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文京区の住みやすさを解説! 歴史やおすすめエリア、治安などについてご紹介

執筆者プロフィール

橋本岳子
住まいと地域の評論家/福祉住環境コーディネーター

約20年間、不動産情報サービスの会社に在籍。独立後は、売買・賃貸・管理・投資など、不動産のさまざまな分野での執筆を行っている。また、2018年より東京都内の商店街を毎月取材し、地域の抱える問題点などについてもリサーチを続けている。

ざっくり要約!

  • 東京23区の中部に位置。治安が良く、教育施設や住宅街、歴史、自然を感じるスポットが多い
  • 旧石器時代より人々の生活が営まれていたと考えられている。江戸時代には武家屋敷などが多くあったが、跡地は教育機関などに転用されている
  • 6路線の地下鉄が利用可能。商店街やスーパーマーケットなど買い物施設は適度にある
  • ファミリー、DINKS、一人暮らしとも住みやすい環境が整っている

東京23区の中部に位置する文京区。教育施設や住宅街、歴史を感じるスポットが多いエリアで、落ち着いた住環境が人気の区です。今回は、歴史などの文京区の特徴に加え、家賃相場、価格相場、治安、おすすめエリア、子育て環境などを解説しながら、その住みやすさや人気の秘密を見ていきましょう。

文京区ってどんな街?

まずは、文京区の特徴を、歴史、イメージ、アクセス、買い物環境という4つの切り口からお伝えします。

歴史

区内28カ所で縄文遺跡が見つかっていることから、旧石器時代より人々の生活が営まれていたと考えられています。江戸時代には、大名屋敷や武家屋敷が置かれるとともに、多くの寺社が創建・転入し、街が形成されていきました。明治時代になると、武家屋敷の跡地は大学などの教育機関などに転用され、文教地区の側面が色濃くなっていきます。例えば、加賀前田家の屋敷跡に建っているのが、東京大学(設置当時は帝国大学)。大学の周りに出版社が立ち並ぶようになったことで、坪内逍遥、夏目漱石、樋口一葉、森鷗外などの文豪たちが移り住んだエリアとしても有名です。
そして、旧小石川区と旧本郷区が合併して文京区が誕生したのは1947年のこと。現在は、歴史を感じられる風景や自然を残しながら、約23万人の人々が暮らしています。

イメージ

大学などの教育機関が点在しているため「文教地区」というイメージがある文京区。また、閑静な住宅地が広がる場所が多いことに加え、繁華街やオフィス街が少ない点から、静かで落ち着いたエリアという印象が強いようです。唯一賑やかな地域と言えば、「東京ドーム」がある「後楽」が挙げられます。

アクセス

バス路線・電車路線ともに交通の便がよく、都心へもアクセスしやすいところが文京区の魅力。区内には、東京メトロ「丸ノ内線」・「南北線」・「有楽町線」・「千代田線」、都営地下鉄「三田線」・「大江戸線」の6路線が通っています。JR線の駅はありませんが、隣接するエリアにある、JR「御茶ノ水」駅、「水道橋」駅、「飯田橋」駅、「大塚」駅、「巣鴨」駅、「西日暮里」駅などは、居住地区によっては利用可能です。
国道17号、春日通り、目白通り、本郷通りなどの国道や都道も豊富にあるため、カーアクセスも良好となっています。

買い物環境

活気のある商店街が多いというのが文京区の特徴。とくに「春日」や「本郷三丁目」、「千駄木」周辺は、複数の商店街が集まっています。惣菜店などが充実している商店街もあり、メディアで取り上げられることもしばしば。あいさつを交わしたり、献立のアイデアを提供してもらったりなど、人情に触れながらお買い物ができるというのも商店街を利用するメリットと言えます。コンビニエンスストアやスーパーマーケット、ドラッグストアなども適度にあるので、日常生活で不便を感じることはないでしょう。また、「茗荷谷」駅や「後楽園」駅など、駅直結の商業施設が備わっている駅もあります。

文京区の家賃相場、価格相場

当社ホームページ掲載物件をもとにした情報によると、マンションの賃料や広さの幅は広く、5万7,000円のワンルームから35万円の2LDKまであります。売買に目を向けると、1,150万円~2億4,980万円の物件が販売中です。(2023年5月25日現在)

参考: 文京区の不動産相場

文京区の治安

文京区の犯罪発生率は23区内で最も低く、子育て世帯や女性の一人暮らしにも向いているエリアと言われています。大規模な繁華街やパチンコ店、ゲームセンター、カラオケ店などの遊興施設があまりないという点も治安の良さにつながっている点のひとつです。
また、東京大学やお茶の水女子大学などの周辺は、風俗店やパチンコ屋などの娯楽施設の建築に制限をかけた地区として保護されているため、今後もこういった施設が建設されることはありません。

