法務省、住居を遺産分割の対象から除外
2017年07月20日
―婚姻期間20年以上、配偶者が売却も可
法務省は、相続に関する民法を改正し、婚姻期間が20年を超える夫婦の場合、配偶者に贈与された住居を遺産分割の対象から除くようにする。贈与された住居には特に居住義務などは課さないので、贈与後に配偶者の意思で売却なども可能となる。
これまで居住用の土地・建物などの不動産も、遺産分割の対象とされ、場合によっては、住居を売却して遺産相続の処理をする必要があるなど、配偶者は住み慣れた住居を失ってしまうケースもあった。これを、被相続人の意思で配偶者に生前贈与、または贈与される場合は、遺産分割の対象から外し、それ以外の遺産を相続人で分割するようにすることで、配偶者の利益を守る。条件は、①婚姻期間が20年以上であること②被相続人が配偶者に住居を生前贈与するか、遺言で贈与の意思を示すこと―の2点。贈与された住居には、その後の居住義務などは課さないので、配偶者の意思で売却なども可能だ。ただし、被相続人の意思が最優先されるので、被相続人が意思表示をすれば遺産分割の対象に加えることもできる。法務省は、このほど開いた法制審議会の相続関係の民法部会で検討の方向性を示した。8月の上旬から約1カ月半、パブリックコメントの募集を行い、集まった意見を踏まえ、年内までに民法改正案を固める。来年開催の次期通常国会への提出を目指す。
また、相続に関する配偶者保護では、「短期居住権」の設定も示しており、亡くなった被相続人が住居を第三者に贈与した場合でも、配偶者はすぐに退去しなくてもよく、約6カ月間はそのまま無償で居住を継続できる仕組みを検討する。
(提供:日刊不動産経済通信)