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転勤時にマンションを売却する手順とは?損しないためのポイント解説

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。

ざっくり要約!

  • 転勤前・転勤後ともにマンション売却が可能だが、それぞれメリットとデメリットがある
  • 転勤時にマンションをスムーズに売るためには値段の見直しや広告用写真の工夫が必要

マンションを売るべきかどうか迷うタイミングの一つに転勤があります。転勤は、社命を受けてから異動をするまでの期間が短いことが多く、売却についてじっくり考える余裕がないのが難しい点といえます。

突然転勤を言い渡され、マンション売却を検討する場合、どのように対処したら良いのでしょうか。迅速に対処するには、転勤を前提としたマンション売却の手順を知っておくことが適切です。

この記事では、転勤によるマンション売却の流れや成功させるポイントなどを解説します。

転勤が決まってからマンション売却までの流れ

転勤が決まってからマンション売却までの流れは以下の通りです。

  1. 売却するマンションの査定を依頼
  2. 不動産会社と媒介契約を締結
  3. 販売活動の開始(買主が決まるまで一般的に3ヶ月程度)
  4. 売買契約の締結(引渡までは一般的に1ヶ月程度)
  5. 引渡
  6. 必要があれば売却の翌年に確定申告

売却のタイミングは転勤前と転勤後のいずれかが考えられます。売却を転勤の前にするか後にするかによって、転勤先の新居を探すタイミングや引っ越しのタイミングも異なります。

転勤先の新居については、購入または賃貸のいずれかが考えられますが、購入する場合は購入物件の売買契約から引渡まで1カ月程度かかります。転勤先の新居をどうするのかも考慮しながら、余裕を持って売却活動を進めることが必要です。

マンションの売却は転勤する前と後どちらでもOK?

マンションの売却は、理屈上では転勤の前と後のいずれでも可能です。ただし、転勤前の売却は状況によって必要性が変わります。

転勤前に売却しなければならない場合、例えば以下のような人が挙げられます。

【転勤前の売却の必要性が高い人】

  • 転勤先で住宅ローンを組んで物件を購入する人
  • 海外転勤で売買契約時や引渡時に日本に戻ってくるのが難しい人

住宅ローンは、原則として1人1本のローンしか組めませんので、マンションに住宅ローンが残っており、かつ転勤先で住宅ローンを組んで自宅の購入を予定している人は売却が必要です。

また、売買契約や引渡では、原則として売主本人の立ち会いが必要です。海外転勤などで日本に戻ってくるのが難しい場合は、転勤前に売ることで本人立ち会いを無理なく行うことができます。

一方で、転勤前に売却する必要性が低い人は、例えば以下のような人が挙げられます。

【転勤前の売却の必要性が低い人】

  • 転勤先で賃貸物件に住む予定の人
  • 現在の住まいの住宅ローンを完済している人

転勤する場合、会社によっては住宅手当が出るため、転勤先で賃貸を選択する人も多いといえます。賃貸に住む人は転勤先で新たな住宅ローンを組む必要がないため、転勤までに売却する必要性は低いでしょう。

また、現在の住まいの住宅ローンが完済している人は、転勤先で新たな住宅ローンを組むことができるため、転勤までに売却する必要性は低いといえます。

転勤する前に売却するメリット・デメリット

転勤する前に売却するメリットとデメリットは、下表の通りです。

メリット・転勤先ですぐに住宅ローンを組んで物件を購入できる
・売買契約や引渡の立ち会いがしやすい
・物件の維持費の負担を軽くできる
デメリット・売却までの十分な期間がない
・住みながらの売却となるため売りにくい
・転勤前に仮住まいが必要となる可能性がある

メリットの1つ目は「転勤先ですぐに住宅ローンを組んで物件を購入できる」という点です。
現在住んでいるマンションに住宅ローンが残っており、転勤先で新たな物件を住宅ローンで購入したい場合は、転勤前に売るメリットが大きくなります。

メリットの2つ目は「売買契約や引渡の立会いがしやすい」という点です。
転勤後の売却であれば、売却手続きのために転勤先と以前住んでいた場所を往復しなければなりませんが、そうした手間を省くことができます。

