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2024.12.18

高層マンションに住む魅力とは?快適な都市生活のポイントと注意点

高層マンションの魅力

ざっくり要約!

  • 高層マンションは高さ31m(約10階以上)を超える建物で、特に都市部での需要が高い。

  • 日本初の高層マンションは1971年に建設され、その後の建築基準法改正によりタワーマンションが増加。

  • 地震対策や日当たり、眺望、共用施設などのメリットが多い一方で、エレベーターの混雑や揺れの感じ方といった注意点も存在する。

都市の風景を一変させる高層マンション。日本におけるその歴史や特徴、住むことのメリットとデメリットについて詳しく解説します。高層マンションは、都会での生活において選択肢の一つとして人気を集めていますが、どのような要素がその魅力を形作っているのでしょうか。この記事では、高層マンションの定義から、住まうことの利点や注意点まで、幅広く掘り下げていきます。

目次

高層マンションとは?

高層マンションには法律的な定義があるわけではありませんが、一般的に高さ31ⅿ(10階以上)を超えるマンションを指すことが多くなっています。この31ⅿという高さの建物は、消防法第8条の3第1項において「高層建築物」として定義されています。高層建築物の場合、カーテンや布製ブラインド、じゅうたんなどを設置する場合は、防炎物品を使用する義務があるという点は覚えておきましょう。また、20階以上の建物は超高層マンションやタワーマンションと呼ばれることが一般的となっています。

高層マンションの発展の背景には、都心部での土地の有効活用が関わっています。特に大都市では、開発できる土地面積が限られているため、垂直方向に建物を延ばす必要がありました。
日本で最初に建てられた高層マンションは、1971年4月に竣工した「三田綱町パークマンション」です。東京都港区に立地するこのマンションは、19階建て、147戸のという当時としては規格外のマンション。1LDKでも面積は120㎡以上と広々とした造りで、1フロア最大4戸というゆとりのある住戸配置が魅力です。全て角住戸となっているので、採光のよさも特徴のひとつ。高級マンションと言われているだけあって、車寄せのあるエントランス、24時間体制で対応しているコンシェルジュサービスなど充実した共用部がホテルライクな生活を演出してくれます。

その後、1976年には埼玉県与野市に「与野ハウス」が竣工します。このマンションは4棟のうち2棟が21階建ての高層棟で、総戸数は463戸というビッグレジデンス。JR埼京線「北与野」駅から徒歩2分という鉄道の交通利便性の高さに加え、中山道沿いなので、車でのアクセスも快適です。周辺には、スーパーマーケットや大型書店、総合病院などもあり、まさに便利で快適に暮らせる高層マンションの先駆けと言える物件でしょう。

その後、1997年の建築基準法の改正によってタワーマンションが建設しやすくなり、高層マンションの建築ブームが到来したのが2000年頃のこと。具体的には、日照権や容積率などの規制が緩和され、共用部分は容積率を算出する際の延床面積に算入されなくなったことが挙げられます。この改正によって、ターミナル駅周辺などの密集地域にもマンションが建てられるようになりました。
さらに、再開発エリアにも多くの高層マンションやタワーマンションが建っていきました。今では、10階建て以上のマンションだけでなく、超高層マンションやタワーマンションの存在も珍しくなくなってきています。特に東京都内では、豊洲、勝どき、月島、台場、芝浦、晴海、有明エリアなどの臨海エリアに超高層マンション群が多く見られるようになってきました。そして、超高層マンションの建設が進むのに伴って、人口も増加傾向にあります。豊洲エリアでは、新しい小学校が開校するなどし、街を行き交う人の層も大きく変わりました。
現代の高層マンションでは、耐震構造や免震構造、制震構造など、地震に備えた構造が採用されています。また、環境への配慮から、省エネルギー設計や再生可能エネルギーの導入も進んでいます。高層マンションの進化は、住宅のみならず、都市の発展と技術の進歩を反映した結果と言えるでしょう。

高層マンション造りは、まず建物の設計を行うところからスタートします。デザインや高さ、植栽計画だけでなく、柱の太さ、材料なども含めて、細かい設計図や敷地配置図を作成します。戸建てなどでは、一人の建築士が設計することもできますが、高層マンションの場合は、複数の専門家によって何百枚もの設計図を完成させます。また、周辺環境を含めた模型をつくり、風洞実験などを実施して周囲に及ぼす影響も検証し、設計図等をブラッシュアップしてきます。
高層マンションは建物の構造だけでなく、重い建物を支える基礎も重要です。建物がしっかりと建っていられるよう、一番固いところまで掘ったところにコンクリートを流し込み、たくさんの長い杭を設置して基礎をしっかりと作り上げます。