文京区内の治安の良い駅(エリア)

文京区は全体的に治安が良いと言われていますが、細かく見ていくと最寄り駅によって差があります。
かつて、ミョウガの畑があったことからその名がついた「茗荷谷」。町名としては使われていませんが、東京メトロ丸ノ内線の駅名としてその名が残されています。この「茗荷谷」駅周辺には、「お茶の水女子大学」、「拓殖大学」、「中央大学」などのキャンパスがあります。また、国立の小学校に目を向けると、「東京学芸大学附属竹早」、「筑波大学附属」、「お茶の水女子大学附属」が「茗荷谷」駅を最寄りとしています。パチンコ店やカラオケ店、繁華街などはなく、文教地区と閑静な住宅街、敷地が広い公園や残された自然などが多いエリアです。犯罪の発生件数も少なく、治安の良い駅周辺として知られています。

また、東京メトロ有楽町線「護国寺」駅周辺も治安の良さが特徴となるエリアです。茗荷谷同様、文教地区としても有名で、「日本女子大学」とその附属校、日本大学豊山高等学校・中学校などが周辺にあります。「護国寺」駅を最寄りとする目白台地区は、閑静な住宅街。テニス場や野球場、サッカー場、ドッグランがある「目白台運動公園」は、この目白台地区に位置しています。また、自然景観を活かした池泉回遊式庭園である「肥後細川庭園」は、地域住民の憩いの場です。成熟した住環境で暮らす住民の防犯への意識は高く、パトロール隊を結成している町内会もあります。

文京区のおすすめエリア

ここでは、「ファミリー」、「DINKS」、「一人暮らし」に分けて、おすすめのエリアをご紹介します。

ファミリーにおすすめ

文教地区と言われているだけあって、教育熱心なご家族が多く見られる文京区。

90年以上の歴史がある名門校が多く、私立中学への進学率が高いことでも知られています。それぞれの通学区域が住まいのおすすめエリアとなりますが、区域の詳細については、こちらをご確認ください。

参考:文京区ホームページ 小学校 通学区域

文京区は、都心の中でも緑が多く、23区内では11番目、隣接する区(千代田、新宿、豊島、北、荒川、台東区)の中では、千代田区に次いで2番目に緑被率が高い区です。区立公園や植物園などがあるので、小さなお子さまがいるご家庭にもおすすめです。

DINKSにおすすめ

共働き夫婦であれば、住まいの条件にアクセスの良さを挙げる人も多いようです。文京区内は全体的に都心エリアに出やすいですが、複数の路線が利用できるとさらに利便性がアップします。
文京区内で複数の路線が乗り入れている駅は、

  • 「後楽園」駅:東京メトロ丸ノ内線・南北線
  • 「本郷三丁目」駅:東京メトロ丸ノ内線、都営大江戸線
  • 「春日」駅:都営大江戸線・三田線

となります。

また、複数の路線が乗り入れている駅ではありませんが、東京メトロ丸ノ内線「新大塚」駅は、ビッグターミナル駅の「池袋」駅まで、1駅約3分で到着します。駅周辺には、夜遅くまで営業しているスーパーマーケットもあるので、日常生活が快適に過ごせるでしょう。

一人暮らしにおすすめ

全国賃貸住宅新聞の独自企画「入居者に人気の設備ランキング2022」によると、単身者が欲しい設備トップ10の中に「エントランスのオートロック(2位)」や「防犯カメラ(7位)」などがランクインしており、防犯面を気にしている人が多いことが分かります。一人暮らしの場合は、やはり治安の良さは重視したいところ。こういった面から見ると、先に挙げた、「茗荷谷」駅周辺や目白台エリアなどがおすすめです。また、学生の場合は、賃料も気になるところではないでしょうか。2023年5月25日の当社ホームページの掲載物件を参照すると、最も安い賃料帯である6万円以下の物件は、「千駄木」、「大塚」、「本郷」が募集中となっています。中にはオートロック付きの物件もあるので、タイミングによっては、セキュリティや賃料ともに満足できる物件が見つかるでしょう。

文京区の子育て環境

利便性を感じながら、緑や自然、公園が多い文京区。便利な場所でのびのびと子育てをしたい、というご家庭には向いているエリアと言えます。23区の中央に位置していながら、コンクリートジャングルではない住環境も魅力で、東京大学の教育実習施設「小石川植物園」、松平家の屋敷内の庭園の名残である「占春園」などは、四季折々の草花の観察や昆虫採集など、自然に触れあえる場所となっています。
なお、子育て支援や公共施設・教育環境については下記の通りです。

