タワマンの固定資産税はいくら? 税額が抑えられる仕組みや税制改正について解説
ざっくり要約!
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タワーマンションでは1住戸あたりの土地評価額が低くなるため、固定資産税が安くなる傾向があります。
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2017年度からタワーマンションの固定資産税額に補正率が導入され、高層階ほど税負担が増加し、低層階は軽減される仕組みとなりました。
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2024年の税制改正により、高層階では「タワマン節税」の効果が薄くなりました。
タワーマンションの固定資産税は安いという話を耳にしたことがあるでしょう。しかし、2017年度の税制改正により、計算方法に大きな変更が加えられました。2024年には相続税に関する改正も行われ、タワーマンション所有者の税負担に影響を与えています。
この記事では、タワーマンションの固定資産税の計算方法や、近年の税制改正による影響について詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
固定資産税の算出方法! タワマンは固定資産税が安いって本当?
タワーマンションの固定資産税がいくらかを知るために、把握しておきたいのは基本の計算式や減税についてです。まずは、以下の基礎知識を身につけておきましょう。
- 固定資産税とは
- 固定資産税の計算式
- タワマンの固定資産税が安い理由
- 新築はさらに減税される
順番に解説していきます。
固定資産税とは
固定資産税は、地方税の一つで、土地や建物などの固定資産に課される税金です。原則として、固定資産の所有者が毎年支払う義務を負い、税額は市町村が評価額を基に決定します。ただし、東京都23区は東京都に都税として納税します。
通常、4月頃に納税通知書が送られ、年4回の分割払いが可能です。納税者は、所有する不動産に対する税負担を認識し、計画的に資金を準備する必要があります。特に、住宅を所有する場合、固定資産税は維持費の一部として考えておかなければなりません。
固定資産税は、市町村が提供する「固定資産税評価額証明書」などを通じて確認できます。
固定資産税の計算式
固定資産税の金額は、固定資産の評価額に基づいて計算されます。具体的には「固定資産評価額 × 1.4%」が基本の計算式です。
評価額は、市区町村が定期的に実施する評価に基づいており、土地や建物の種類や立地条件によって異なります。評価額が見直されるのは、3年に一度です。
例えば、東京都にあるタワーマンションの評価額が1億円の場合、その1.4%である140万円が固定資産税となります。ただし、実際にはさまざまな軽減措置が適用される可能性があります。
タワマンの固定資産税が安い理由
タワーマンションの固定資産税が他の物件より安い理由は、評価額の算定方法にあります。タワーマンションの敷地権は、住戸の数で分割されるため、1住戸あたりの土地評価額が低くなります。
住宅用地に対する課税標準の特例措置により、小規模住宅用地(200㎡以下)の場合、課税標準額が評価額の1/6に軽減されます。タワーマンションの各戸の土地持分は通常この範囲内に収まるため、土地にかかる固定資産税が大幅に軽減されます。
新築はさらに減税される
新築のタワーマンションを購入すると、さらに固定資産税が軽減されます。これは「新築住宅に対する固定資産税の減額措置」によるものです。
床面積が50㎡以上280㎡以下の新築住宅について、新築後5年間(戸建ては3年間)、床面積120㎡相当分までの固定資産税が2分の1に減額されます。認定長期優良住宅の場合、減税措置は7年間(戸建ては5年間)です。
例えば、固定資産税が年間60万円のタワーマンションの場合、新築後5年間は30万円に軽減されるということです。ただし、この減税措置は一時的なものであり、期間終了後は通常の税額に戻ります。
また、従来は「2024年3月31日までに新築された住宅」が対象でしたが、2年延長され「2026年3月31日までに新築された住宅」が対象となっています。
参考:国土交通省|新築住宅に係る税額の減額措置
2017年度改正! タワーマンションの階数による税額の補正とは?