建物の構造には、下記のようにいくつかの種類があります。

耐震構造

耐震構造とは、建物自体が地震に耐えられる強度で造られている構造体のこと。建物には、頑丈な柱や梁、壁などを取り入れています。地震が発生してもその強さに耐えるという構造なので、制震構造や免震構造などのように揺れを抑えるのではなく、揺れ自体はそのまま伝わります。建物が倒壊するのを防ぐことを目的に採用されている構造です。

制振構造

地震のエネルギーを吸収する制振部材を骨組みに設け、振動や衝撃を和らげる構造体です。高層鉄筋コンクリート造では各階、鉄骨造の場合は最上階に設置します。そのため、耐震構造に比べて建物重量を支える重要な部分の損傷を抑えることができます。
揺れを抑える効果があり、高層マンションに向いている構造体です。高層階では揺れが大きくなりますが、耐震構造に比べると抑えられる傾向にあります。免震構造に比べて、経済的な点もポイントです。

免震構造

地面の上に積層ゴムなどの免震装置を設置し、そこに地震の振動を吸収させて建物に揺れが伝わるのを抑える構造体のことです。地震発生時には地面と建物が切り離されるので、揺れも低減されます。揺れは約3分の1まで軽減される仕組みで、他の2つの構造体に比べても小さく抑えられ、大きな地震が起きても、室内の家具が倒れる可能性は低くなります。なお、設置時、メンテナンス時にはコストがかかるため、その分物件価格に反映されてしまう点は認識しておきましょう。

このように、盤石な基礎と地震発生時を想定した構造体によって、住む人の安全が保たれています。

タワーマンションの「地震」に関する記事はこちら
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タワーマンションは地震に強い?高層階の揺れと対策を解説

近年、日本では大規模の地震が頻発しています。2024年1月に発生した能登半島地震では、鉄筋コンクリート造のビルの損壊が見られました。8月の九州・日向灘の地震を受け、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表されるなど、巨大地震への警戒が強まっており、タワーマンションにおける地震のリスクを不安視する方もいるでしょう。
本記事では、タワーマンションの耐震性や、想定されるリスクを解説します。

高層マンションの特徴

冒頭でもお伝えしたように、高層マンションの定義としては、10階以上の建物を指すことが一般的。主に都市部で見られる高層マンションになってくると、20階以上の建物が珍しくありません。日本の大都市では、特に超高層マンションが多く、例えば東京では40階建て以上のマンションもたくさんあります。そのくらいになってくると、下層階には、商業施設やオフィス、住居フロアは上層階に入っているというケースも多くなっています。商業施設にスーパーマーケットやドラッグストアなどが入っているマンションの場合は、敷地を出ないで日用品が手に入るというメリットがあります。

高層マンションの中でも、上層階に住むことで周囲の建物や景色を一望できるため、その点をアピールポイントにしているマンションが多いようです。
階数が上にいくほど、その眺望の範囲が広がります。近隣だけでなく、都内であれば晴天時には富士山までが視界に入ることもあり、雄大な風景を日常的に満喫することができます。夜景や日の出、日の入りなどの景色も格別で、優雅な時の流れを感じることができるでしょう。設計段階でも、窓やバルコニーの配置などは眺望を最大限に活用するための工夫が施されています。
眺望の良さだけでなく、居住性の高さに対する配慮がなされているのも高層マンションの特徴。使いやすく便利な室内設備や動線、豊富な収納のほか、共用部にはマンション住民が利用できる施設が多く備わっているなど、便利で快適な暮らしが用意されています。
また、マンションによって手法は異なりますが、地震の揺れや被害を最小限に抑える構造を導入したり、備蓄庫を構えたりすることによって、住民の安心・安全が確保されています。高層マンションの構造については、常に進化を続けています。

高層マンションに住むメリットとは?

