円 司法書士手数料は1.5~2.5万円程度 |
税金に関しては、売却益が生じなければ発生しません。マンション売却では、売却益が生じないことが多く、税金は発生しないこともよくあります。税金が生じない場合の費用感は「売買代金の4%弱程度」です。
・「マンション売却 手数料」に関する記事はこちら
マンション売却にかかる手数料は?計算シミュレーションや安くする方法も解説
・「マンション売却 税金」に関する記事はこちら
マンション売却にはいくら税金がかかる?節税のための控除なども解説
マンションを売る際に気をつけたい点
売却で気を付けたいポイントは以下の5点です。
- 売却活動の全体スケジュールに余裕を持つ
- 欠陥に関しては正直に告知する
- 住宅ローンが残っているかどうかを確認する
- 譲渡所得税がかかる場合がある
- 仲介手数料を支払う必要がある
1つ目は「売却活動の全体スケジュールに余裕を持つ」という点です。売却期間が短いと、焦って安く売ってしまう「売り急ぎ」につながりやすくなります。
・東急リバブルの売却活動はこちらから
2つ目は「欠陥に関しては正直に告知する」という点です。売却では必ずしもリフォームや修繕をする必要はなく、多少の欠陥があってもそのまま売ることができます。ただし、欠陥を抱えている物件は、不具合について正直に買主に告げることが必要です。
3つ目は、マンションを売却する際に確認しなければならないのは、住宅ローンが残っているかどうかです。マンションを売るためには、売却と同時に住宅ローンをすべて完済しなければなりません。もし、住宅ローンの残債がある場合は、マンションの売却代金や自己資金を使ってローンを完済することが求められます。ここで重要なのは、売却価格が住宅ローンの残高よりも低い場合、その差額を自己資産から補填する必要があるという点です。仮に自己資金で補填できない場合、マンションの売却が進まない可能性もあります。事前に住宅ローンの残高やマンションの市場価値をしっかりと把握し、売却に伴う資金計画を立てることが大切です。
4つ目は、マンションを売却した際、売却価格が購入時の価格を上回った場合は、「譲渡所得税」が発生することを知っておく必要があることです。譲渡所得税は、マンションや土地などの不動産を売却したことで得た利益、つまり譲渡所得に対して課される税金です。この税金は、所得税と住民税の二つから構成されており、利益の大きさによって税額が変わります。また、2037年(令和19年)までは復興特別所得税も含まれるため、通常の所得税に加えて負担が増えることもあります。売却を検討している場合は、事前に譲渡所得税の計算を行い、税金がどのくらいかかるのか把握しておくことが重要です。場合によっては、節税対策や控除を活用することで負担を軽減することができるため、専門家のアドバイスを受けると良いでしょう。
5つ目は、不動産会社を通じてマンションを売却する場合、取引が成約した際に「仲介手数料」を支払う必要があることです。この仲介手数料は、不動産会社が買主を探したり、契約に関するサポートを提供したりするための報酬として支払われるものです。仲介手数料の金額は、売却価格に基づいて計算され、通常は売買価格の3%に加え、6万円と消費税が加算されます。この手数料は、売却にかかる費用としてあらかじめ計画に組み込んでおくことが大切です。不動産会社のサポートによってスムーズな取引が実現するため、仲介手数料を払う価値は高いと言えますが、手数料についてもしっかり確認しておくことが成功する売却の鍵となります。
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マンションを貸す流れと気をつけたいポイント

マンションを貸す流れと気をつけたいポイントについて解説します。
マンションを貸すまでの流れ
貸すまでの流れは、以下の通りです。
- 賃料の査定を依頼
- 管理会社(不動産会社)と管理契約を締結
- 入居者募集の開始
- 入居希望者の入居審査
- 賃貸借契約の締結
- 入居開始
入居者が決まるまでの期間は、物件や募集時期によります。立地などの条件が良く、さらに引っ越しシーズンに重なった場合は1カ月以内に決まることもあります。
マンションを貸す費用感
マンションを貸すときに必要な主な費用と、それぞれの費用感は以下の通りです。
費用項目 | 費用感 |
---|---|
管理委託手数料 | 家賃の1〜1.5カ月分 |
広告宣伝費(AD) | 家賃の0~3カ月分 |
修繕費用 | クロスの張り替え等の簡易なものなら8~10万円程度 フルリフォームなら400~600万円程度 |
ADとは、advertisement(広告、宣伝)の略で、不動産業界では賃貸の募集をする際の「広告宣伝費」のことを指します。
