国税庁、タワーマンション相続評価見直し
2015年11月16日
―総務省と検討、市場価格との乖離を是正
国税庁は、超高層などマンションを活用した相続税対策に対し、「著しく不適当」であれば課税を強化するため対策の監視を強化したほか、超高層などマンションの相続評価の見直しを目指し、家屋の評価(固定資産税)を所管する総務省と協議を進めている。
相続税は国税庁の所管。マンションの相続評価で土地部分は相続税路線価で評価するが、建物部分は固定資産税評価によるため総務省の所管。このために、マンションのような建物付き土地の評価は総務省の同意を取り付けなければならず、長年続いてきた評価方式を切り替えるには、「すぐさまはできない」(国税庁資産評価企画官)のが実情。ただ、「実態を踏まえ、いつまでも現状を続けるわけでもない」(同)としており、数年程度で見直しに踏み込む意欲を示している。市場価格との乖離を是正する。
一方、現状では、国税庁が監視強化を打ち出したとはいえ課税が強化されるのは、「著しく不適当」なケースに限られる。相続の直前に大がかりにタワーマンションなどの不動産を被相続人に購入させ、相続発生後、相続人が短期で不動産を売却し、評価額と売却額の乖離が著しいケースなどが対象となるとみられる。国税庁では、昭和56年1月28日の東京高裁、平成4年3月11日の東京地裁の判例を例示。これらは、土地やマンションを短期で転売し、大がかりな税逃れを企図したとされている。
今年4月には大阪で、お笑いの吉本興業創業家がマンションなどを活用し相続税対策を講じ、過少申告だとして追徴課税された。この件について国税庁は、代表的ケースとはしていないが、特にタワーマンションの対策を巡っては、これを問題視する向きもあり、対応に乗り出している。
(提供:日刊不動産経済通信)