高層マンション メリット デメリット

高層マンションには、さまざまなメリットがあります。以下にその主な利点を詳しく説明します。

地震や火災への対応策がとられている

高層マンションは、その構造的な特性から地震や火災に対する高い耐性を持っています。
地震に対する耐性に関しては、耐震構造や免震構造、制震構造によって強化されています。建物自体を地震に耐えられる構造にしたり、地震の揺れを構造によって抑えたりなど、構造によってその効果は様々です。
火災に対しては、防火壁やスプリンクラーの設置が義務付けられており、延焼を防ぐ設備が整っています。防火壁は、1,000㎡以上の建物の場合は、1,000㎡ごとに設置する規定があり、火が隣の部屋や他階に移るのを防ぐのが主な役割。スプリンクラーは、消防法によって11階以上の建物には設置義務があり、火災発生時に反応することで自動的に水を噴射して消火します。
さらに、15階以上は建築基準法により避難階段、高さ31mを超える建築物には非常用エレベーターの設置が義務付けられています。
このように、もしもの場合を想定しながら、法の安全基準にそったマンションが建築、供給されていることになります。
なお、建物で対応策がとられていても、もしもの場合は自ら避難する必要があることを忘れてはいけません。高層マンションに住んだ場合は、避難経路を確認しておくことはもちろんのこと、ご家族で実際にその経路をたどってみたり、マンションの管理組合が開催している防災訓練に積極的に参加したりするなどし、万が一の場合も慌てずに避難できるようにしておきましょう。

日当たりがよい

高層マンションの上層階では、目の前に視線を遮る建物がないため、日当たりが良好です。高層階に位置することで、周囲の建物の影響を受けにくく、日中に豊富な自然光が室内に降り注ぎます。特に南向きの部屋では、長時間にわたって日光を取り入れることができ、室内が明るく保たれます。日当たりが良い部屋では、植物を育てることができ、緑豊かな室内環境を楽しむことができるでしょう。窓際に洗濯物を干せば、乾きも早いと言えます。
高層マンションの設計では、日当たりを活用するための工夫がなされており、住む人の快適な生活に寄与していると言えます。

眺望がよい

高層マンションの最大の魅力の一つは、上層階からの眺望です。
眺望の良さは、住民にとってリラックスできる空間や時間を提供します。帰宅後に夜景を見ながら、1日の疲れを癒す時間は高層マンションに住んでいるからこそ体験できること。物件の価値を高める要因ともなるため、売却や賃貸として貸し出す際にもプラスのポイントとなるでしょう。

共用施設やサービスが充実している

高層マンションでは、共用施設やサービスが充実していることが多い傾向にあります。住民の生活を豊かにするためのさまざまな設備が整っていて、例えば、ジムやプール、サウナなどの健康促進施設が設置されており、住民はこれらを利用することができます。
また、シアタールームやワークスペース、ラウンジ、キッチンスタジオなどが設置されていることがあります。シアタールームでは、大画面で映画やスポーツ観戦を楽しむことができ、ワークスペースではリモートワークや会議、試験勉強などに便利な環境が整っています。ラウンジやキッチンスタジオは、住民同士の交流の場として利用され、コミュニティの形成にも寄与しています。
さらに、住民の親族や友人が宿泊できるようなゲストルーム、子どもが体を思い切り動かして遊べるキッズスペースなど、様々な種類があります。
意外と便利なのが、車寄せが備わっている高層マンション。エントランス付近で荷物の積み下ろしができるほか、タクシーを呼んだ時にも乗車がしやすい点がポイントです。高層階に住む場合はごみ出しが気になるところかもしれませんが、各階ゴミ置き場付きのマンションを選べば、ごみ捨てのたびに、わざわざ1階のごみ捨て場まで行かずに済みます。生ごみ処理はディスポーザー付きのマンションが便利です。

セキュリティが厳重

高層マンションはセキュリティに配慮されており、様々な設備や対策が講じられています。エントランスにはオートロックが設置され、住民以外の出入りを防いでいます。オートロックでも2段階認証が必要だったり、エレベーターは住民が専用のカードキーをかざさないと階数が押せない機能がついていたりなど、外部からの侵入者をさらにしっかりガードするマンションもあります。また、監視カメラや24時間有人管理、警備員の配置、コンシェルジュサービスなども大規模な高層マンションでは取り入れているケースが多いようです。

虫が出にくい

マンションの高層階は虫がいないから快適という話を聞くことがあります。しかし、全く虫がいないということではないのでその点は注意が必要です。その理由としては、ご自身の荷物や衣類、宅配便などに虫が付着してそのまま部屋に持ち込まれるケースや排水管から入ってきてしまうケースがあるからです。
ただ、虫はあまり高いところまで飛んでいくことはできないので、窓からの侵入はほぼないと考えていいでしょう。

利便性が高い

都市部に位置している高層マンションの場合、公共交通機関や商業施設が近くにあります。これにより、通勤や通学、買い物がしやすく、生活の利便性が高まります。また、マンションと街の開発が同時期に進んでいるケースでは、近隣に飲食店やカフェ、ショッピングモール、医療機関などが整っており、快適な毎日が送れるでしょう。

人気があるため、資産価値の維持が期待できる

眺望の良さや、利便性の高さなどから人気の高い高層マンション。人気が高いということはニーズが高いということにもつながるため、その資産価値の維持や向上が期待できます。
現状は、長期的な投資も有望とされており、今後もその状況が続くことが期待できます。高層マンションの一室を購入したあとに、転勤や転居をすることになっても、売却だけでなく、賃貸に出すなど多様な選択肢が考えられると言えるでしょう。

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高層マンションに住む際の注意点とは?

