売買仲介実績、28社中25社が手数料増加
2016年11月21日
―16年度上期、都心鈍化・郊外と関西好調
不動産流通主要28社・グループの16年度上期(17年3月期第2四半期)の売買仲介実績が出揃った(別表参照)。リテールが活発で、手数料収入は28社中25社が前年同期を上回った。ホールセールの成績が取扱高に影響したケースもみられたが、全体として好調に推移した。一方で、取引件数の伸び率が減少。都心高額帯にも停滞感が出てきた。
三井不動産リアルティネットワークは、「平均取引単価も前年同期を上回り、不動産マーケットは堅調に推移」との見解を示す。住友不動産販売は手数料収入が7期連続で増収を記録し、取扱高は9期ぶりに過去最高を更新。東急リバブルはホールセールの大型案件が減少したため取扱高は大幅減となったが、リテールは好調で手数料収入は2ケタ増。野村不動産グループは「リテールは全項目2ケタ増。ホールセールは件数微減だが、案件の大型化により取扱単価が前年同期比で25%近く上昇し、手数料収入総額も20%以上上昇」と個人・法人ともに好調だった。
全項目、前年同期比増の企業が大半を占め好調を印象付けるが、取引件数の増加率を比べると、上位6社を含む16社が前年同期から増加率を落としている(今回集計から加わった社を除く)。売主と買主の希望価格の乖離が目立ってきており、1件の取引に要する期間が長期化している傾向が影響しているとみられる。
東急リバブルの榊真二社長は、現在の市況について、「都心高額帯が伸びていない。インバウンド需要もいまはなく、在庫が溜まっている」と指摘。一方、「千葉や埼玉が好調。関西も全体的に良く、取扱件数、手数料ともに2ケタ増だった」(榊社長)と話す。
郊外が主力の大成有楽不動産販売も「1都3県の全エリアで取引件数が増加したほか、東京・神奈川は取扱単価が上昇」とコメントする。関西が地場の福屋不動産販売も全項目2ケタ増となったほか、近鉄不動産も「各事業地区において好調」と振り返る。
前年同期に比べ、成長の勢いが若干緩やかとなった16年度上期の売買仲介業界。新築物件の価格の高止まりを追い風に、需要自体の落ち込みはないものの、中古物件も高額を避けて、都心から準郊外、郊外へと流れる動きをどう捉えるかが下期のカギとなる。
(提供:日刊不動産経済通信)