子育て支援

様々な支援がありますが、ここでは、そのうちのいくつかをピックアップして紹介します。

  • 児童手当

中学校修了前の児童を養育していて区内在住者で、主に生計を維持している方に支給される手当です。支給額は、年齢や子どもの数によって異なります。所得上限限度額以上の場合は支給されません。

  • 医療助成

2023年4月1日より、高校生等医療助成をスタートさせた文京区。これまでの乳幼児(就学前)、子ども(義務教育就学児、満15歳の誕生日後最初の3月31日まで)に加え、高校生相当年齢にあたる人も、「入院・通院にかかる医療費の自己負担分」の助成が受けられます。

  • 多胎児家庭支援事業の移動経費補助

区内在住で、0~2歳までの多胎育児中の世帯が対象。「移動経費補助申請書」を提出後に、タクシー移動に使用できる商品券が送付されます。申請は、0・1・2歳で1回ずつ可能となっています。

  • キッズルーム(一時保育事業)

事前の登録や予約をすることで利用できる一時保育。「キッズルーム目白台」、「キッズルームシビック」、「キッズルームかごまち」、「キッズルーム茗荷谷」があります。満1歳から小学校就学前のお子さんが対象です。

公共施設・教育環境

「文京シビックセンター」は、大・小ホール、区役所、議場、高齢者や子育て中の方などのための区民施設と、区民以外の方でも利用できる、展望ラウンジ(2023年5月現在閉鎖中)やカフェなどがある文京区のランドマーク。東京メトロ丸ノ内線、南北線の「後楽園」駅から徒歩1分のところに立地しています。

共働き夫婦には関心の高い保育園についてですが、区内には124カ所の保育施設※があります。就学前の乳幼児とその保護者が交流しあえる「子育てひろば」、高校生まで利用できる「児童館」、10カ所の図書館など、子どもたちが安心して過ごせる施設が点在しているのも特徴です。珍しいのが、都や区の公有地や民有地の空地を利用した「遊び場」というスペース。区内7カ所を子どもたちに開放しています。

※区立、私立の認可保育園、認可保育所(公設民営)、認定こども園(公設国営)、小規模保育事業A型、家庭的保育事業、事業所内保育所の合計

文京区の私立中学への進学率は、「令和4年度 公立学校統計調査報告書【公立学校卒業者(令和3年度)の進路状況調査編】」(東京都教育委員会発表)によると、約48%。ほぼ半数の生徒が私立中学へ進学していることが分かります。また、進学率だけでなく、私立の学校数が多いのが文京区の特筆すべき点。桜蔭中学校高等学校(本郷)、淑徳SC中等部・高等部(小石川)、京華女子中学・高等学校(白山)、貞静学園中学校・高等学校(大塚)など枚挙にいとまがありません。さらに、東京大学(本郷)、お茶の水大学(大塚)、東京医科歯科大学(湯島)、中央大学(大塚)、東洋大学(白山)などの大学も点在しているといった、正に文教地区の色が濃いエリアです。

住環境が整った文京区を、ぜひ住まいの選択肢に

東京23区の中でも治安が良く、豊かな緑に囲まれた文京区。メイン通り沿いにはマンション、一歩入ると一戸建てや単身向けのアパートが並び、住宅エリアとしても人気があります。ぜひ住まい選びの選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

※こちらのデータ及び情報は、2023年5月25日現在によるものです。実際の相場状況、制度、その他街の情報とは異なる場合がございますので、ご注意ください。

この記事のポイント

文京区はどのような街ですか?

文京区は、東京23区の中部に位置しています。大学などの教育機関が点在しているため「文教地区」というイメージがあり、歴史を感じさせるスポットが多いエリアです。都心部に位置しながら、落ち着いた住環境が人気の区です。

詳しくは、「文京区ってどんな街?」 をご覧ください。

文京区の子育て環境について教えてください

文京区は、利便性を感じながら、緑や自然、公園が多く、便利な場所でのびのびと子育てが可能な環境です。また、公立校でありながら、独自色がある3S1Kと呼ばれる区立小学校の通学区域は、特に教育熱心なご家族に人気です。
また、生まれたばかりの子どもから高校生まで、お子様の成長段階に合わせた、さまざまな子育て支援制度があります。

詳しくは、「文京区の子育て環境」 及び、「文京区のおすすめエリア ファミリーにおすすめ」 をご覧ください。

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