Myリバブル

首都圏
  • 閲覧履歴

    閲覧履歴

  • 検索条件

    保存した検索条件

    最近検索した条件

Myリバブル

注目エリア・不動産価格の動向を探る②・大阪中心部はタワマンの人気で価格上昇

2018年09月21日

―新築の坪単価は2割上昇し350万前後

 18年都道府県地価調査では、大阪圏の住宅地が4年ぶりに上昇に転じた。大阪市中心部のマンション需要が牽引しており、特にタワーマンションの人気が高い。大阪市中心部のマンション用地は、大通りに面した規模が大きい案件はホテル開発と競合し、価格が上昇しており「取得はかなり厳しい」(石毛利明・東急不動産住宅ユニット関西住宅事業本部販売部統括部長)状況にあるが、マンション市況は好調だ。

 梅田や心斎橋のタワマンは新築価格が昨年に比べて2割程度上昇し、平均坪単価は350万円前後から高い物件では360万~370万円となっている。東急不動産が住友商事、住友不動産と梅田で分譲している50階建ての「ブランズタワー梅田North」(総戸数653戸)は平均坪単価が約340万円で、販売価格は6000万~7000万円台を中心としており、「販売は堅調に進んでいる」(石毛氏)。大阪市内のファミリータイプの平均価格は5000万円前後であるが、「中心部の好立地は価格が高くても顧客がついてきている。特にタワマンは入札で用地を高く仕込んでも事業化できる」(同)とみている。

 顧客は実需が中心だ。子育て世帯やその予備軍のファミリー層の一次取得が主体で、共働き世帯が多い。自己資金は以前より減少しているものの、低金利が続いているため、購買力は高い。石毛氏は「単価が上昇しているのでグロスを抑えるために面積を多少圧縮せざるを得ないが、大阪は中心部で実需向けに供給できるマーケットだ」と話す。

 大阪市はIRの誘致や万博の開催に名乗りを上げているほか、「うめきた2期」の開発や地下鉄東西線と御堂筋線の延伸などの明るい材料がある。そのため、今後の分譲マンション市場は、「順調に推移する」(石毛氏)見通しである。ただし、今後も価格が上昇し続けることが見込まれているため、懸念材料は価格の上昇傾向に消費者がどこまでついてこれるか。東京の4~5年前の状況に近いのが現在の大阪のマンション市況だ。

 一方、関西の戸建て分譲市場は立地により売れ行きが二極化している。バス便物件は人気がなく、徒歩圏の6000万円台・7000万円台は引き合いが多い。エリアとしては、大阪市内に第一種低層住居専用地域がないため、吹田市や茨木市などが戸建て分譲では人気だ。野村不動産が吹田市円山町で分譲している大規模戸建住宅「プラウドシーズン千里円山町」(76戸)は阪急千里線関大前駅から徒歩4分の立地で、土地面積が全区画150㎡以上、販売価格は6000万円台~9000万円台、平均価格は7000万円半ば。駅から徒歩5分以内で第一種低層住居専用地域に位置した50区画以上の住宅開発は初めてとなるため、販売は好調だ。ただし、面積が狭くて価格が安い物件でも駅から徒歩圏であればそこそこ売れている。


◎ニセコは外国人向け高級コンドが好調


 今回の都道府県地価調査で住宅地の上昇率が3年連続で第1位となったのが北海道倶知安町。ニセコ観光園のスキー場周辺で外国人向けの高級ホテルコンドミニアムの需要が依然として根強いためだ。需要の主体はシンガポールや香港、タイなど海外の富裕層で、投資ではなく利用目的で購入している。

 ニセコは、約10年前からオーストラリア人が雪質の良さに注目し、定住するようになったのが人気のきっかけである。「9・11」の米同時多発テロ以降、米国のスノーリゾートに行きづらくなったオーストラリア人が世界でも類のないニセコのパウダースノーに惚れ込み、口コミで評判が広がった。スキー場に直結した別荘やコンドミニアムが人気となり、最近はスキー場の周辺エリアまで開発が広がっている。特に区分所有で購入して住んでいないときは賃貸するコンドホテルが好調である。香港やシンガポール、マレーシアなどの海外デベロッパーが地元やオーストラリアの資本と組んで開発するケースが多い。

 コンドミニアムやコンドホテルの平均坪単価は10年前は350万円程度だったが、現在は600万~700万円に上昇している。販売価格は1億円第半ばから2億円程度が中心だが、竣工前に売れている。昨年12月にニセコに進出した東急リゾートの渡邉将一・開発営業本部グローバル営業部部長は「価格はここ3~4年で上昇した。ニセコは世界的なスノーリゾートとして評価されている」と話す。

 最近の供給戸数は年間で1物件・100戸程度。今年6月下旬にハーモニー特定目的会社(東京・千代田区)が販売を開始したコンドミニアムは地下2階地上8階建てで総戸数114戸。専有面積は146・60㎡で、最多価格帯は3億円台である。

 メインターゲットはシンガポールや香港の富裕層であるが、最近は日本人による購入も3~4割ある。「投資で考えると、表面利回りは1%あるかないか。利用メリットを感じて買っている人たちがほとんとであるが、グローバルなマーケット目線では今後も価格が上がっていくと見られている」(渡邉氏)。

(提供:日刊不動産経済通信)

最新のニュース