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2020年地価公示・国交省、全国全用途平均で5年連続上昇

2020年03月19日

─地方も28年ぶり上昇、地方波及が鮮明に
一年後半の台風や消費増税、影響は限定的

 国土交通省は18日、20年1月1日時点の地価公示を(標準地=2万5993地点)発表した。全国の全用途平均は+1・4%(前年+1・2%)となり、5年連続で上昇した。全国の住宅地は+0・8%(+0・6%)で3年連続、商業地は+3・1%(+2・8%)で5年連続で上昇。上昇基調が継続し、地方圏のその他エリアでも全用途平均と商業地が28年ぶりに上昇に転じるなど、地価上昇の地方波及が鮮明となった。

 地方圏は、地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)が全用途平均+7・4%(+5・9%)、住宅地+5・9%(+4・4%)、商業地+11・3%(+9・4%)で上昇基調を更に強めた。また、地方四市を除いた「その他」が、長く続いた下落の時代を脱したことも大きな特徴。地方圏その他エリアの全用途平均は+0・1%(△0・2%)、商業地は+0・3%(0・0%)でともに1992年以来28年ぶりに地価が上昇に転じた。住宅地は0・0%(△0・2%)で、1996年から続いた下落が横ばいとなった。

 住宅地は、変動率がプラスの都道府県の数が20(前年18)に増加した。今回プラスに転じたのは山形県と長崎県。1%以上の下落率を示す県は福井県と和歌山県の2県(7県)で、秋田県、山梨県、三重県、愛媛県、鹿児島県の5県が今年は1%未満に下落幅が縮小した。住宅地の変動率トップは沖縄県の+9・5%(+8・5%)。沖縄県は4年連続の住宅地上昇率首位となった。住宅地の変動率を地点別にみると、全国トップは北海道の「倶知安-3」の+44・0%だった。

 住宅地の地点の価格を三大都市圏別にみると、東京圏のトップはホテルオークラ近くの「港-4」(港区赤坂1丁目)で1㎡当たり472万円。全国でも住宅地の最高価格地点となった。大阪圏は「大阪福島-7」(大阪市福島区福島3丁目)が102万円、名古屋圏は「名古屋中-2」が140万円で首位だった。

 地方の回復が目立った今回の地価公示。住宅地では、下落が続いたことが値ごろ感を生み、取引が増えたと考えられるエリアが出ている。一例として国交省は静岡県焼津市を挙げる。焼津は東日本大震災以降、津波懸念で海寄りの住宅地の下落が目立っていたが、今回は海寄り地点の下落幅が軒並み縮小した。市内の土地取引件数と住宅着工戸数は過去5年増加傾向で、需要は底堅い。プラスを維持する内陸側の住宅地と比較して、海寄りが値ごろと判断されたようだ。同様に三重県松阪市の松阪駅周辺でも、商業地と比較した値ごろ感により近接の住宅地の下落幅縮小がみられた。

 商業地は、変動率プラスの都道府県数が前年22から今年は24に増えた。静岡県、香川県がプラスに転じた。1%以上の下落の県が前回8県から今年は1県(島根県)へと減少。岩手、秋田、新潟、和歌山、鳥取、宮崎、鹿児島の7県が1%未満に下落幅が縮小していた。商業地の変動率トップの都道府県は住宅地に続き沖縄県で+13・3%(+10・3%)。沖縄は年間の観光客が1000万人を突破し、観光産業を中心に県内経済が好調で、住宅・商業ともに変動率首位。商業地の地点ごとの変動率ではトップは「倶知安5-1」で57・5%。倶知安は依然としてスキーリゾートが外国人観光客に人気。別荘やリゾート施設需要、市街地ではその従業員や北海道新幹線の工事に従事する建設作業員向けの宿舎需要も強い。

 商業地の地点ごとの価格をみると、東京圏のトップは1㎡当たり5770万円の「中央5-22」(中央区銀座4丁目、山野楽器銀座本店)。同地点は14年連続で商業地価格全国1位を維持した。大阪圏は「大阪中央5-2」(大阪市中央区宗右衛門町)の2870万円、名古屋圏は「名古屋中村5-2」(名古屋市中村区名駅4丁目)で1850万円。



◎浸水被害の武蔵小杉、特段の影響ない



 都道府県地価調査との共通地点(1621地点)から半年ごとの地価変動率の推移をみると、住宅地は19年前半+0・8%、後半+0・8%。商業地は前半+2・3%、後半+2・5%。昨年後半は台風が各地に甚大な被害をもたらしたほか、消費税の税率引き上げ、日韓関係悪化による韓国人観光客の減少などがあったが、全体としては「特段大きな影響はみられなかった」(地価調査課地価公示室)。

 浸水被害があった川崎市の武蔵小杉は、元々工場の集積地だったためタワーマンションエリアに住宅地の標準地が存在せず、直接の地価は把握できないが、タワマンエリア外の東横線・武蔵小杉駅近くの住宅地標準地は全てプラスを維持した。武蔵小杉について国交省は「台風後にマンションが安く大量に売り出された事実は確認されていない」(同)としており、需給バランスの崩れは起きなかった。

(提供:日刊不動産経済通信)

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