国交省、10年度の住宅着工は81・9万戸
2011年05月02日
―震災の影響で3月着工は10カ月ぶり減少
国土交通省が4月28日に発表した「建築着工統計調査報告」によると、10年度の新設住宅着工戸数は前年度比5・6%増の81万9020戸で、前年度の77万5277戸から1ケタ増にとどまった。国交省は、「年度を通じて厳しい所得・雇用環境が続いた」とみる。3月の新設住宅着工戸数は10カ月ぶりの減少。震災の影響もあり、今後の動向は不透明となっている。
10年度の着工戸数を利用関係別にみると、持家は7・5%増の30万8517戸、貸家は6・3%減の29万1840戸、分譲は29・6%増の21万2083戸。分譲のうち、マンションは45・1%増の9万7757戸、一戸建ては19・0%増の11万3427戸。貸家以外はすべて増加に転じたが、昨年度の大幅減を取り戻すまでには至らず、全体の着工戸数も、64年度(約76万戸)~65年度(約85万戸)の水準にとどまった。
3月の住宅着工戸数は、2・4%減の6万3419戸で、10カ月ぶりの減少となった。雇用・所得環境の改善がみられないことや、震災の影響などが減少の要因。マンションの着工戸数も1・3%減の8670戸で、10カ月ぶりに減少した。東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手・宮城・福島の3県は、19・2%減の1579戸だった。
ただし、3月の着工戸数に震災の影響がきちんと反映されているか定かではない。いつ住宅が着工されたかは、「建築工事届出書」にある「工事予定期間」に基づいて集計されており、実際に予定通り着工されたかは調査していないためだ。震災の影響が統計上の数字にきちんと反映されるのは、4月以降の着工戸数とみられる。
(提供:日刊不動産経済通信)