具体的には、仲介手数料では補いきれない、特別な広告や集客を行い、自分の物件に優先して借主をあっせんしてもらうために管理会社に支払う費用になります。条件の良い物件であれば、ADは「なし」もしくは「家賃の1カ月分」程度です。条件の悪い物件だと「家賃の2~3カ月分」が必要となることもあります。
マンションを貸す際に気をつけたい点
賃貸に出すときに気を付けたいポイントは以下の2点です。
- ADの利用方法には注意が必要
- 住宅ローンは不動産投資ローンへの切り替えが必要
1つ目は、「ADは利用方法を誤ると資金がマイナスになるデメリットもある」という点です。ADのメリットは成約までのスピードを早まらせる効果があることですが、料金には法的な規定がなく、上限はありませんので、積み上げすぎないように注意が必要です。
2つ目は、マンションに住宅ローンが残っている場合、基本的に賃貸に出すことはできないという点です。
住宅ローンは「マイホーム」を前提に融資されるものであり、その契約内容には賃貸利用を禁止する条項が含まれているケースがほとんどだからです。したがって、ローンの残っているマンションを賃貸に出したい場合は、まず金融機関に相談し、住宅ローンを不動産投資ローンに切り替える必要があります。不動産投資ローンは賃貸用の不動産に適用されるローンで、これに切り替えることで賃貸経営が可能になります。
しかし、不動産投資ローンは一般的に住宅ローンよりも金利が高く設定されているため、月々の返済負担が増えるリスクがあります。また、住宅ローン減税が適用されなくなるため、税制面での優遇措置を受けられなくなるというデメリットもあります。さらに、住宅ローンの借入額はローン総額を基に計算されるため、今後新たに住宅を購入したいと考えたとき、借り入れできる金額に影響を及ぼす可能性が考えられます。この点を十分に理解した上で、ローンの切り替えを検討することが重要です。
マンションを売るか貸すか迷った時は?

マンションを売るか貸すか、迷った時の対処法について解説します。
リロケーションや期間限定サブリースも活用可能
リロケーションとは、転勤等で一時的に利用する賃貸のことです。住宅ローンが残っている物件でも、転勤等のやむを得ない事情がある場合には、銀行も賃貸を認めてくれます。転勤の場合は、リロケーションを使うことを考えてもいいでしょう。
期間限定サブリースとは、一定期間、管理会社が借上げるというサービスです。貸せるかどうかわからない物件は、管理会社に期間限定サブリースをできないか確認してみるという方法もあります。
・「リロケーション」に関する記事はこちら
リロケーションとは?転勤時の空き家活用で検討したい賃貸方法をご紹介
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サブリースとは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説
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空き部屋のままにするのもあり
売ったり貸したりせずに、しばらく空き家のままにしておくのもありという考え方もあります。焦らずにじっくりと活用方法を考えられるという点ではメリットです。
ただし、マンションの場合、管理費や修繕積立金が発生するため、維持費は戸建てよりも割高となります。また、空き家のまま放置すると、「カビが生える」「下水からの汚臭が充満する」等の事象が生じる可能性がある点がデメリットです。よって、半年ほど空き家にしておき、良い活用方法が見つからなければ、売却することをおすすめします。
・東急リバブルの「マンション売却・査定」はこちらから
・東急リバブルの「家を貸す・賃貸経営」はこちらから
・「マンション 売却 賃貸」に関する記事はこちら
マンション売却と賃貸どっちが得する?メリット・デメリット徹底比較
マンションを売る・貸すシミュレーション
マンションを売る場合のシミュレーション
マンションを売却することで得られる利益は、次の計算式で求めることができます。
マンション売却による税引き後の利益 = 売却価格 - 売却にかかる諸費用 - 税金
この式に基づき、「売却価格」「売却にかかる諸費用」「税金」の各項目について、計算方法や金額の目安を詳しく見ていきましょう。
売却価格
売却価格は、購入希望者との交渉を経て最終的に決まるものですが、事前に簡易的な査定を受けたり、過去の取引事例を調べたりすることで、おおよその価格帯を把握することができます。売却を検討している場合、まずはマンションの市場価値を知ることが大切です。
