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特集・注目エリアの地価動向③品川・高輪

2019年09月27日

◎新駅や品川再開発でポテンシャル向上
 ―マンション用地の取得競争も激化へ

 JR山手線の新駅・高輪ゲートウェイ(東京・港区港南2丁目)の20年暫定開業と周辺の再開発「品川開発プロジェクト」に伴い、品川・高輪エリアのポテンシャルが高まっている。国土交通省の都道府県地価調査でも地価の上昇傾向が明らかになっており、「地価への反映は始まったばかりで、開発の進展に伴い当面上昇傾向が続くと思われる」(国交省)。

 品川開発プロジェクトは、27年に予定するリニア中央新幹線の開通や国際都市化まで見据えた大規模な複合開発。開発地域は東日本旅客鉄道の車両基地跡地で国家戦略特別区域でもあり、総開発面積は約9・5㏊。第Ⅰ期事業は、敷地面積約7・2㏊、延床面積約85万1000㎡の規模。田町駅寄りの地域から順番に1~4街区を整備し、24年にまちびらきを行う。敷地面積約1万2700㎡の1街区には地上43階・高さ173m、約860戸の住宅を中心とした大規模複合施設を建設。延床面積は約9万5000㎡規模になる見込み。敷地面積約8000~3万8300㎡の2~4街区は、文化施設・オフィス・宿泊・国際交流拠点として整備する。

 近接する高輪エリアでは、大和ハウス工業が東京メトロ南北線、都営三田線・白金高輪駅から徒歩1分の立地に35階建てのタワーマンションを建てる建て替え事業に参画している。平山正樹・東日本開発事業部総合不動産開発部事業開発課主任は「周辺は従前から用地取得の競争率も高い人気の高いエリアだが、再開発計画の影響も加わり用地取得はさらに困難さを増している」とする。あえて難易度の高い建て替え事業を行っているのも、新規の用地取得の難しさが一因。現在調整中の販売計画では坪単価600万円以上を想定している。「販売価格が高止まりしている印象も受けるが、再開発に伴う対象エリア全体の今後の動きを注視する必要があり、新駅のある泉岳寺エリアは今後も強含みだろう」とみている。

◎中古はリニア開通まで上昇か、成約好調

 品川駅の海側・港南口のエリアでマンション供給が進んだのは00年代。当時は新築分譲時の平均坪単価は200万~220万円程度が相場だったが、最近は中古で坪単価300万円を超えてきている。同エリアの価格帯のボリュームゾーンは6000万~7500万円。築10年超の物件を中心に新築分譲時からの価格の上昇率が拡大しており、05年の新築分譲時の価格が約5500万円だった物件が約7500万円で成約した事例や、分譲時の5割増しの価格で成約したケースも出てきている。分譲時の割安感もあり、このエリアの中古流通の動きは速い。

 ただし足元をみると、成約件数は増加傾向が続いているが、価格については高止まりの傾向も見られ始める。「春ぐらいまでは価格が上昇していたが、足元では少し一服感も出てきた」(東急リバブル品川センター)との声もあり、高止まりから緩やかな上昇といった現状か。同エリアでは20年の新駅(高輪ゲートウェイ駅)の暫定開業後も、24年の新駅周辺の街びらき、27年のリニア新幹線開通とイベントが続き、今後については「27年のリニア開通までは価格が徐々に上がっていくのではないか」(野村不動産アーバンネット)との見方もある。

 品川駅の西側である高輪エリアは、これまで立地のブランド力はあるが交通利便性が若干弱く、新駅開業により利便性が向上することで注目が高まる。同エリアは中古の価格帯に幅があるが、ボリュームゾーンは旧耐震の築古物件を除けば7000万円台~8000万円台だが、1億円を超えるマンションも少なくない。港南口側に比べ流通物件数が少ないので市況は読みにくいが、足元では1億円超えの成約も増えつつあるようだ。住友不動産販売は同エリアの足元について「成約件数は高水準で推移していて、価格は上昇の気配がある」とみる。両エリアとも、売主と買主から新駅や再開発に関する質問や話題が出るなど関心は高く、各社とも今後のポテンシャルは高いとみる。

 需要層はファミリーやDINKSの実需が中心だが、投資用の需要も出てきている。港南口側では交通利便性を重視した出張の多いビジネスマン需要が多く、高輪エリアでは広い部屋を求めるシニア層の需要も目立つ。三井不動産リアルティによると、「将来的には賃貸することも念頭に置いて、賃料を気にする人も多い」という。

(提供:日刊不動産経済通信)

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