大規模開発による新しさと便利さをたずさえ、歴史の趣を残すウォーターフロント都市【みなとみらい・馬車道エリアの歴史】

計画的な街づくりが、美しさと賑わいを演出する「横浜みなとみらい21」

1983（昭和58）年から整備が進められている、計画都市「横浜みなとみらい21」。横浜港に面しているこのエリアでは、江戸時代末期から「開港場」の機能を有し、日本の貿易の中心地として、国内外の文化の集積地として発展を続けてきた。

近年では、エリアの象徴でもある「横浜ランドマークタワー」を中心に、上場企業の本社が多数所在するなど、横浜経済の中枢としても機能するエリアだ。

観光地としても人気のこのエリアは、計画的な街づくりによってその魅力が保たれている。内陸から海へ向かい、徐々に街並の高さが低くなるよう形成されている“スカイライン”。これにより、どこからでも海や港が感じられるようになっている。

また、多くの建物の低層階には、“アクティビティフロア”が設置されている。店舗やショールーム、サービス施設等、自由に利用できる空間を設置することで、街の賑わいに連続性が保たれているのだ。

日本“初”が多い「馬車道」

横浜開港以来、居留地に住む外国人が馬車で行き来したことから「馬車道」と名づけられた。西洋をはじめとする多様な文化が流入し、国産アイスクリームの発祥や日本初のガス灯が設置されるなど、歴史の趣感じられるエリアだ。

ジャック、クイーン、キングの愛称がつけられている横浜三塔（「横浜市開港記念会館」、「横浜税関」、「神奈川県庁本庁舎」）は、入港してくる船が目印にしていたとされ、現代ではパワースポットとしても知られている。

「横浜港」の開港と発展

幕末の1858（安政5）年、江戸幕府はアメリカとの「日米修好通商条約」をはじめ、「安政五カ国条約」とよばれる、5ヶ国との条約を結んだ。この中で、神奈川の開港が取り決められたが、「神奈川宿」にある「神奈川湊」は通行の多い「東海道」沿いであり、江戸とも通じる要所であった。開港後の不都合を懸念した幕府は「神奈川在横浜」（横浜は神奈川の一部である）と詭弁し、街道から外れた場所にあった横浜を「開港場」とした。

条約と異なるという各国からの反対をよそに、幕府は築港を進め、翌年の1859（安政6）年には「横浜港」が開港された。外国側は当初、「神奈川宿」に領事館を置いていたが、「横浜港」が発展すると「神奈川湊」は衰退していった。結果、既成事実として「横浜港」が受け入れられるようになっていった。

日本で最初に開業した「横浜駅」

「開港場」となった横浜は、日本の近代化を導く街として発展をとげ、日本初となる鉄道や近代水道も引かれていった。日本で最初の鉄道として、官営鉄道（のちの国鉄、現・JRの東海道本線）の品川・横浜間が仮開業した1872（明治5）年、「横浜停車場」と「品川停車場」は日本で初めて開業した駅となった。現代の「桜木町」駅の南側が「横浜停車場」（初代横浜駅）のあった場所となり、鉄道創業の地として記念碑が建てられている。