老人ホームの容積緩和、用途変更を促進
2018年01月10日
―建築基準法改正、密集地では建蔽緩和
国土交通省は、建築物の安全性を確保しながら、既存建築ストックの有効活用と木造建築物関連基準の合理化を図るため、建築基準法を改正する。既存不適格建築物の段階的な改修を認め、老人ホームの容積率算定も共同住宅と合わせることで、用途変更を促進。また、建蔽率の緩和などにより、密集市街地での建て替えや改修を促進する。
既存不適格建築物を巡っては、増改築などの際、工事を2段階に分けて行える「全体計画認定制度」がある一方、改修の場合には、既存不適格を解消するための工事を一回で全て行わなければならなかった。コストや工期がハードルとならないよう、用途変更などの改修にも全体計画認定制度を適用できるようにし、ストック活用を促進する。また、容積率の算出も合理化を図る。共同住宅では、共用の廊下や階段は容積率の算定対象とならないが、老人ホームは算定対象となり、容積率の上限一杯で建設された共同住宅を、老人ホームに用途変更することができなかった。これを老人ホームの算定を共同住宅と合わせることで解消する。
防火規制では、これまで防火地域の耐火建築物だけに限られていた建蔽率の緩和を、準防火地域と準耐火建築物にも対象を広げ、建蔽率を10%加算する。準防火地域に地震時などに危険な密集市街地が多く存在しており、耐火建築物や準耐火建築物への建て替えを促進する。また、木造建築物では高さ13m超の大規模建築物を一律で耐火建築物とするよう規定していたが、高さ16m以下で地上3階建てまでは防耐火規制の対象外とし、隣接地の空地の確保状況も勘案するようにする。30日に予定する社会資本整備審議会建築分科会建築基準制度部会で取りまとめ、法改正を行う。
(提供:日刊不動産経済通信)