新・住生活基本計画の見直しスタート
2019年09月13日
─マンション問題は専門の小委員会設置
次期・住生活基本計画の議論がスタートした。国土交通省は12日、同計画の見直しを5年ごとに行う社会資本整備審議会住宅宅地分科会(第47回)を再開。21年3月の閣議決定を目指し、これからの日本の住宅のあり方について、各課題の横断的な議論が始まる。
前回の基本計画(16年3月閣議決定)で示した「居住者からの視点」「住宅ストックからの視点」「産業・地域からの視点」をもとに、それぞれの分野の課題を示し、初回は幅広く自由討議とした。
空き家の増加が問題となるなか、住宅の供給過剰を懸念する声が上がった。「一度供給したものは50年は使うことになる。全体の供給を適正に調整し、管理するという考え方を持ってほしい」(辻琢也・一橋大学大学院法学研究科教授)。これに対し、菰田正信・不動産協会理事長は「居住者の視点でみて非常にミスマッチな住宅が空き家として残る。新規供給を規制しても空き家がなくなるわけではない。完全に需要とミスマッチを起こしたものは解体していくべきで、解体にインセンティブを与える政策を」と意見した。
このほか、「マンションは長期修繕計画の積立金が当初は少なく設定され、途中から値上げしていく。こうした売り方は問題で規制が必要。また、賃貸マンションには修繕費の積立制度がない。ストックの時代、賃貸・分譲の区別なく検討を」(三好修・全国賃貸住宅経営者協会連合会会長)などの意見が上がった。
分譲マンションの課題は、分科会の下に「マンション政策小委員会」を設置し、10月に初会合を開くことが決定。マンション再生の円滑化、団地型マンションの柔軟な再生などを検討する場とする。
(提供:日刊不動産経済通信)