鑑定協、中古住宅の鑑定評価で指針策定
2015年08月24日
―建物性能・リフォーム状況などを反映
日本不動産鑑定士協会連合会は、既存戸建住宅の評価を行うための実務的資料「『既存戸建て住宅の評価に関する留意点』にかかる研究報告」をこのほど策定した。同時に、既存戸建住宅の積算価格査定システム「JAREA HAS(ジャリアハス)2015」も開発した。
国土交通省が7月末に策定・公表した「既存住宅の評価に関する留意点」を踏まえたもの。同連合会の鑑定評価基準委員会・原価法検討小委員会(奥田かつ枝委員長)がまとめた。戸建住宅は、税法上の耐用年数などから、築後20~25年で価値が一律にゼロとされる取引慣行があるが、建物の性能やリフォーム状況などを適切に評価に反映することが主旨。住宅性能表示や長期優良住宅認定制度のほか、既存住宅インスペクション・ガイドラインの策定や住宅履歴情報の蓄積など、住宅の維持管理、質に関する制度や資料の整備が進んだことが背景にある。
具体的には、原価法の適用において、耐用年数に基づく方法では質に関わる資料を入手できる場合、経済的残存耐用年数の把握に反映すること、増改築などで取替えが行われた部分の経過年数は、取替えが行われた時点にリセットされること、また、観察減価法との併用において二重に減価しないよう整理するなど、既存住宅の的確な評価方法に関する指針を示した。
不動産鑑定士が評価する際の支援システムとして開発したジャリアハス2015は、建設物価調査会の再調達原価査定システムを組み込み、建物を基礎、躯体など11部位に分けて再調達原価を把握するほか、原価修正にリフォームの影響を反映できる。13年9月に構築した旧バージョンを改定した。
(提供:日刊不動産経済通信)