高層マンションに住む際には、いくつかの注意点があります。これらを理解しておくことで、より快適な生活を送ることができます。

エレベーターが混雑する

高層マンションでは、エレベーターの混雑が避けられない場合があります。特に朝の通勤、通学時や夕方の帰宅時には、多くの住民が一度にエレベーターを使用するため、待ち時間が長くなることがあります。
こういったことを避けるため、設計時からエレベーターの台数を多めに設置しているマンションや高層階専用の高速エレベーターを設置しているマンションもあります。高層マンションの購入を検討している場合は、こういった視点を持ち合わせておくことも重要です。

地震や強風で揺れる

地震の際に、高層階では揺れが大きく感じられることがあります。また、台風や強風時には、建物全体で風を受けてしまうことで揺れてしまうことがあります。揺れは戸建てに住んでいても感じることですが、高層マンションにおける揺れの問題に対処するためには、建物の構造や耐震性能を確認することが重要でしょう。
免震構造や制震構造が導入されている高層マンションでは、耐震構造のマンションに比べると揺れが軽減されます。また、強風による揺れには、窓やバルコニーが構造上強化されているかどうかがポイントになってきます。建物の設計や設備に対する理解を深めることで、選択時に役立つため把握しておくようにしましょう。

屋外に洗濯物を干せない

屋外に洗濯物を干すと、強風で飛ばされてしまうことがあります。特に高層は風が強く、飛ばされた場合は周辺に迷惑がかかってしまいます。例えば、風に飛ばされた洗濯物が道路や線路に落ちてしまうケース。車のフロントガラスに落ちてしまった場合は、運転手の視界が遮られて事故につながってしまうこともあるでしょう。また、線路に落下した場合は、電車の運行に影響が出てしまうことがあります。
こういった背景から、多くの高層マンションは、屋外に洗濯物を干すことを禁止しています。そもそも落下防止の観点からベランダが備わっていないマンション、美観を損なうことから屋外へ干すことを禁止しているマンションなどもあります。この点も高層マンションならではの特徴として捉え、事前に把握しておくようにしましょう。

日差しが強過ぎることがある

高層マンションの上層階は、日がよく差し込み、室内が明るい点が特徴です。一方、日によっては日差しが強くなりすぎて、室内の温度が上昇しやすくなることも。風が強いため窓を開放しておくわけにもいかないので、エアコンの使用頻度が増え、電気代が高くなる可能性があります。
これらに対処するためには、遮光カーテンやブラインドを取り入れながら、室内の温度上昇を抑えることが必要。また、窓にフィルムを貼ることで、紫外線や熱を軽減することも可能です。

まとめ

都市部での土地不足や人口増加に対応するために、重要な住まいの選択肢となる高層マンション。地震発生時の被害を抑える構造、優れた日当たりや眺望、充実した共用施設、厳重なセキュリティなど、多くのメリットがあります。これにより、住む方は快適な生活を享受することができます。
一方、エレベーターの混雑や地震や強風による揺れ、屋外に洗濯物を干せない、立地や方角によっては日差しが強すぎる場合があるなど、注意すべき点も存在します。これらの注意点に対処するためには、事前の情報収集や適切な対策が必要です。高層マンションのメリットと注意点を理解し、ご自分に最適な住まいを選ぶことで、より良い生活を実現することができるでしょう。

この記事のポイント

Q. 高層マンションとは何ですか?

A.高層マンションとは、一般に高さ31m(約10階以上)を超える建物を指します。特に都市部では需要が高まっています。詳しくは「高層マンションとは」をご覧ください。

Q. 高層マンションのメリットは何ですか?

A. 高層マンションは、地震対策や日当たり、眺望、共用施設などの面でさまざまなメリットがあります。詳しくは「高層マンションのメリット」をご覧ください。

Q.高層マンションの注意点は何ですか?

A. 高層マンションでは、エレベーターの混雑や揺れの感じ方など、注意点も存在します。詳しくは「高層マンションの注意点」をご覧ください。

橋本 岳子 ライター:橋本 岳子

約20年間、不動産情報サービスの会社に在籍。独立後は、売買・賃貸・管理・投資など、不動産のさまざまな分野での執筆を行っている。また、2018年より東京都内の商店街を毎月取材し、地域の抱える問題点などについてもリサーチを続けている。