過去の不動産取引事例をチェックするには、「レインズ・マーケット・インフォメーション(REINS)」というサイトが便利です。このサイトは国土交通大臣が指定した不動産流通機構によって運営されており、全国の不動産売買の相場が掲載されています。売却予定のマンションと似た条件の物件が、過去にどの程度の価格で取引されているのかを調べることで、市場の傾向をつかむことが可能です。
さらに、複数の不動産会社に簡易査定を依頼するのも良い方法です。査定は立地や物件の基本情報をもとに行われ、具体的な数字が提示されます。こうした情報を集めることで、客観的な視点から売却価格の相場を把握しやすくなります。
税金
マンションを売却して利益(譲渡所得)が発生した場合、譲渡所得税を支払う義務が生じます。ただし、売却価格全体がそのまま譲渡所得として扱われるわけではありません。譲渡所得は次の式で計算されます。
譲渡所得 = 売却価格 - 購入時にかかった取得費 - 売却にかかる諸費用 - 特別控除3000万円
この計算式の中で「特別控除」とは、マイホームを売却した際に適用される特例のことです。この特例を利用することで、譲渡所得から最大3000万円が控除され、課税対象から除外されます。
ただし、この特別控除はあくまでも日常生活に使用していた住居(マイホーム)に対してのみ適用されるため、別荘などの物件は対象外となります。また、買い替えで新しい物件に住宅ローン控除を利用する場合、3000万円の特別控除は併用できない点に注意が必要です。
譲渡所得税の計算方法は、譲渡所得に税率をかけて求めます。この税率は、所得税と復興特別所得税、そして住民税で構成されており、適切な申告と計算が求められます。
マンションの売却を検討する際には、売却価格だけでなく、税金や諸費用についても正確に把握しておくことが大切です。事前にシミュレーションを行うことで、どれだけの利益が手元に残るかをしっかりと見極めましょう。
売却にかかる諸費用
マンションを売却する際には、いくつかの諸費用がかかります。代表的な費用としては、「仲介手数料」「印紙代」「登記費用」「住宅ローンの一括返済手数料」があります。それぞれの費用の目安や計算方法を詳しく確認していきましょう。
登記費用
マンションを売る際、売主が負担する登記費用の中でも、主に発生するのは「抵当権抹消登記」にかかる登録免許税です。この手続きは、不動産の売買で一般的に司法書士に代行を依頼することが多く、その際には司法書士への報酬も必要となります。登記費用は、次の計算式で求められます。
登記費用 = 登録免許税 + 司法書士への報酬
具体的には、登録免許税は「不動産1件につき1000円」で、さらに司法書士への報酬は1.5万円程度が相場です。例えば、1つのマンションを売却する場合は、これらを合わせた費用がかかります。
仲介手数料
不動産会社にマンションの売却を仲介してもらった場合、成約時に「仲介手数料」を支払うことが必要です。仲介手数料の上限額は法律で定められており、売却額が400万円を超える場合は、次の式で計算されます。
仲介手数料の上限 = (売却価格 × 3% + 6万円) + 消費税
たとえば、売却価格が3000万円の場合は、96万円に消費税を加えた金額が仲介手数料の上限となります。仲介手数料は、売却成功に対して支払う報酬であるため、必ず支出として見込んでおくべき費用です。
印紙代
マンションの売却契約書には、印紙を貼ることが法律で定められており、この印紙代は「印紙税」として取引の際に支払うことになります。印紙税の金額は、売却価格に応じて異なります。以下の表に基づいて、印紙代が決まります。
売却金額 印紙税の金額
500万~1000万円 5000円
1000万~5000万円 1万円
5000万~1億円 3万円
1億~5億円 6万円
このように、マンションの売却金額に応じて必要な印紙税を計算し、売買契約書に貼付して支払うことになります。
一括返済手数料
もしマンションの住宅ローンが残っている場合、売却時に一括返済を行う必要があります。その際に発生するのが「一括返済手数料」です。
たとえば、30年ローンでマンションを購入し、20年経過した時点で売却する場合、残りの10年分のローンを一括返済するための手数料がかかることがあります。
一括返済手数料の金額は、金融機関によって異なり、手数料がかからない場合もあれば、数万円の手数料が発生することもあります。そのため、一括返済を検討する際には、事前にローンを組んでいる金融機関に確認しておくことが大切です。
マンションを貸す場合のシミュレーション
マンションを貸し出す際には、収支のバランスをしっかり考えることが重要です。売却とは異なり、マンションを賃貸に出すことで得られる収入は一度にまとまった額ではなく、長期間にわたって安定的に家賃収入を得る形となります。
