東京オフィス、6月潜在空室率3%台に
2020年07月10日
―三幸・三鬼、移転中止や解約など増加
東京都心5区にある大規模オフィスビルの潜在空室率(退去前募集も加味した空室率)が5カ月連続で前月実績を上回り、6月は3%台に乗ったことが三幸エステートの調べで分かった。退去後の募集を数えた通常の空室率は1月から6月にかけて0・18㌽増と微増にとどまる一方、潜在空室率は1・05㌽増と上げ幅が大きい。新型肺炎に伴う景気低迷や在宅勤務の普及などで都心のオフィス需要が減退しつつある模様だ。同社の今関豊和チーフアナリストは「移転計画の保留や中止、解約の動きが出始めており、今後も潜在空室率の上昇が続く可能性が高い」と分析している。
三幸が9日に公表した調査結果では、6月の都心5区大規模ビルの空室率は前月比0・13㌽増の0・66%、坪当たり月額賃料は115円減の3万2019円と前月よりも需給がやや緩んだ。空室率は3月に0・41%と底を打った後、3カ月連続で上昇した。増床需要が頭打ちになった可能性があるが、直近の賃料は3万2000円前後を行き来している。このため同社は「新型肺炎の影響で貸し手が募集条件やリーシング戦略を見直す動きは限定的だ」と指摘している。
一方、三鬼商事が同日公表した調査結果では、6月の都心5区の空室率は前月比0・33㌽増の1・97%、賃料は44円増の2万2880円に。空室を残して竣工した新築ビルがあったほか、新型肺炎の影響などで成約件数が大きく減った。さらに既存ビルにも減床に伴う解約の動きがあり、5区全体の空室面積は5月以降の1カ月で約8万6000㎡増えたという。賃料は78カ月連続で前月実績を上回った。前年同月比では1362円増と大きく値上がりした。
(提供:日刊不動産経済通信)