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宅建士スタートアップフォーラムから

2015年06月12日

 東京・港区の日本消防会館ニッショーホールで8日開催された「宅建士スタートアップフォーラム」(主催=宅地建物取引士認知度向上PRプロジェクト実行委員会)から、経済評論家・勝間和代氏の基調講演「日本経済と不動産市場の行方」と、識者によるパネルディスカッション「宅地建物取引士が拓く不動産流通の進化」を紹介する。

-基調講演-
◎金融緩和で地価上昇、女性の活用推進を

  経済評論家 勝間 和代氏

 土地取引を含めた経済の活発化のため求められるのは、20年も続くデフレを終わらせて物価を上げることだ。名目金利から物価上昇率を引いた実質金利を下げる必要がある。実質金利が下がれば住宅も売れる。

 リーマン・ショックが起きた時、諸外国の中央銀行は貨幣の供給量を大幅に増やし、自国経済の下落を防いだ。十分に円の流通を増やさなかった日本は超円高に見舞われ、雇用は海外に流出、失業率が上がり物価が下がった。安倍政権が誕生し、黒田東彦・日本銀行総裁による異次元の金融緩和がスタートした。株価とドル・円は、今ようやく正常な水準に戻ってきた。

 地価を含めた物価は、デフレ脱却を掲げ金融緩和を実行する安倍政権が続く限りは上がっていくだろう。しかし、物価上昇を抑制するファクターがある。人口減少と消費税だ。経済の生産性は、35歳の労働人口の増減で決まる。35歳労働人口を増やす必要がある。そのためには女性に働いてもらうことだ。子どもを産み育てやすい環境を整備し女性を支援すれば、人口を増やすことにもつながる。消費税の8%への増税は、駆け込み需要とその反動を招き金融緩和の効果を減速させた。消費税はこれ以上上げないことが望ましい。10%増税が実施された場合、不動産取引は実需のみの市場となる。人気物件は価格高騰、不人気物件は大きく価値が下がる。不動産の取捨選択が必要になる。

-パネルディスカッション-
◎不動産市場を活性化、アジアのモデルに

  女性のための快適住まいづくり研究会代表 小島ひろ美氏
  不動産適正取引推進機構調査研究部上席主任研究員 村川隆生氏
  ニッセイ基礎研究所金融研究部不動産研究部長 松村徹氏
  東急リバブル経営管理本部総務・コンプライアンス部長 橋本明浩氏
  コーディネーター=日本大学経済学部教授 中川雅之氏

 小島氏 単身女性がマンションを購入するケースが増えているが、女性が1人でモデルルーム見学や不動産会社を訪れるのは不安がある。「不動産屋」というと昔の悪いイメージがまだあるからだ。女性が安心して相談できる、憧れるような職業になって欲しい。

 村川氏 宅建士への名称変更により、不動産取引の専門家というだけではなく、「高度な専門知識を有する不動産取引の専門家」と位置付けられた。一般消費者に不動産取引と言えば宅建士、と思ってもらえるようになるためには一層の自己研さんが求められる。

 松村氏 マーケットは大きく変わっている。証券化、物流施設など15年前にはなかったマーケットが登場している。変わるマーケットに合わせて、今後も不動産に関する相談は複雑化する。取引の透明化も進み、不動産業者はより第三者の目線にさらされる。意識を高め、宅建士のなかでも自分は『一級宅建士だ』と名乗るくらいの意気で頑張っていただきたい。

 橋本氏 我々は業務のフィールドで一般消費者と出会うが、一般消費者側からすれば、人生の重要な局面で出会うのが宅建士ということだ。この人にお願いして良かった、自分の大切な人にこの宅建士を紹介しよう、と思ってもらえるような仕事を提供していくことも使命のひとつではないだろうか。

 中川氏 不動産市場の活性化は、これからの日本には絶対に必要なこと。バブル後かつ人口減少と高齢化が進む中でコントロールしているのか、宅建士や業界の人たちがどのように対応したかがこれからのアジアのモデルになっていくだろう。宅建士を誕生させたということにとどまらず、日本の地域社会と日本全体を支えるような役割を期待する。

(提供:日刊不動産経済通信)

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