市況・マーケット
~東急リバブル不動産鑑定士が見る~「令和5年 地価公示」
2023年4月28日
「令和5年地価公示」(令和5年1月1日時点の土地価格)が国土交通省より3月23日に発表されました。
【まとめ】
全国平均では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも2年連続で上昇し、上昇率が拡大しました。工業地は7年連続で上昇し、上昇率が拡大しました。
三大都市圏平均では、全用途平均・住宅地・工業地は、東京圏、大阪圏、名古屋圏のいずれも2年連続で上昇し、上昇率が拡大しました。商業地は、東京圏、名古屋圏で2年連続で上昇し、上昇率が拡大するとともに、大阪圏では3年ぶりに上昇に転じました。
地方圏平均では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも2年連続で上昇し、上昇率が拡大しました。工業地は6年連続で上昇し、上昇率が拡大しました。
新型コロナの影響で弱含んでいた地価は、ウィズコロナの下で、景気が緩やかに持ち直している中、地域や用途などにより差があるものの、都市部を中心に上昇が継続するとともに、地方部においても上昇範囲が広がるなど、コロナ前への回復傾向が顕著となりました。
※地価公示は1月1日時点の価格であり、直近の経済環境の変化などは反映されていません。
Ⅰ.令和5年地価公示の概要
令和5年 | 住宅地(前年) | 商業地(前年) |
---|---|---|
全国 | + 1.4%(+ 0.5%) | + 1.8%(+ 0.4%) |
三大都市圏 | + 1.7%(+ 0.5%) | + 2.9%(+ 0.7%) |
東京圏 | + 2.1%(+ 0.6%) | + 3.0%(+ 0.7%) |
大阪圏 | + 0.7%(+ 0.1%) | + 2.3%(± 0.0%) |
名古屋圏 | + 2.3%(+ 1.0%) | + 3.4%(+ 1.7%) |
地方圏 | + 1.2%(+ 0.5%) | + 1.0%(+ 0.2%) |
- 東京圏:
- 東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県内の首都圏整備法による既成市街地及び近郊整備地帯を含む市区町村の区域
- 大阪圏:
- 大阪府、兵庫県、京都府、奈良県内近畿圏整備法による既成都市区域及び近郊整備区域を含む市町村の区域
- 名古屋圏:
- 愛知県、三重県内の中部圏開発整備法による都市整備区域を含む市町村の区域
- 地方圏:
- 三大都市圏を除く地域
地価公示とは
地価公示法に基づいて、国土交通省土地鑑定委員会が、適正な地価の形成に寄与するために、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を3月に公示(令和5年地価公示では、26,000地点で実施)するもので、社会・経済活動についての制度インフラとなっています。
※福島県においては、東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示区域内の7地点で調査を休止しています。
Ⅱ.トピックス
(1)住宅地・商業地ともに上昇率全国トップは「北海道・北広島市」
全国の住宅地で上昇率1位となったのは前年に引き続き北海道・北広島市(標準地番号:北広島-1)で、上昇率は前年比+30.0%となりました。また、全国住宅地の上昇率10位内に5地点が入っており市内全域で上昇基調にあります。
更に、商業地においても前年に引き続き北広島市(標準地番号:北広島5-2)が前年比+28.4%で全国トップとなりました。2位も北広島市の地点です。
北広島市だけでなく、周辺の江別市、恵庭市と併せて住宅地・商業地の上昇率の全国上位10地点が札幌市近郊の自治体で占められています。
住宅地、商業地ともに上昇率上位10地点を道内の地点占めるのは、1970年に地価公示が始まって以来初のことです。
住宅地は北海道の人口が集中する札幌市の周辺で、相対的割安感とより広い居住空間を求める需要者のニーズを受けて住宅需要が波及しており、地価の上昇が継続しています。
また、商業地では住宅地需要の強まりによるマンション用地との競合もあり、地価の上昇が継続しています。
(2)観光地・繁華街の回復
都市部を中心に店舗需要は回復傾向にあり、また、堅調なオフィス需要やマンション用地需要等から地価の回復傾向がより進んでいます。
国内来訪客が戻りつつある観光地や、人流が回復しつつある繁華街では、店舗等の需要の回復が見られており、多くの地域で地価は回復傾向にあります。
(3)インフラ整備・再開発の進展による地価上昇
全国の商業地の上昇率1位は北海道・北広島市でしたが、このほかにも全国的に再開発や新施設が開業するエリアでの地価上昇がみられました。
札幌市札幌駅周辺:令和12年度末開業予定の北海道新幹線延伸事業に合わせて、再開発事業が進捗中
京都市下京区京都駅周辺:京都中央郵便局の建替え計画や、京都市立芸大の移転建設などの再開発事業
広島市南区:広島駅南口広場再整備事業や駅ビルの建替えの進展
熊本県菊池郡菊陽町・大津町:菊陽町周辺の利便性が良好な地域では、住宅需要は堅調であったところに、世界最大手半導体メーカーの菊陽町への進出
(4)物流施設の需要の高まりによる地価上昇
工業地については、Eコマース市場の拡大を背景に、高速道路ICや幹線道路等へのアクセスが良好で、画地規模の大きな物流施設適地は、地価上昇が拡大しています。
地点別の上昇率では、前年に引き続き沖縄県糸満市の工業地(糸満9-1)が上昇率25.9%となりました。
(5)住宅地・商業地の最高価格
全国の住宅地の最高価格地点は東京都港区赤坂1丁目(標準地番号:港-4)で、価格は5,120,000円/㎡、上昇率は前年比+2.4%となりました。
一方、商業地の最高価格地点は東京都中央区銀座4丁目(標準地番号:中央5-22)で、価格は53,800,000円/㎡、上昇率は前年比+1.5%となりました。