国交省、大型木造推進・CLT工法告示へ
2015年09月14日
―事業用や共同住宅に、断熱耐震に優れる
国土交通省は、木造住宅・建築物の振興策として、厚型パネルであるCLT(クロス・ラミネイティド・ティンバー)の利用促進のため、16年度早期にCLTを用いた建築物の基準を告示できるように取り組む。また、木造住宅モデル事業の対象に、伝統的な地域工法を活用した住宅を来年度から対象に加える方針。
CLTは板の層を各層で直角に交わるようにした、木質の厚型パネル。通常の集成材は繊維の方向がすべて平行なのに対し、直交であるのが特徴。断熱性能や耐震性に優れているほか、工場でパネルの加工を行えるため工期の短縮を実行できるほか、事業用や共同住宅などの大型建築物への使用に向いている。14年度末までに共同住宅など国内では7棟が竣工している。CLT工法はまだ国内において一般的な工法ではないため、1件ずつ国土交通大臣認定が必要で、構造基準や防火基準を満たしているかの実験を行わなければならない。国交省は、16年度のできるだけ早いうちにCLT工法に関する基準を告示で定める方針。現在のCLTの性能では、耐震には5~7階、防火では4階程度まで対応が可能。大型建築物での利用拡大を図る。
木造住宅では、工務店や建材事業者などが連携し、長期優良住宅や高度省エネ型住宅などの整備に補助を行う「地域型グリーン化事業」を今年度実施。718グループ、8900戸・棟が採択された。来年度は省エネ性能が高く良質で、伝統的な地域工法を用いた住宅も対象とする。外皮の高断熱化など補助対象の半分かつ戸当たり100万円を限度に補助する、同事業では16年度は今年度予算から10億円上積みの120億円の予算要求を行っている。
(提供:日刊不動産経済通信)