特集 2012年地価公示・11年後半から3大都市圏で下落率が縮小
2012年03月23日
―東京の住宅地上昇ゼロも震災影響薄まる
―宮城県は復興需要、石巻の住宅地が上昇
国土交通省が22日発表した12年地価公示 によると、今年1月1日時点の地価は全国平均で住宅地は2・3%、商業地は3・1%それぞれ下落した。一方で、上昇地点は546地点で前回の193地点から大幅増。横ばい地点も1849地点(前回1082地点)に増加した。依然として下落地点が2万3099地点と圧倒的に多い状況だが、東京圏などで東日本大震災の影響が薄れつつあり、下落率は縮小を続けている。
今年の地価公示は震災を挟んだ調査となったが、住宅地は0・4ポイント、商業地は0・7ポイントそれぞれ下落率が縮小した。ただし、震災の影響を全く受けなかったわけではなく、都道府県地価調査(毎年7月1日実施)との共通地点(1637地点、うち住宅地1164地点、商業地473地点)と併せて分析すると、全国の住宅地の地価は△1・2%(10年後半)→△1・3%(11年前半)となり、震災直後は下落率が悪化。しかし、11年後半には下落率が△0・9%まで縮小し、1年間でみると、下落率は縮小した。商業地も、△1・7%(10年後半)→△1・8%(11年前半)→△1・2%(11年後半)と、同様の動きをみせた。
下落率の縮小傾向は3大都市圏で顕著で、名古屋圏の住宅地は下げ止まった。名古屋圏の住宅地は年間で0・4%下落したが、11年後半は0・0%と横ばい。東京圏の住宅地は年間で△1・6%(11年後半△0・5%)、大阪圏は△1・3%(同△0・5%)で、いずれも反転に向けた動きを示している。商業地も同様の動きをみせ、東京圏は年間で△1・9%(11年後半△0・6%)、大阪圏は△1・7%(同△0・5%)、名古屋圏は△0・8%(同△0・1%)。
東京都の地価をみると、住宅地が△1・0%、商業地が△1・9%。下落率は昨年から縮小しているが、住宅地では上昇地点が消え、一部のエリアでは、震災の影響を吸収するまでには至らなかった。昨年は、月島・勝どきエリアのマンション市況の回復で中央区の住宅地が3・5%上昇したが、今年は△0・7%と下落に転じた。ただし、東京23区と多摩地域の住宅地の下落率は、△1・9%~△0・3%に収まっており、底打ちの動きをみせている。
地方圏をみると、宮城県の下落率が大幅に縮小した。宮城県の住宅地は、前期の△2・9%から△0・7%まで縮小し、愛知県の△0・2%に次いで、全国の都道府県で2番目に低い下落率だった。被災住民の移転需要が主な要因で、石巻市の住宅地は6・0%の上昇。仙台市の住宅地は△0・9%(前回△2・2%)で、下落率が縮小した。一方で、福島県は住宅地△6・2%(同△3・4%)、商業地△7・2%(同△4・3%)と下落率が拡大。岩手県は、住宅地△4・8%(同△4・9%)、商業地△7・0%(同△7・6%)と、下落率はやや縮小した。
(提供:日刊不動産経済通信)