国交省、結婚・出産なら家賃を支援へ
2015年11月04日
―1億総活躍、出生率回復へ規模を調整
国土交通省は、アベノミクス第2ステージの「1億総活躍社会」実現に向け、3世帯近居・同居の推進にとどまらず、都市再生機構(UR)や公営住宅を始めとする賃貸住宅で、入居者が結婚・出産した場合、家賃を割り引き優遇する新制度の検討に入った。
安倍政権が掲げる「1億総活躍プラン」では、当初から住宅政策の出動が指示されていたが、その大きな狙いは、出生率の回復。官邸に対応し、国交省は検討を進め、3世代近居・同居に関しては、住宅取得やリフォームの補助などを念頭に置いている。ただ、この「3世代」の前提となるのが子世代の結婚と出産。また、近居・同居だけでは、出生率向上にどれほど直接的な影響を及ぼすのか読み切れない。そこで浮上したのが単身者より結婚したカップルの家賃を優遇し、さらには、結婚カップルより子育てファミリーを子供の人数に応じて優遇するという住宅版の「児童手当」ともいえるシステム。民間賃貸住宅を支援対象に据えるのかなど、実施規模に関しては、今後の政治判断となる。国交省としては、少なくともURの賃貸住宅で実施する構えだが、それだけでは、インパクトも結果も望めない。補正予算を巡り、永田町、霞が関が動き出す中、逆に、官邸の本気度を問う展開となる。
なお、これまでにURは、子育て世帯や高齢者世帯などの要支援世帯と、それを支援する世帯との2世帯が同じUR賃貸住宅内などに近居した場合、家賃を優遇する制度を導入。これを今年9月から、UR賃貸住宅とあらゆる住宅との近居に対し、家賃優遇するよう改めている。
(提供:日刊不動産経済通信)