首都圏空港強化で鉄道アクセス多様化へ
2014年09月09日
―国交省の委員会、東急等から事業性聴取
首都圏空港(羽田空港、成田空港)の年間合計発着容量75万回化後の更なる機能強化に併せて、課題となる羽田空港等への鉄道アクセスの改善に向けた議論が活発化している。国土交通省の交通政策審議会・陸上交通分科会鉄道部会の下に設置した「東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会」(委員長=家田仁・東京大学・政策研究大学院大学教授)はこのほど開いた会合で、「都心直結線」および「新空港線」について関係民間事業者である京浜急行電鉄、京成電鉄、東京急行電鉄から意見聴取した。
東急は多摩川線と京浜急行空港線を繋ぐ「新空港線」(蒲蒲新線)について意見を述べた。多摩川線に渋谷・副都心線方面の急行電車を乗り入れさせ、渋谷から羽田までを30分以内で接続する。蒲田駅と京急蒲田駅間(約800m)のトンネル工事などの事業費として1100億円程度を見積もっているものとみられる。「都心直結線」は成田空港と羽田を都心(新東京駅)部を介して直結する構想。京成と京急がそれぞれ現段階での検討状況や今後の課題について発言した。
羽田へのアクセスはJR東日本が新線構想を既に発表。JR新線に加えて、都心直結線、新空港線とアクセスが多様化しすぎるとの批判の意見もあるが、東急では新空港線について、羽田と東京の北東部を繋ぐJRや都心直結線とは異なり、未開拓となっている東京北西部を接続するためにニーズは強いとし、開業から30~35年程度で黒字に転換できると見込む。なお多摩川線の京急空港線への相互直通運転については線路のゲージの違いなどから、地元の大田区は京急蒲田駅の同一ホームでの乗り換えを提唱。東急の提案も大田区の構想に沿ったものとなっている。
(提供:日刊不動産経済通信)