そのため、「何年かけて投資を回収できるのか」を考慮しながら、長期的な視点で計画を立てる必要があります。
こうした賃貸経営において役立つのが「利回り」の概念です。利回りとは、年間の家賃収入を物件の購入価格で割って算出される指標で、投資に対するリターンを示します。
利回りには、諸経費を考慮しない「表面利回り」と、諸経費を差し引いた「実質利回り」の2つの種類があります。それぞれの利回りの計算方法は以下の通りです。
表面利回り
表面利回り(%) = (1年間の家賃収入 ÷ 物件価格) × 100
表面利回りは、物件の購入価格に対する家賃収入の割合を計算するもので、経費を差し引かない単純な収益率を示します。表面利回りが高ければ高いほど、購入した物件に対して多くの家賃収入が期待できるという意味です。しかし、実際の経営にはさまざまな諸経費がかかるため、表面利回りだけで判断するのは危険です。
実質利回り
実質利回り(%) = {(1年間の家賃収入 - 諸経費) ÷ 物件価格} × 100
実質利回りは、表面利回りに比べ、現実的な収益率を示します。家賃収入から固定資産税や管理費、修繕積立金などの諸経費を差し引いた後の収益を基に計算されるため、実際に手元に残る利益に近い数字となります。賃貸経営を行う際には、この実質利回りを基に、家賃の設定や経費のバランスを考慮することが大切です。
実質利回りで検討すべき経費
マンションを賃貸に出す場合、毎年発生する経費があります。たとえば、固定資産税や都市計画税といった税金、マンションの管理費や修繕積立金、そして保険料など、さまざまな費用がかかります。こうした経費は決して無視できるものではなく、これらを考慮した上で実質利回りを計算し、家賃を設定することが、賃貸経営の成功に直結します。
以下に、実質利回りを考える際に検討すべき主な経費について詳しく説明します。
固定資産税
固定資産税は、所有する不動産に対して毎年支払う税金です。課税標準額に標準税率1.4%をかけて算出されますが、税率は自治体によって異なることがあります。また、不動産の評価額は3年ごとに見直され、築年数が経過するにつれて評価額は減少する傾向にあります。
都市計画税
都市計画税も、固定資産税と同様に毎年納税が必要な税金です。課税標準額に標準税率0.3%をかけて計算されますが、こちらも税率は自治体ごとに異なります。なお、都市計画税は市街化区域にある物件にのみ適用される税金です。
火災保険料
賃貸に出す物件には、火災保険の加入が必須となります。貸主は「建物」に対する保険料を負担し、借主は自身の「家財」に対する保険料を負担することが一般的です。火災保険の契約内容を確認し、必要な保障が得られるように見直しておくことが重要です。
管理費や修繕積立金
マンションには、管理費や修繕積立金といった費用が定期的に発生します。これらの費用は築年数の経過とともに増加する傾向があるため、将来的なコスト増も見込んでおく必要があります。
リフォーム費用
マンションを賃貸に出す際には、内装のリフォームが必要となる場合もあります。借主にとって魅力的な物件にするためには、きれいな状態を保つことが重要です。特に古い物件では、リフォームを行わないと借り手がつかない可能性もあるため、相場に合わせたリフォームを検討しましょう。
マンションを貸す際には、家賃収入のみに注目せず、こうした経費も計算に入れて実質利回りを検討することが不可欠です。適切な家賃設定と計画的な経営を心がけることで、長期的に安定した収益を得ることができるでしょう。
この記事のポイント
- マンションを売るか貸すか迷った時の判断ポイントは?
住宅ローンが残っているかどうか、再び住む予定があるかどうか、管理ができるかどうかが判断ポイントです。
住宅ローンが残っている場合は、銀行に相談に行き、不動産投資ローンに借り換えて貸すことができないかを確認することが必要です。再び住む予定があれば定期借家契約を、管理が難しそうであれば売却をそれぞれ検討しましょう。
詳しくは「マンションを売るか貸すか迷った時の判断ポイント」をご覧ください。
- マンションを売るメリット・デメリットとは?
マンションを売る場合、貸すよりも簡単なことが多い、維持費の負担がなくなる、基本的にリフォームは不要というメリットがあり、一方で家賃収入を得られない、将来利用できなくなる、資産家の場合は相続税が上がるというデメリットがあります。
詳しくは「マンションを売るメリット・デメリットとは」をご覧ください。

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