中古マンション、中古戸建ともに成約件数・成約価格上昇
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は、1月12日に発表した2023年12月度首都圏(1都3県)不動産市場の動向を発表しました。中古マンション、中古戸建ともに、成約価格・成約件数は前年と比較して上昇しましたが、2023年全体を見ると、物件種別やエリアによって市況は異なるようです。
首都圏中古マンション
項目 | 2023年12月成約物件の平均 | 対前年同月 |
---|---|---|
平米単価 | 74.82万円/㎡ | +7.0% |
件数 | 2,941件 | +3.7% |
価格 | 4,784万円 | +9.4% |
専有面積 | 63.94㎡ | +2.3% |
築年数 | 23.84年 | -0.02年 |
在庫件数 | 46,528件 | +11.7% |
(参考:東日本不動産流通機構)
2023年12月に成約した首都圏中古マンションの平均平米単価は、前年同月比+7.0%の「74.82万円/㎡」でした。成約平米単価の上昇は、44ヶ月連続です。成約件数は同3.7%と微増ですが、2023年は一貫して2022年に減少に転じた成約件数に増加の傾向が見られました。在庫数は22年と比較すると大きく増加していますが、ここ数ヶ月は横ばいで推移しており、新規登録物件の価格も上昇傾向にあることから、2024年も価格は上がっていく可能性があります。
エリア | 2023年12月成約㎡単価前年同月比 | 2023年12月成約件数前年同月比 |
---|---|---|
東京都区部 | +6.2% | +5.3% |
東京都多摩 | +1.4% | -4.2% |
横浜・川崎市 | +7.4% | +4.1% |
上記除く 神奈川県 |
+8.6% | +0.6% |
埼玉県 | +14.5% | +1.3% |
千葉県 | -1.6% | +8.4% |
(参考:東日本不動産流通機構)
成約㎡単価の上昇率は埼玉県の+14.5%が目立ちますが、東京都区部は44ヶ月連続の上昇。横浜・川崎市も6ヶ月連続で上昇しており、都市部の好調さが伺えます。成約件数も、東京都区部と横浜・川崎市では継続して増加しています。
首都圏中古戸建
項目 | 2023年12月成約物件の平均 | 対前年同月 |
---|---|---|
価格 | 3,926万円 | +1.4% |
件数 | 1,082件 | +4.4% |
土地面積 | 146.11㎡ | +0.5% |
建物面積 | 106.07㎡ | -0.04% |
築年数 | 22.04年 | +0.05年 |
在庫件数 | 20,012件 | +35.6% |
(参考:東日本不動産流通機構)
中古戸建の成約価格は、前年同月比+1.4%。4ヶ月連続で前年同月比を上回っています。一方、在庫件数は同35.6%と大幅増となり、2万件の大台を突破。22年12月の在庫数は1万5,000件にも満たなかったため、23年の1年間で在庫数は大きく積み上がりました。価格こそ下落していませんが、23年の12ヶ月のうち前年同月比で成約件数が減少したのは10ヶ月にのぼります。
エリア | 2023年12月成約㎡単価前年同月比 | 2023年12月成約件数前年同月比 |
---|---|---|
東京都区部 | -4.5% | -3.0% |
東京都多摩 | -10.2% | +7.2% |
横浜・川崎市 | +12.2% | +8.8% |
上記除く 神奈川県 |
+4.0% | +11.7% |
埼玉県 | +7.5% | -2.6% |
千葉県 | +13.7% | +10.3% |
(参考:東日本不動産流通機構)
中古戸建は、東京都区部においても成約数の減少や成約価格の下落が継続しています。23年を通して成約数の減少幅が小さかったのは、東京都多摩や千葉県です。成約価格については、いずれのエリアも前年同月比で下落している月が多く見られました。
“注目”の不動産ニュース
「災害復興住宅融資」などに関する相談窓口が開設
住宅金融支援機構は1月10日、令和6年能登半島地震を受け、フラット35など機構融資の返済や災害復興住宅融資などに関する被災者からの相談窓口を開設しました。
「災害復興住宅融資」とは?
災害復興住宅融資とは、地震や台風、大雨などの災害により被災した方が、建物の建設や購入、補修などをする際に利用できる融資です。金利は、一般的な融資より低く設定されています。融資を受けるには、地方公共団体から発行される「り災証明書」が必要です。融資限度額は、次のとおりです。
建設 | 土地を取得する場合:3,700万円 土地を取得しない場合:2,700万円 |
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購入 | 3,700万円 |
補修 | 1,200万円 |
機構融資返済中の方は返済方法の変更が可能になることも
同機構は併せて、フラット35などの機構融資を返済中の方に対する返済方法変更の概要も発表しています。対象となるのは、融資対象となっている住宅が損害を受け、その復旧に相当の費用が必要な方などです。特例措置の内容は、次のとおり。
- 返済金の払い込みの措置(り災による家計収支の悪化の程度に応じて1年~3年)
- 据え置き期間中の金利の引き下げ(り災による家計収支の悪化の程度に応じて0.5%~1.5%)
- 返済期間の延長(り災による家計収支の悪化の程度に応じて1年~3年)
被災された方はもちろんですが、住宅ローンを借りている方におかれても、このような支援制度があることをあらかじめ知っておくと良いでしょう。
出典:住宅金融支援機構