住宅瑕疵保険、高層化・大型化に対応検討
2016年06月23日
―見直し向け、保険契約者の保護も課題に
国土交通省はこのほど、住宅瑕疵保険の見直しに向けて研究委員会を開き、住宅を巡る状況の変化と、保険会社が破綻した際の契約者保護の仕組みについて整理した。今後の制度見直しに反映させる。
住宅を巡る状況の変化としては、マンションなど共同住宅の高層化と大型化を挙げた。全国の共同住宅を階数別、1棟当たり戸数別に08年と13年で比較、階数別では、1~2階の共同住宅は13年、棟数ベースで2・1%増。これに対し、11階以上は同15・5%増と、中高層住宅の増加率が大きかった。また、1棟当たり戸数別では、19室以下の小規模な共同住宅は、増加率が3・0%。これに対し100室以上では23・7%と、大型の方が増加率が高かった。さらに、1棟当たり戸数ベースで大型マンションをみると、05年で最大だったのは1038戸だったが、16年竣工予定で最大となるのは1420戸であり、約10年で大型化の傾向が伺えた。こうした状況を踏まえ、住宅瑕疵保険を再設計する。
一方、保険会社が破綻した際の契約者保護については、損害保険契約者保護機構の活用を念頭に入れつつ、関連データを蓄積したうえで分析し、今後の対応に活かす。委員会では、保険会社の破綻原因を整理し、高い契約者配当の負担など長期間にわたる逆ざやや、不動産関連投融資による多額の不良債権の発生、株式下落による評価損といった資産運用におけるリスクの顕在化のほか、災害による巨額の支払いや、事業見通しの誤りなど経営管理上の問題などを挙げた。住宅瑕疵担保履行法が施行したのは09年。国交省では、施行後10年の見直しに向け、検討を進め準備する。
(提供:日刊不動産経済通信)