中古マンションは堅調に推移も、中古戸建は在庫数増加で価格伸び率鈍化
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が10月10日に発表した2023年9月度首都圏(1都3県)不動産市場の動向によれば、中古マンションの成約価格は41ヶ月連続で上昇しました。成約件数も4ヶ月連続で前年同月を上回っています。一方、中古戸建の価格は前年同月比2.2%上昇したものの、成約数は21ヶ月連続で減少しています。
首都圏中古マンション
項目 | 2023年9月成約物件の平均 | 対前年同月 |
---|---|---|
平米単価 | 72.44万円/㎡ | +4.8% |
件数 | 3,191件 | +6.7% |
価格 | 4,618万円 | +4.5% |
専有面積 | 63.75㎡ | -0.3% |
築年数 | 23.99年 | +0.88年 |
在庫件数 | 46,291件 | +17.9% |
(参考:東日本不動産流通機構)
2023年9月に成約した首都圏中古マンションの平均平米単価は、前年同月比+4.8%の「72.44万円/㎡」でした。成約平米単価の上昇は、41ヶ月連続です。成約件数は同+6.7%と大幅増。2023年度に入ってから成約件数の減少が見られていましたが、ここ4ヶ月は成約件数が増加しており、それに伴って在庫数の増加率は低減しています。
エリア | 2023年9月成約㎡単価前年同月比 | 2023年9月成約件数前年同月比 |
---|---|---|
東京都区部 | +3.2% | +11.6% |
東京都多摩 | +3.2% | +8.1% |
横浜・川崎市 | +2.7% | +9.3% |
上記除く 神奈川県 |
-1.4% | +1.5% |
埼玉県 | -3.7% | +0.6% |
千葉県 | +6.7% | -6.4% |
(参考:東日本不動産流通機構)
成約㎡単価、成約件数、ともに前年同月比プラスなのは、東京都区部、東京都多摩、横浜・川崎市のみです。一都三県の成約価格、成約件数が堅調に伸びているのは、主に都市部の不動産の動きが良いことに起因しているものと考えられます。
首都圏中古戸建
項目 | 2023年9月成約物件の平均 | 対前年同月 |
---|---|---|
価格 | 3,924万円 | +2.2% |
件数 | 1,099件 | −2.2% |
土地面積 | 139.52㎡ | -3.2% |
建物面積 | 104.39㎡ | -0.9% |
築年数 | 21.30年 | -0.02年 |
在庫件数 | 18,975件 | +38.2% |
(参考:東日本不動産流通機構)
中古戸建の成約価格は対前年同月比で若干のプラスになったものの、成約件数は減少傾向にあり、価格の伸び率も鈍化しています。在庫件数は2023年1月時点では前年同月比+14.2%でしたが、毎月、数を増やしており、現在では同+40%に迫る勢いです。在庫がこのまま増えていくと、価格が下落局面に入る可能性も否めません。
エリア | 2023年9月成約㎡単価前年同月比 | 2023年9月成約件数前年同月比 |
---|---|---|
東京都区部 | -3.5% | +11.0% |
東京都多摩 | +3.9% | +7.6% |
横浜・川崎市 | +8.4% | -4.9% |
上記除く 神奈川県 |
-15.0% | -3.6% |
埼玉県 | -4.4% | -6.9% |
千葉県 | +8.3% | -10.4% |
(参考:東日本不動産流通機構)
一都三県で見ると成約件数は減少傾向にありますが、東京都は区部、多摩ともにプラスとなりました。一方、千葉県は同-10%以上と大幅減。横浜・川崎市を除く神奈川県、埼玉県、千葉県の成約件数は3ヶ月連続で前年同月を下回っています。中古戸建の動きもまた、一都三県の中で地域差が大きいようです。
“注目”の不動産ニュース
2024年度から不動産ポータルサイトに「省エネ性能ラベル表示」
国土交通省は9月25日、2024年4月からスタートする建築物の省エネ性能表示制度のガイドラインを公表しました。
省エネ性能表示制度とは
省エネ性能表示制度とは、販売中・賃貸中の物件の広告などに省エネ性能を表示することで、消費者が省エネ性能の把握や比較ができるようにするための制度です。省エネ性能として表示されるのは、エネルギー消費性能と断熱性能。それぞれ★マークや数字で表示されます。その他、任意項目として光熱費の目安などが表示されることにより、一目で物件の省エネ性能が把握しやすくなります。
省エネ性能表示制度開始で変わること
2024年度からは、不動産ポータルサイトでも物件の省エネ性能が確認できる仕様になる見通しです。省エネ性能は、暮らしの快適性やランニングコストなどに直結するものです。これまで物件選びでは、立地や価格(賃料)、広さ、間取り、築年数などが比較されてきましたが、これらに「省エネ性能」が加わることになっていくでしょう。
2025年度からは、すべての新築住宅に対し、省エネ基準への適合が求められます。2050年のカーボンニュートラル実現に向け、今後も段階的に住まいの省エネ性能向上のための措置が講じられていく予定です。今般、中古住宅の中でも、省エネ性能の高い住宅や長期優良住宅などが見られるようになってきました。住宅の省エネ化と省エネ性能表示制度が始まることにより、今後ますます省エネ性能が住まいの資産価値に影響するようになっていくものと推測されます。
出典:国土交通省