・「マンション 売買契約」に関する記事はこちら
マンション売却時の売買契約の流れとは?売買契約書の内容も解説
・「マンション売却 引渡し」に関する記事はこちら
マンション売却から引き渡しまでの流れとは?必要な書類も紹介

メリットの3つ目は「物件の維持費の負担を軽くできる」という点です。
転勤前に売っておけば、固定資産税・管理費・修繕費等の維持費の負担を軽くすることができます。

・「マンション 維持費」に関する記事はこちら
マンションの維持費は高い?一戸建てとの違いやシミュレーションを紹介

一方で、デメリットの1つ目は「売却までの十分な期間がない」という点です。
時間がないと、焦って安く売ってしまう「売り急ぎ」につながりやすくなります。

・「マンション売却 失敗事例」に関する記事はこちら
マンション売却時にありがちな失敗事例とは?後悔しないコツを解説

デメリットの2つ目は「住みながらの売却となるため売りにくい」という点です。
住みながら売る場合、売主は内覧の立ち会いも必要となってきます。内覧とは、購入希望者に対して家の中を見せる販売活動のことです。内覧前はしっかり掃除をする必要がありますし、貴重な土日が内覧でつぶれてしまう等の難点があります。

デメリットの3つ目は「転勤前に仮住まいが発生する可能性がある」という点です。
転勤先の住居が決まらないうちに売れてしまうと、転勤前に今住んでいる近所で仮住まいが必要になってしまいます。よって引っ越しが2回になってしまうため、手間もコストも負担が多いです。

転勤後に売却するメリット・デメリット

転勤した後に売却するメリットとデメリットは、下表の通りです。

メリット・じっくり時間をかけて売却できる
・空き家の状態であるため売りやすい
・引越しが1回で済む
デメリット・物件の維持費の負担が増える
・売買契約や引渡の手続きで戻ってくる必要がある
・住宅ローンが残っていれば住宅ローンの支払いがしばらく続く

メリットの1つ目は「じっくり時間をかけて売却できる」という点です。
焦って売る必要がないことから、じっくりと高値の売却を追及できます。

メリットの2つ目は「空き家の状態であるため売りやすい」という点です。
鍵を不動産会社に預けておけば、内覧も任せることができまし、売主が内覧の度に毎回家を掃除するような手間も不要となります。

メリットの3つ目は「引越しが1回で済む」という点です。
転勤前に、転勤先の住居が決まらないうちに売れてしまうと、仮住まいが必要となり短期間で2回も引っ越すことになりますが、最初から転勤先の新たな住居に引っ越すので1回だけですみます。

一方で、デメリットの1つ目は「物件の維持費の負担が増える」という点です。
例え住んでいなくても、売れるまでは固定資産税や管理費、修繕積立金等の維持費の負担が続きます。

デメリットの2つ目は「売買契約や引渡で戻ってくる必要がある」という点です。
最低でも売買契約と引渡の2回の往復が必要ですが、何かトラブルがあればその都度、戻って来なければいけない場合もあります。

デメリットの3つ目は「住宅ローンが残っていれば住宅ローンの支払いがしばらく続く」という点です。
住宅ローンが残っているマンションの場合、転勤後も売却するまで住宅ローンの支払いが毎月続きます。

・「マンション売却 引っ越し」に関する記事はこちら
マンション売却時の引っ越しはいつ?必要となる準備も解説

お家の売却をご検討中の方 家の売却なら東急リバブルへ 売却にかかる費用・税金についてはこちら 詳しくはこちら

転勤時のマンション売却を成功させるポイント

転勤時のマンション売却を成功させるポイントについて解説します。

信頼できる不動産会社選び

売却を成功させるには、信頼できる不動産会社に依頼することも重要です。転勤物件を売るなら、リロケーションも行っている不動産会社に依頼することをおすすめします。リロケーションとは、転勤中に一時的に賃貸に出すことを指します。

リロケーションを行っている不動産会社は、普段から転勤物件を扱っていることが明らかです。転勤物件の賃貸だけでなく、売却も行っていることが多いため、転勤物件の売却実績も豊富にあります。

売却に柔軟に対応してくれますし、場合によってはしばらくリロケーションも選択できます。依頼できる選択の幅が広がりますので、転勤物件を売却するならリロケーションも行っている不動産会社を探してみましょう。

・「不動産売却 どこがいい」に関する記事はこちら
不動産売却や査定はどこがいい?迷ったときの選び方
・東急リバブルの「マンション売却・査定」はこちらから

転勤時にスムーズにマンション売却を行うには?

