2019年都道府県地価調査・全平均2年連続上昇、全国的に回復鮮明
2019年09月20日
―国交省、地方圏の商業地が28年ぶり上昇
国土交通省は19日、19年7月1日時点の「都道府県地価調査」(基準地価、調査基準地=2万1540地点)の結果を公表した。全国の全用途平均は+0・4%で2年連続の上昇となり、上昇基調が強まった。地方圏は商業地が+0・3%となり、91年以来28年ぶりに上昇に転じた。地方四市(札幌、仙台、広島、福岡)が牽引し、地価の回復が全国に波及していることが鮮明となった。 全用途平均は、三大都市圏+2・1%、東京圏+2・2%、大阪圏+1・9%、名古屋圏+1・9%。地方圏は△0・3%、地方四市+6・8%、その他は△0・5%だった。住宅地は、全国平均が△0・1%でマイナスとなったが、下落幅は10年連続で縮小。三大都市圏は+0・9%で、東京圏+1・1%、大阪圏+0・3%、名古屋圏+1・0%。地方圏の住宅地は全体では△0・5%だが、下落幅は8年連増で縮小。地方四市は+4・9%、その他は△0・7%。
住宅地で変動率がプラスとなった都道府県の数は、前年の9から15に増加。2%以上の下落率を示す県は2から1に減った。今回新たにプラスに転じたのは神奈川、石川、熊本、大分、京都、広島。中心部の上昇が周辺に波及し、郡部に下げ止まりの傾向がみられたことがプラスに転じた府県の特徴となっている。都道府県別の住宅地変動率トップは沖縄で+6・3%。
商業地の全国平均は+1・7%で3年連続の上昇。三大都市圏は+5・2%で、東京圏+4・9%、大阪圏+6・8%、名古屋圏+3・8%。地方圏は+0・3%。地方圏のうち、地方四市は+10・3%と高い伸びを示し、07年以来12年ぶりに2ケタ増を記録。地方四市は住宅・商業ともに上昇幅が拡大している。地方圏・その他は△0・2%。商業地で変動率がプラスの都道府県は19で前年と同数だったが、2%以上下落した県は2から1に減った。商業地の都道府県別変動率トップは住宅地に続き沖縄で+12・0%。次いで大阪+8・7%、京都+7・1%と続く。
オフィスの床需要が強いことや、外国人観光客の多いエリアではホテル・店舗の需要が旺盛なことなどから、地価上昇は住宅地より商業地に勢いがみられた。国交省は「実需に基づく適切な土地利用がなされている。バブル期にみられたような、値上がり益を期待して短期転売する動きはない」とみる。
東京の住宅地は23区の全区で上昇が続き、多くの区で上昇幅が拡大した。最も高い上昇となったのは荒川区で+8・6%で、豊島区+7・9%、台東区+7・6%と続く。+5・0%以上の高い上昇を示した区の数は、都心部の区のさらに隣接区に拡大し、前年の10から13に増えた。前年比で新たに+5・0%以上上昇の区に加わったのは渋谷区、港区、足立区。
三大都市圏の地価変動率を地価公示(1月1日時点)との共通地点(1625地点)から、1年の前半(18年7月1日~19年1月1日)と後半(19年1月1日~同7月1日)で比較すると、住宅地は東京圏横ばい、大阪圏+0・3%↓+0・4%、名古屋圏+1・0%↓+0・7%。商業地は東京圏+3・0%↓+2・8%、大阪圏横ばい、名古屋圏+2・1%↓+2・0%となっている。
(提供:日刊不動産経済通信)