売買仲介25社、取扱件数が軒並み減少
2015年05月22日
―前期実績、収入は法人などでカバーも
不動産売買仲介主要25社・グループの「15年3月期の売買仲介実績」(表参照)が出揃った。消費税増税の駆け込み需要の反動により、取扱件数が25社中23社で減少した。全社の件数が増加した前期(14年3月期)とは様相が一変した。一方、手数料収入が増加したのは10社。単価アップの傾向とホールセールでの大型取引が件数減の影響をカバーした社が健闘した。
三井不動産リアルティネットワークは、前期まで4期連続で手数料収入がプラスだったが、駆け込み需要の反動が色濃く出た。取扱件数は2ケタ減。ただ、手数料収入は同社としては史上2番目の高さであり、駆け込みがあった前期が好調過ぎたとの見方もできる。同社は現在の市況を「買いは一昨年前が需要のピーク。売りは先高観で調整局面に入った。この市況感は16年3月期も続くだろう」(企画部)とみている。住友不動産販売もリテールに駆け込み反動の影響があり、取扱件数は過去最高だった前期に及ばなかったが、ホールセールの大型取引がカバーし、取扱高は7期ぶりに1兆円を突破した。単価が上昇基調にあることも増収要因となった。
全項目でプラス成長となったのは東急リバブルと京王不動産のみ。リバブルは、各社が軒並み取扱件数を落とす中、ハイペースな出店戦略が寄与し、リテールの取扱件数が伸びた。同社は首都圏、地方ともに出店を増やし、出店数は12店増で首位。ホールセールの大型取引の増加も全体を牽引した。京王不動産は、店舗数は変わらないが、人員増に努めたこと、オーナーに対し売却の営業強化を徹底し、投資用物件が増加したことがプラス成長につながった。
野村不動産グループも上期のリテール取扱件数が落ち込んだが、単価上昇により手数料収入はほぼ横ばいに。ホールセール部門は前期に続き好調で取扱件数、手数料収入ともに2ケタ増となった。スターツグループも同様に件数減を単価上昇が補っている。三菱地所リアルエステートサービスは三菱地所関連の大型案件が目立ち、取扱高は7割増となったが減収。
大成有楽不動産販売グループでは、リテールは都心の築浅物件の取引が活発で手数料収入の大きな落ち込みはなかった。だが、ホールセールについては「不動産バブル再来の警戒で価格が売り手の希望ほど上がっておらず、取引は減少」としている。
15年3月期は、駆け込み需要の反動による件数減を単価上昇とホールセールの大型取引でカバーできた社が手数料収入を増加させた。郊外で築古物件の取引が減少したとの声もあり、新築市場同様に都心が主戦場となる傾向は今後も続く。その中でリテールは反動減から、ホールセールは売り物件の不足から脱却できるかが注目される。
(提供:日刊不動産経済通信)