不動産取引で水害リスクの説明義務化へ
2020年06月24日
―国交省、重説でハザードマップを活用
不動産取引の重要事項説明で、ハザードマップを活用した水害リスク説明が義務化される。国土交通省は、本格的な雨のシーズンを前に宅地建物取引業法施行規則を改正する。一定の周知期間の後に施行となる。
国交省は水害リスク説明を重説に加えるための施行規則の一部改正について、パブリックコメントを実施している。パブコメは6月27日までで締め切る。パブコメでは、改正に対し大きな反対の声はなく、水害リスク説明の義務付けは重要であるとの意見が多く寄せられている。
水害リスク説明は、宅地・建物の売買・賃貸の取引の重説が対象となる見込み。これまでも、売買・賃貸ともに土砂災害警戒区域、津波災害警戒区域、造成宅地防災区域に取引物件が所在する場合は、宅建業者は重説でその旨を説明する義務があった。施行規則の改正により、水防法に基づいて市町村が作成した水害ハザードマップを使ってリスク説明を行うことが新たに重要事項に加わる。
水害ハザードマップは、洪水、内水、高潮、津波のハザードマップの総称。改正施行規則の施行までに、宅建業者は重要事項説明のひな型の変更や、水害ハザードマップの入手方法のチェックなど、説明体制の準備が必要となる。国交省は、改正施行規則の公布は7月上旬を目指している。公布の段階で不動産関連団体などに通知し、一定の準備期間を設けてから施行となる見込み。不動産取引時の水害リスク説明は、18年7月の西日本豪雨災害や19年10月の台風19号など、甚大な被害を起こす大規模水害が頻発するようになり注目されていた。
(提供:日刊不動産経済通信)