国交省、世帯減と縮小で住宅需要に変化
2011年02月23日
―国交省、国土の長期展望で中間報告書
国土交通省は、国土審議会政策部会の長期展望委員会がまとめた「国土の長期展望」の中間報告書を公表した。報告書によると、50年までに日本の総人口は1億人を割り、約4割が高齢者となる見通し。世帯数も減少することから住宅需要も減少。一方で、世帯縮小に伴い、コンパクト型の住宅への需要が増加する可能性があると指摘している。
報告書では、50年の日本の人口が05年比25・5%減の9515万人になると予測。人口減少は3大都市圏も例外ではなく、50年の東京圏の人口は05年比10・4%減、名古屋圏は14・7%減、大阪圏は27・3%減となっている。一方で、人口減少に伴い65歳以上の高齢者の全人口に占める割合は急増。現在の状況が続くと、50年の高齢者人口の割合は約40%となる見込みで、05年の約20%からほぼ倍増する。
一方、総世帯数の減少は人口減少と比べると緩やか。50年の全国総世帯数は05年比14・3%減で、東京圏は0・3%減にとどまっている。特に高齢者の単独世帯が増加傾向にあることが大きく影響している。ただし、世帯数が減少傾向にあることに変わりはないことから、報告書は住宅需要が減少すると指摘。これまでも世帯数の増加を上回る住宅供給がされてきたことからも、空家数が50年まで増加を続けると予測する。世帯規模の縮小により、面積の小さい住宅需要が増加する可能性も指摘している。
報告書は、国土の将来の姿より、将来の課題を指摘したという側面が大きく、新たな発見やイノベーションの創出などにより、将来の国土の姿は変化するとの考えを示している。
(提供:日刊不動産経済通信)