Myリバブル

首都圏
  • 閲覧履歴

    閲覧履歴

  • 検索条件

    保存した検索条件

    最近検索した条件

Myリバブル

東京都心は空室率上昇も上限は2~3%

2020年09月15日

―CBRE大久保氏、固定オフィスは必要

 新型肺炎の感染拡大で日本のオフィス市場に変化が生じている。企業の業績悪化と働き方の変化で東京・大阪など大都市の需給が緩和しつつある。CBREの大久保寛・リサーチヘッドに市場動向を聞いた。

 ―都心5区で空室率が上昇基調になった。
 大久保氏 テナントから寄せられる移転相談の中身が明らかに変わった。この数年は相談の7割以上がオフィスの新設と拡張移転についてで、縮小移転は1割に満たない状況だった。しかし今年上期は新設・拡張移転が6割を切り、縮小移転の相談も増えた。

 ―都心では様子見のテナントが多いようだ。
 大久保氏 5月は緊急事態宣言の影響で問い合わせの件数自体が前年の同じ月に比べ4割も減った。拡張や新設の移転が減ったのはそのためで、圧倒的多数のテナントは現時点でオフィス配置の意思決定を保留していると考えられる。ただ空室率は第2四半期に上昇に転じた。しばらくは上昇基調が続くだろう。

 ―最近はオフィス不要論と必要論が拮抗している。
 大久保氏 現時点ではどちらに転ぶかを誰も明言できないが、オフィスの必要性は薄れないだろう。同じフロアに複数の社員が集まれば偶発的な交流が生じ、そこからアイデアが湧き生産性が高まる。

 ―日本にテレワークは定着しないという声もある。
 大久保氏 テレワークで生産性が上がったという調査結果を目にするが、それは当然だ。コロナの影響下で会社の経営を悪化させないよう、会社員らは生産性を上げようと普段以上に頑張っている。その結果、生産性を維持することにつながっている。テレワークのおかげで生産性が上がったと単純には言えない。

 ―東京都心のオフィス需給をどう展望する。
 大久保氏 コロナの影響で空室率の上昇時期が前倒しになった。ただグレードAオフィスの空室率は上昇基調だが、それでも今後1年で2%に届くかどうかという低い水準だ。上昇ペースは来年末にいったん落ち着くと予想している。グレードBオフィスの空室率も、上がったとしても2~3%程度までだろう。21、22年はオフィスの供給が少ないため空室率は横ばいが続きそうだ。23年以降に新規供給が増えるため、空室率も再び上昇基調に転じる可能性が高い。

 ―企業の動きはどうか。
 大久保氏 オフィス床を解約する相談は増えてきている。契約更新を迎えている企業のなかでも、旅行や小売り、イベント関連などの業種は賃料値下げを求めているところが多いようだ。とは言えその他の業種では、従来よりも高い賃料で契約を更新している企業も散見される。

 ―大阪や名古屋など他の大都市の市況はどうか。
 大久保氏 大阪と名古屋ではグレードAオフィスの賃料がやや下がった。福岡も賃料上昇ペースが鈍った。コロナで企業のコスト意識が高まり、賃料上昇が伸び悩んだ。

 ―コワーキング施設の需要が高まっている。
 大久保氏 専用床を割り当てるタイプが人気だ。コワーキング施設は市街地中心部だけでなく郊外にもあるため、職場の分散化が進めばその受け皿にもなる。一方で、固定契約のオフィスには社員間の連携・対話を促す機能がより強く求められるようになるだろう。フリーアドレスや、働く時間と場所を柔軟に選択できる「ABW」(アクティビティ・ベースド・ワーキング)などの働き方が広がることも考えられる。

(提供:日刊不動産経済通信)

最新のニュース