国際業務都市をめざす「職・住・学・遊」のまち「幕張新都心」
幕張新都心は、1989(平成元)年の日本最大級のコンベンション施設「幕張メッセ」のオープンから始まる。その後、業務研究ビルや、教育・研究施設、その他ホテル・商業の誘致を推進し、幕張ベイタウン、幕張ベイパーク(若葉住宅地区)など「住宅地区」も整備された。「三井アウトレットパーク幕張」や「イオンスタイル幕張ベイパーク」などの大型ショッピング施設も揃い、生活の利便性の高い街となっている。
「住宅地区」の他には、“魅力的でにぎわいのある街づくり”をコンセプトに、アミューズメント施設なども充実している「タウンセンター地区」や、次世代産業を創出するビジネスエリア「業務研究地区」、新しい文化を創造する学究のステージとなる「文教地区」など、「職・住・学・遊」の複合機能の集積が進んでいる。就業者・居住者・就学者及び新都心への来訪者を合わせると、令和元年度時点では日々約23万人の人々が活動するまちとなっている。
官民パートナーシップでの街づくり「幕張ベイタウン」
「幕張ベイタウン」では、官民パートナーシップのもとに住宅事業者と連携した街づくりを推進。国際業務都市にふさわしい新都心をめざし、従来にない都心型住宅地の形成を推めている。
街のにぎわいを創出するため、建物の低層部に商業・業務系施設を配置するなど、本格的な都心型住宅の準備を進めている。1995(平成7)年に入居が開始されてから、今までに9,400戸が供給され、2020(令和2)年には約25,500人が住むまちとなった。
海を臨む「幕張」の歴史と発展
東京湾に臨む幕張新都心一帯は、かつて浅瀬の干潟で「浮島の駅」と呼ばれた。遠浅の海では潮干狩りや海水浴場として賑わったという。1921(大正10)年には総武鉄道に加えて京成電鉄が開通。
花見川を渡った稲毛周辺は、文人や財界人にも愛される一大保養地となり、森鴎外や島崎藤村なども滞在した。電気ブランで有名な浅草の「紙やバー」を開店した神谷伝兵衛が1918(大正7)年頃建てた洋風別荘「旧神谷伝兵衛別荘」なども残っている。
戦後に始まった埋め立て工事を経て、広大な陸地となった幕張新都心は、東京都心部と成田空港にいずれも約30分という利便性から、多くの企業や研究機関、商業施設や住宅街などの諸機能を集積したハイテク都市として発展を遂げている。
飢饉と食糧難を救った「幕張」
東京湾に臨む幕張は、かつて馬加(まくわり)と呼ばれ天皇・朝廷直轄の領地だった。1735(享保20)年、八代将軍・徳川吉宗の命で、蘭学者の青木昆陽がサツマイモの試作栽培を行った。天明、天保と続く大飢饉の際にサツマイモで多くの人が救われ、「昆陽神社」も建てられ芋神様として親しまれている。
1945(昭和20)年、政府は食料増産のための、緊急開拓事業として幕張の埋め立てを閣議決定。臨海部の埋め立てが始まった。1967(昭和42)年には、都心部から30km圏、広大な埋め立ての可能な稲毛、検見川、幕張に計画人口24万人をめざす、海浜ニュータウン計画が発表された。
海浜ニュータウンと日本初の人工海浜
1973(昭和48年)から、海浜ニュータウン幕張地区埋め立てが進められた。1975(昭和50年)には、業務中枢機能の東京一極集中に歯止めをかけることを目的に、「幕張新都心(A地区)基本計画」が発表。住宅中心の土地利用計画は見直され、業務機能をもつ新都心を建設することが決定した。現在の幕張新都心を構成する業務研究・タウンセンター・住宅・海浜公園などの要素もこのタイミングで出そろった。
湾岸道路や鉄道等のインフラ整備が急ピッチで進む中、1980年には埋め立て造成工事が完了し、幕張地区が海から姿を現した。一方で、失われた自然を取り戻すべく人工海浜が設けられ、1979(昭和54)年に「幕張の浜」がオープン。一足早く、1976(昭和51)年にオープンした「いなげの浜」は、日本初、世界でも2番目の人工海浜となった。
ハイテク都市として発展を続けた「幕張新都心」
1986(昭和61年)年には、「海浜幕張」駅が開設し、JR京葉線「千葉みなと」~「西船橋」間も開業となった。1987(昭和62年)には、新都心のオアシスである「幕張海浜公園」の一部(中央地区)オープン。そして、1989(平成元)年に「幕張メッセ」が開業し、アジア地域有数の規模を誇る大型コンベンション施設として、東京モーターショーなど数多くのイベントが開催され、名実ともに国際コンベンション都市として発展した。
1990(平成2)年には、約3万人収容できる多目的スタジアム「千葉マリンスタジアム(現ZOZOマリンスタジアム)」がオープン。プロ野球はもちろん、アメリカンフットボール、コンサート、市民祭など、スポーツイベントを中心に多くの人々を呼び込んでいる。
―――――以下、注釈について―――――
本記事は、(株)ココロマチ が情報収集し、作成したものです。
記事の内容・情報に関しては2022年11月時点のもので、今後変更の可能性があります。