大手流通、リテール仲介市場に客足戻る
2011年05月10日
―震災直後から一転、旧耐震物件も成約に
東日本大震災後大きく落ち込んだリテール売買仲介市場に、客足が戻りつつある。東急リバブルは、住宅購入の相談件数が4月末の段階で震災前に比べて7~8割の水準まで回復している。
東日本不動産流通機構の調べによると、震災の影響で3月の中古マンション・中古戸建ての成約件数は全都県で2ケタの減少となった。「震災直後は売りも買いも完全に止まった」(リバブル)。ただし、4月の第2週から物件案内の件数が前年並みの水準に戻った。計画停電が終了し日常生活を取り戻したことや、3月に購入を見送った層が再度動き始めたためとみられる。買いの相談件数が微減も、案内件数は前年と変わらないため「購入の本気度が強い」(同)。
別の大手流通会社は、4月のリテール仲介部門の契約件数が前年同月比1割ダウンしたが、手数料収入は5%アップ。「震災前までは件数もプラス基調だった。4月の手数料収入増の要因は3月に契約を見送った客が成約したという感が強い」(リテール部門首脳)。
震災の影響で旧耐震やタワー物件の取引減速が予想されるが、「築古物件は価格が安く、震災前と変わらずよく動いている」(リバブル)。また前出の大手流通会社によると、同社が売主である渋谷区内の築30年超の区分所有物件が成約。低層タイプで価格は1億円超。「旧耐震だからと一律に毛嫌いされているわけではない。タワー物件も取引事例はある」(同首脳)。
売り物件の情報も戻りつつある。リバブルによると、売却相談件数と売却受任件数は前年並みの水準に。また、先の大手流通会社の受任件数は震災前水準の8割程度にとどまり、査定件数は1割減となっている。
(提供:日刊不動産経済通信)