最後に、転勤時にスムーズにマンション売却を行う方法について解説します。

不動産会社の買取サービス利用を検討

転勤時のマンション売却は、買取を利用するというのも1つです。買取とは、不動産会社に物件を売る売却方法になります。売却価格は仲介で売れる価格の70~80%程度となりますが、すぐに売却できる点がメリットです。

不動産会社に依頼すれば、引渡日の調整もできます。特に転勤前に売る人で時間がない場合は検討してみてもいいでしょう。

・「マンション売却 買取」に関する記事はこちら
マンション売却時は仲介と買取どちらを選ぶ?物件の向き・不向きも紹介
・東急リバブルの「リバブル不動産買取」はこちらから

不動産会社の査定額を参考に価格を検討

不動産会社の査定額を参考に、若干安く売り出すことで仲介でも早く売れる可能性があります。早く売りたいけれど、買取のように価格を下げたくない人におすすめの方法です。

例えば、転勤まで3ヶ月近く時間がある人であれば、若干安くすることで仲介でも間に合う可能性があります。仲介で早く売りたい場合には、不動産会社とよく相談した上で値段を設定することをおすすめします。

・「マンション 売却相場」に関する記事はこちら
マンションの売却相場ってどのくらい?地域別の相場と調べ方を解説
・「周辺の売り出し価格」の検索はこちらから
・東急リバブルの「マンション売却・査定」はこちらから

売り出す際の広告用写真を工夫

売り出す際の広告用写真を工夫するのもコツです。写真は多い方が望ましく、可能であれば全部屋を掲載し、購入希望者が検討しやすい状態にしておきましょう。

不動産会社が対応しているかにもよりますが、写真だけでなく「360°ビューイング」を載せることもおすすめです。さらにVR内覧にも対応できれば、興味を持ってもらえるきっかけになります。不動産会社を選ぶ際には、どんな広告写真に対応できるか確認しておきましょう。

・東急リバブルの「パノラマサービス一覧」はこちらから

売却に必要な書類を早急に準備

マンション売却では、最後の引渡時に以下の書類が必要となります。不足のないよう、早めに準備しておきましょう。

【引渡時に必要な書類】

  • 登記済証(権利証)または登記識別情報
  • 印鑑証明書(3カ月以内に発行のもの)
  • 固定資産評価証明書
  • 住民票
  • 身分証明書
  • 固定資産税納税通知書の写し
  • 管理費および修繕積立金の額の確認書
  • 分譲時のパンフレット
  • 管理規約・理事会の会計報告書や議事録
  • 設備取扱説明書・保証書
  • 抵当権の抹消に必要な書類(銀行が用意)

特に転勤前に売却する場合は時間がないため、できるかぎり早急に準備することが望ましいです。

・「不動産売却 必要書類」に関する記事はこちら
不動産売却時とその後の確定申告の必要書類一覧!取得方法も紹介
・東急リバブルの「マンション売却・査定」はこちらから

この記事のポイント

マンションの売却は転勤する前と後、どちらがいいのでしょうか?

マンションの売却は、理屈上では転勤の前と後のいずれも可能です。

ただし、状況によって転勤前が合っているのか、転勤後が合っているのかが変わり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

詳しくは「マンションの売却は転勤する前と後どちらでもOK?」をご覧ください。

転勤時のマンション売却を成功させるポイントは?

物件をリフォームすると、売却しやすくなるのでおすすめです。特に転勤した後に売るのであれば、空き家状態なのでリフォーム工事がしやすく、かつ時間的余裕もあります。

また、不動産会社は、転勤中に一時的に賃貸に出すリロケーションも行っているところに依頼するのがいいでしょう。

詳しくは「転勤時のマンション売却を成功させるポイント」をご覧ください。

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