低額の未利用地譲渡に税の特例措置を
2019年08月29日
─国交省、20年度税制改正で創設を要望
国土交通省は、利用ニーズが低下している地方の土地売却に、長期譲渡所得の特例措置を創設することを要望した。28日に公表した20年度税制改正要望に盛り込んだ。売却しても低額なため利活用されずにいる個人の土地に、税のインセンティブを与えることで、適切な利用・管理を行う者への譲渡を促進する。「居心地がよく歩きたくなるまちなか」のための特例措置や、老朽化マンション再生のための特例措置の拡充・創設も盛り込まれた。
低未利用地の長期譲渡所得の特例措置は、譲渡価額が低額な土地を対象とする。「低額」の基準は、地方の空き地の実態を勘案して数百万円台となるとみられる。所得計算で一定額が控除される特別控除を設けるか、税率を軽減するか、特例の詳細な内容は今後決めるが、早ければ20年1月1日以降の売却から特例が適用できるようになる。
「歩きたくなるまちなか」のための特例措置は、公共空間を拡大するために敷地を公共施設などとして提供した場合に、固定資産税・都市計画税の土地の課税標準額を5年間2分の1に軽減する。また、公共施設との一体性を高め、まちの魅力向上に資する建物低層部・敷地を改修した場合にも、改修後の家屋や償却資産の課税標準額を同様に軽減する。20年4月1日から3年間の時限措置とする。
マンション敷地売却事業における法人税などの税制特例の対象を、現在の旧耐震物件から、新耐震でも老朽化が進んだマンションにまで拡大する。団地型マンションの一部の棟の敷地分割を円滑化するための税制特例も新たに設ける方針。このほか、既存の特例措置の適用期限の延長も多数要望している。
(提供:日刊不動産経済通信)