2017年度、タワーマンションの固定資産税額に大きく影響を及ぼす税制改正が行われました。
従来は階数の違いによる税額の差はありませんでしたが、改正後は低層階ほど税負担が抑えられるようになりました。その概要や改正内容を解説します。
タワマンの低層階と高層階の時価は大きく異なる
タワーマンションでは、低層階と高層階の間で不動産の時価に大きな差があります。
一般的に、高層階は眺望や日当たりが良好であり、外部からのプライバシーが保たれるため、人気が集まります。そのため、同じマンション内でも、高層階の物件は価格が高く設定されることが多いのです。この時価の差が、固定資産税の改正にも影響しています。
2017年度税制改正で見直された点
2017年度の税制改正では、タワーマンションの固定資産税に関する見直しが行われ、高層階と低層階の税負担の公平性が強調されました。
従来はすべての階が同じ税額で評価されていたため、高層階に住む住民は、市場価値よりも低い固定資産税に抑えることが可能でした。
しかし、改正後は階層ごとの価値に応じた補正が行われるようになり、高層階の住民は税額が増加する一方で、低層階の住民は負担が軽減される仕組みが導入されました。
階層別専有床面積補正率
2017年度税制改正で導入されたものが「階層別専有床面積補正率」です。タワーマンションの固定資産税額を計算する際に、この補正率が用いられます。
高層階に行くほど、補正率が上がり、固定資産税の評価額も上昇します。市場価値が階数によって大きく異なるため、税額にも差を設ける必要があるという考えに基づいたものです。
補正率を知りたい場合は、自治体の窓口や不動産会社、管理組合などで確認できます。
「タワーマンション 階数」に関する記事はこちら
タワマンに住むメリット・デメリットとは? 高層階…低層階ならではの魅力も解説
タワーマンションは、その立地の良さや利便性の高さで高い人気を誇りますが、住む前に知っておくべきメリットとデメリットがあります。本記事では、タワーマンションならではの魅力をはじめ、移住する際に注意したいポイントを紹介します。
タワーマンションは「相続税」にも注意
税制改正によって税負担が増えるのは、固定資産税だけではありません。タワーマンションでは相続税にも影響します。
その背景や改正後の節税効果について、見ていきましょう。
2024年の税制改正で「タワマン節税」ができなくなった
2024年の税制改正により、いわゆる「タワマン節税」が厳しく制限されました。
これまでタワーマンションは市場価値と相続税評価額の乖離(差)を利用することで、節税が可能でした。特に高層階の物件は市場価格が高いにもかかわらず、相続税評価額が低く抑えられることから、節税効果が大きいとされてきました。
しかし、2024年1月以降の相続では、税制改正によって評価額と時価との乖離率が1.67倍を超えるマンションは、1.67倍になるよう評価方法が見直されます。この改正により、タワーマンションなどの相続税評価額が従来のものより増額する可能性があります。
タワマンのみならず高層・大規模マンションは注意
2024年の税制改正は、タワーマンションだけでなく、高層・大規模マンション全般に影響を及ぼします。
改正後の評価方法では、建物の階数や規模が大きくなるほど、相続税評価額が上昇する傾向があります。結果として相続税の負担が増える可能性もあるでしょう。
ただし、マンションの立地や個別の条件によって影響の度合いは異なります。専門家に相談し、自身の所有するマンションの評価がどのように変化するか確認することが推奨されます。
タワマンの節税効果が一切なくなったわけではない
2024年の税制改正により、タワーマンションの節税効果が縮小されましたが、完全になくなったわけではありません。
不動産の評価額は時価より低くなるのが一般的なため、改正後も一定の節税効果に期待できます。また、相続財産の分割方法や納税猶予制度を活用することで、税負担を軽減できる可能性もあります。
タワーマンションにおける相続税対策は、新しい税制に対応した形で計画を立てることが重要であり、専門家のアドバイスを活用することが推奨されます。
まとめ
タワーマンションでは1住戸あたりの土地評価額が低くなるため、固定資産税が安くなる傾向があります。そのほか、新築の場合は5年間、減税される措置もあります。
2017年度の税制改正では、タワーマンションの階数による税額補正が導入されました。階層による時価の差を反映させるためのもので、高層階ほど税負担が増加し、低層階は軽減される仕組みとなっています。
また、2024年の相続税改正により、いわゆる「タワマン節税」の効果が縮小されました。ただし、完全になくなったわけではなく、低層階や築年数が古い物件では従来のような節税効果が期待できる場合もあります。
ワンポイントアドバイス
税制には基本の計算方法があるだけでなく、さまざまな条件下で適用される特例や減税措置があります。そのすべてを把握し、正確に税額を算出することは難しいといえるでしょう。
タワーマンションを活用した節税や資産形成を検討されている場合には、不動産の専門家に相談することをおすすめします。自身の状況に合わせた適切なアドバイスを受けることが大切です。
Q. タワマンの固定資産税はどのくらいになりますか?
A.タワーマンションの固定資産税がいくらかを知るために、把握しておきたいのは基本の計算式や減税についてです。
詳しくは
「固定資産税の算出方法! タワマンは固定資産税が安いって本当?」をご覧ください。
Q. タワーマンションは階数による税額の補正があるのですか?
A.
2017年度、タワーマンションの固定資産税額に大きく影響を及ぼす税制改正が行われました。
従来は階数の違いによる税額の差はありませんでしたが、改正後は低層階ほど税負担が抑えられるようになりました。詳しくは「2017年度改正! タワーマンションの階数による税額の補正とは?」をご覧ください。
Q.タワーマンションの相続税はどうなりますか?
A. 税制改正によって税負担が増えるのは、固定資産税だけではありません。タワーマンションでは相続税にも影響します。詳しくは「タワーマンションは「相続税」にも注意」をご覧ください。