戸建ての成約価格が9ヶ月ぶりに下落
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は11月11日、2024年10月度首都圏(一都三県)不動産市場の動向を発表しました。中古マンションはわずかに成約価格が上昇、中古戸建は9ヶ月ぶりに下落しました。戸建ては、成約件数も5ヶ月ぶりに減少に転じています。東京都区部でも、10ヶ月ぶりに戸建の成約価格が下落しました。
首都圏中古マンション
項目 | 2024年10月成約物件の平均 | 対前年同月 |
---|---|---|
平米単価 | 75.16万円/㎡ | +0.8% |
件数 | 3,092件 | -5.9% |
価格 | 4,739万円 | -0.5% |
専有面積 | 63.05㎡ | -1.3% |
築年数 | 25.37年 | +1.81年 |
在庫件数 | 45,888件 | -0.9% |
(参考:東日本不動産流通機構)
2024年10月に成約した首都圏中古マンションの平均平米単価は、前年同月比+0.8%の「75.16万円/㎡」でした。ほぼ横ばいであるものの、54カ月連続で上昇しています。成約件数は4ヵ月連続で減少しており、平均価格は前年同月を下回っています。
エリア | 2024年10月成約㎡単価前年同月比 | 2024年10月成約件数前年同月比 |
---|---|---|
東京都区部 | +7.3% | -11.7% |
東京都多摩 | +0.7% | -0.4% |
横浜・川崎市 | -4.3% | -12.8% |
上記除く 神奈川県 |
+5.7% | -2.7% |
埼玉県 | +3.5% | +5.3% |
千葉県 | -2.9% | +10.6% |
(参考:東日本不動産流通機構)
成約件数の減少率は、東京都区部、神奈川・川崎市などの都市部が高い一方で、東京都区部については成約平米単価が上昇しています。逆に、成約件数が二桁増の千葉県は、成約平米単価が下落。件数と単価に相関性は見られません。
首都圏中古戸建
項目 | 2024年10月成約物件の平均 | 対前年同月 |
---|---|---|
価格 | 3,776万円 | -4.3% |
件数 | 1,174件 | -3.8% |
土地面積 | 138.04㎡ | -0.7% |
建物面積 | 103.11㎡ | -1.3% |
築年数 | 23.35年 | +1.32年 |
在庫件数 | 22,676件 | +16.6% |
(参考:東日本不動産流通機構)
2024年10月に成約した首都圏中古戸建の平均価格は、前年同月比-4.3%の「3,776万円」。前年同月を下回るのは9ヶ月ぶりのことです。成約件数も、5ヶ月ぶりに前年同月を下回っています。在庫件数は同+16.6%と大幅増ですが、増加幅は縮小傾向にあります。
エリア | 2024年10月成約㎡単価前年同月比 | 2024年10月成約件数前年同月比 |
---|---|---|
東京都区部 | -3.5% | +0.9% |
東京都多摩 | +2.8% | -15.8% |
横浜・川崎市 | -7.3% | -18.1% |
上記除く 神奈川県 |
-15.2% | -12.1% |
埼玉県 | +0.1% | -2.9% |
千葉県 | +1.7% | +15.8% |
(参考:東日本不動産流通機構)
成約価格、成約件数ともに、増減には地域差が見られます。成約価格は、神奈川県全域で大きく下落。東京都区部は前年同月比-3.5%と下落幅は大きくありませんが、下落に転じたのは昨年12月以来10ヶ月ぶりです。成約件数は、神奈川県全域に加え東京都多摩が大きく減少しました。千葉県のみ同+15.8%と大幅に上昇しましたが、成約価格についてはほぼ横ばいです。
“注目”の不動産ニュース
良質な不動産会社・コンサルタントに相談できる新たな仕組みがスタート
不動産の相続や空き家の利活用などには、長期間かつ多角的なプロのサポートが不可欠です。サポートの内容は「仲介」だけに留まらず、「コンサルティング」に近いものになるでしょう。しかし、不動産会社は基本的に、不動産の売買や賃貸を仲介する会社。コンサルティングとなると、信頼できる相談先を見つけることは容易ではありません。
そこで国土交通省は11月、良質な不動産コンサルティングサービスの普及を推進するため「不動産コンサルティング地域ワーキング・グループ」の登録制度を開始します。
不動産コンサルティング地域ワーキング・グループ とは?
不動産コンサルティング地域ワーキング・グループとは、不動産コンサルティングサービスの提供を推進するための主体となる機関です。不動産事業者などが組成し、登録を受けたグループは不動産流通推進センターによる一定の支援が受けられます。登録事業者間で不動産コンサルティングに係る事例やノウハウなどが共有され、一般消費者からの相談業務にも対応します。
登録要件は、業務責任者として1名以上の不動産コンサルティングマスターを届け出ること。不動産コンサルティングマスターとは、宅建士や不動産鑑定士の資格を有していることに加え、5年以上の実務経験があって、なおかつ技能試験に合格した人だけが登録できる資格です。
不動産コンサルティング地域ワーキング・グループの登録事業者ということが、一定の専門性とコンサルティング能力を有しているひとつの証明になることから、消費者は不動産の売買や利活用について相談する機関を選びやすくなるものと考えられます。
2025年には「全国不動産コンサルティングフォーラム」開催
来年5月頃には、優良コンサルティング事例の共有や表彰、事業者間交流などを目的とした「全国不動産コンサルティングフォーラム」の第1回大会が開催されます。これもまた、良質な不動産コンサルティングサービス普及を図るための新たな取り組みです。
空き家の増加や少子高齢化により、不動産の売買や利活用が問題となる事例は増加しています。消費者の悩みも多様化していることから、信頼できるコンサルティングサービスの普及が望まれます。
(出典:国土交通省「良質な不動産コンサルティングサービスの推進体制」)