重説IT化、賃貸・法人取引から解禁を
2014年06月27日
―国交省、遠隔地にメリット・新経連反発
国土交通省の「ITを活用した重要事項説明のあり方に係る検討会」(座長=中川雅之・日大教授)は26日、中間とりまとめ(案)を公表した。重要事項説明のIT化によりメリットがある取引のケースは「遠隔地の取引」としたうえで、取引金額や重要事項説明に要する時間が売買契約と賃貸契約で差があることや、不動産取引のリテラシーの観点から、まず遠隔地の賃貸物件と法人間の取引について重説IT化の解禁を検討していくことが妥当であるとした。
重説をITによって行う場合、取引における地理的な制約がなくなり、消費者と事業者双方が相対するための時間・金銭コストが縮減できるとし、遠隔地の取引であればあるほどそのメリットは大きいとした。重説に要する時間は売買で90分から3時間かかるが、賃貸は30分から1時間程度と短い。そこで転勤先など遠隔地の賃貸物件の契約におけるIT活用を想定した。
個人と法人では知識に差があるため、消費者の属性にも留意すべきであるとし、売買については法人間取引を検討の俎上に載せる。今後、個人情報保護やなりすまし防止策などの論点について検討を深める。
不動産業界団体からは個人情報の保護が不十分であるとの指摘やIT化に向けた時間軸を示すべきであるとの声が上がった。推進派である新経済連盟からは、遠隔地の賃貸物件などと限定したことについて、個人間売買など「他の取引の類型も含めて検討すべきである」(関聡司事務局長)と反対意見を表明し、記述の中身を大幅に修正するよう要求。中間とりまとめの内容については来月パブリックコメントを行い、各地方整備局や都道府県からも意見を聴取する。検討会や実証実験は今後も随時開催、12月中に策定する最終とりまとめに反映させていく。
(提供:日刊不動産経済通信)